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書籍名

イタリア地中海研究叢書 1 ダンヌンツィオに夢中だった頃 – Studi dannunziani oggi: 生誕150周年記念展 (東京・京都2013-14) と研究の最前線

判型など

336ページ、21cm

言語

日本語

発行年月日

2015年9月9日

ISSN コード

21892539

出版社

東京大学教養学部イタリア地中海研究コース

学内図書館貸出状況(OPAC)

ダンヌンツィオに夢中だった頃

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2013年が生誕150周年であったイタリアの詩人・小説家・劇作家ガブリエーレ・ダンヌンツィオをめぐって2013年から2014年にかけて東京大学教養学部「駒場博物館」および「京都大学総合大学博物館」で開催された展覧会と関連企画の研究成果をまとめ、2015年に刊行したもので、最新のダンヌンツィオ研究の到達点を紹介する論集ともなっている。

19世紀末から1930年代まで、多くの作品が欧米各国語で広く読まれていたダンヌンツィオは、日本でも存命中は国際的作家として知られていた。夏目漱石、森鴎外をはじめ、多くの重要な作家たちが読み、作品中に引用しているほか、漱石門下の森田草平や生田長江の翻訳で大正日本の文学青年たちに大きな影響を与えた。第1次世界大戦期には、行動する愛国詩人として日本でも尊敬と注目を集めた。展覧会は、戦後の日本において忘却されたこの詩人の作品を改めて翻訳・紹介し、現代詩の文脈における再評価を試みるとともに、この人物の国際的な足跡をたどることで20世紀の文学とメディア史を再考する研究の成果発表であり、関連分野の若手研究者たちの協力を得て、イタリアからの美術工芸品等をふくむヴィジュアルな展示と充実した解説を展開することができた。イタリア文学・イタリア文化研究者のみならず、近代日本文学・美術史研究、比較文化研究、20世紀ヨーロッパ現代政治史、風俗・モード史等のさまざまな分野の研究者からの反響があり、多くの学生や一般参観者の入場を数えた。

関連企画の国際シンポジウムや特別授業、ギャラリートーク等の成果を刊行物としてまとめた当論集には、展覧会共催者でダンヌンツィオ研究の国際的中心拠点ヴィットリアーレ財団の財団長グエッリ氏や、京都大学人文科学研究所所属研究者はじめ、多くの第一線の専門家の寄稿を得た。日本のイタリア近現代文学の研究者に限らない、ヨーロッパの近現代芸術史から近代日本文学、比較文化研究まで、幅広い分野の気鋭の研究者が、ダンヌンツィオをめぐって近年の研究成果を発表し、交流する大変意義深いものとなった。

なお本書は「イタリア地中海研究叢書」の第1巻として刊行し、今後逐次刊行物 (ISSN 2189–2539) として継続的に学際的な当該地域文化研究の成果を発信する計画である。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 村松 真理子 / 2017)

本の目次

序言: ダンヌンツィオとはだれだったのか?
ダンヌンツィオ生誕150周年記念展覧会・シンポジウムをふりかえりつつ -- 村松真理子 7
第I部 ガブリエーレ・ダンヌンツィオ生誕150周年記念展覧会 記録
 ・駐日イタリア大使からのメッセージ 23
 ・ヴィットリアーレ財団からのメッセージ 「東京に行こう」「さあ、出発だ!」 24
 ・イタリア歴史年表・ダンヌンツィオ年譜  26
 ・ダンヌンツィオとその時代 34
 ・ダンヌンツィオの世界 - 作品解説 (詩・小説・戯曲・随想) 40
    『早春』より「七月の夕暮れ」(ペスカーラの思い出) 40
    『ローマ哀歌』より「キージ荘」 41
    『楽園詩篇』より「慰め」 53
    『アルキオネー』より「フィエーゾレの夕暮れ」 61
    『アルキオネー』より「松林の雨」 67
    『讃歌』より「告知」(「海光」)(94 - 105行) 76
    『フランチェスカ・ダ・リミニ』より「三月のはじめに」(「燕の歌」) 78
    『空と海と陸と英雄の讃歌』より序文「プレイアデスと運命に」 83
    『フランチェスカ・ダ・リミニ』 90
    『船』 92
    『聖セバスチャンの殉教』 94
    『快楽』  96
    『罪なき者』 99
    『死の勝利』 101
    『岩窟の乙女たち』 104
    『そうでもあり、そうでもなく』 106
    『夜想曲』 108
    『我は汝を所有する、アフリカよ』より「木戸俊夫へ」 110
 ・「ダンヌンツィオに夢中だった頃」- 作家の軌跡と時代 113
   I ダンヌンツィオと時代 113
   統一国家と新しい詩の言語 113
   1880 年代ローマとダンヌンツィオ 114
   音楽とダンヌンツィオ 115
   同時代の芸術家たちとダンヌンツィオ 116
   ヨーロッパ的作家としてのダンヌンツィオ 117
   イタリアの思想家はダンヌンツィオをどう読んだか 118
   ベネデット・クローチェ「ガブリエーレ・ダンヌンツィオ」 119
   ニーチェと「無垢なるもの」 120
   大衆とメディアとスタイル 121
   演劇とダンヌンツィオ 122
   フランス「亡命」から第一次世界大戦まで 123
   フィウメのダンヌンツィオ 124
   フィウメ後のイタリアと詩人 124
   美学の作品化としての「家」- ヴィットリアーレ 125
   「国民詩人」としての晩年 126
   II 日本とダンヌンツィオ 127
   若きダンヌンツィオの日本趣味 - 工芸品、うた 127
   日本の詩歌と『アルキオネー』 127
   日本文学におけるダンヌンツィオ 1 - 詩人として 128
   日本文学とダンヌンツィオ 2 - 鷗外、漱石、芥川 129
   日本文学とダンヌンツィオ 3 - 小説の流行 130
   京都とダンヌンツィオ 1 - 京都、フィレンツェ、ダンヌンツィオ 130
   京都とダンヌンツィオ 2 - 上田敏と京都大学 131
   京都とダンヌンツィオ 3 - 京都大学のイタリア研究 132
   「愛国詩人」「英雄」としてのダンヌンツィオ 1 - ローマ東京連続飛行 133
   「愛国詩人」「英雄」としてのダンヌンツィオ 2 - 林古渓書簡、三島海運書簡 134
   「愛国詩人」「英雄」としてのダンヌンツィオ 3 - 朝日報知招聘計画 134
   ヴィットリアーレの訪問者たち 1 - 木戸俊夫と生田長江 135
   ヴィットリアーレの訪問者たち 2 - 有島生馬 136
   三島由紀夫と聖セバスチャン - ダンヌンツィオを翻訳する 137
 ・今日に生きるダンヌンツィオ 138
 ・出展品一覧 140
 ・ダンヌンツィオとイタリアについて、もっと知りたいひとのために 162

第II部 ガブリエーレ・ダンヌンツィオ研究の今日

革新のひと、ダンヌンツィオ -- ジョルダーノ・ブルーノ・グェッリ 168
ダンヌンツィオの生きた時代 - 戦争と芸術家の間で -- 岡田暁生 174
ベル・エポックのラテン人 -- ダンヌンツィオとフランス -- 久保昭博 181
ダンヌンツィオと世紀末パリのジャポニズム -- 高階絵里加 192
《詩人の復活》- フィレンツェにおけるダンヌンツィオ -- 國司航佑 201
ダンヌンツィオのカリカチュア 内田健一 206
ダンヌンツィオと第一次世界大戦期のイタリア無声映画 -- 小川佐和子 220
ダンヌンツィオとドゥーゼ -- 鈴木国男 233
二つの『フランチェスカ・ダ・リミニ』をめぐって -- 大崎さやの 242
歌曲とダンヌンツィオ - 音楽的な詩、詩的な音楽 -- 森田 学 251
『聖セバスチャンの殉教』とドビュッシー -- 笠羽映子 260
ダンヌンツィオの見た日本文学 -- 吉田 勉 269
「西洋うた」Outa occidentale 草稿をめぐって -- 尾崎有紀子 273
ダンヌンツィオの初期受容をめぐって -「アルプス越え」から日本へ -- 渋江陽子 284
末永航氏講演「ダンヌンツィオの国へ - 大正教養世代のイタリア旅行」について -- 真銅正宏 299
ダンヌンツィオの国へ - 正教養世代のイタリア旅行 -- 末永 航 302
芥川龍之介に見るダンヌンツィオ -- 浅野 洋 310
京都大学のイタリア文学研究とダンヌンツィオ -- 星野 倫 316
三島由紀夫とダンヌンツィオ -- 井上隆史 322
執筆者・編者紹介 (掲載順) 334
本書の刊行に際しては、平成 25~27年度日本学術振興会科学研究費助成基盤研究 (C)「ダン ヌンツィオと同時代文化 - 二十世紀世界文学の翻訳の可能性と大衆・社会・政治」(研究課題番号: 25370339) として、日本学術振興会科学研究費助成を受けた。

関連情報

ダンヌンツィオに夢中だった頃 : カブリエーレ・ダンヌンツィオ(1863-1938)生誕150周年記念展 : 東京大学駒場博物館特別展示 (CiNii Books – 大学図書館の本をさがす)
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB1403514X
 
「ダンヌンツィオに夢中だった頃―カブリエーレ・ダンヌンツィオ(1863-1938)
生誕150周年記念展」(東京大学大学院総合文化研究所・教養学部 駒場博物館)
http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/2013.html#DAnnunzio
 
総合博物館 特別展 生誕150周年記念展「ダンヌンツィオに夢中だった頃」を開催中(2014年1月22日~3月9日) (京都大学ホームページ)
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news7/2013_1/140309_2.htm
 

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