東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

ライトグレーとミディアムグレーの表紙に黄緑の書名

書籍名

東大がつくった高齢社会の教科書 長寿時代の人生設計と社会創造

判型など

312ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2017年3月24日

ISBN コード

978-4-13-062418-3

出版社

東京大学出版会

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東大がつくった高齢社会の教科書

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人口の高齢化や人々の長寿化は、世界規模で進行している現象である。その中でも、日本は世界各国に先んじて最も人口高齢化、長寿化が進んだ国の一つとなっている。最近では社会の課題や将来予測を論じる上で枕詞のように用いられる「高齢化」「長寿化」という言葉であるが、高齢化が進む社会とはどういうことなのか、長生きをするということはどういうことなのか、どのような課題に直面していて解決が求められているのか、「高齢者及び高齢社会」に関することは、知らないことだらけである。年を重ねるというのは生きている限り万人に起きる現象であるにもかかわらず、自分自身や自分の身近な人の暮らしが、社会の高齢化や自身の加齢とともにどう変わっていくのかを自分ごととして捉えられている人はそう多くはないのではないだろうか。知らないことが、漠然とした将来への不安や、未来社会への不安に結びついてはいないだろうか。
 
本書は、東京大学に2009年4月に設置された高齢社会総合研究機構の教員を中心に、東京大学で高齢化や加齢に関する研究に取り組んでいる研究者が集まり、高齢社会に生きる誰もが持つべき基礎知識を一冊にまとめたものである。健康、就労、お金、介護、年金、テクノロジー、まちづくり…高齢化に関わる課題は多岐にわたり、一つの学術領域や専門領域で解決することはできない課題に溢れている。本書では、従来の学術領域にとらわれず、高齢化に関わる多様なテーマを取り上げている。総論に続いて、高齢期を生きる個人として経験する課題に焦点を当てた「個人編」と、社会の制度やシステムに焦点を当てた「社会編」に分けた構成となっている。テーマ毎のページ数はなるべく抑え、図表を多く活用することで、各テーマに初めて触れる人にとってもわかりやすい内容にすることを心がけた。高齢社会の課題を俯瞰する入門書として、高齢社会の基礎知識を集めた資料集として、日々の暮らしや学びの中で、またビジネス、行政、NPOなどの活動の中で、活用されることを想定している。
 
なお、本書は「高齢社会検定」の指定教科書でもある。「高齢社会検定」は、一般社団法人高齢社会共創センター (センター長: 秋山弘子 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授) が、2013年度より実施しているもので、検定試験に合格すると、上記センターが認定する民間資格「高齢社会エキスパート」の称号が合格者に付与される。個人で高齢社会について学び自分の人生設計に役立てたいという方、企業において社会の高齢化に対応した商品やサービスの開発に携わる方、自治体や行政職員として制度や施策立案に関わる方などが、毎年受講している。
 

(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 大方 潤一郎 / 高齢社会総合研究機構特任講師 菅原 育子 / 2018)

本の目次

[総論]
第1章 超高齢未来の姿
第2章 超高齢未来の課題
第3章 超高齢未来の可能性――課題解決に向けた方向性

[個人編]
第4章 長寿時代の理想の生き方・老い方
第5章 高齢者の活躍の仕方(就労・社会参加・生涯学習など)
第6章 高齢者の住まい
第7章 高齢者と移動
第8章 高齢者の暮らしとお金
第9章 高齢者の暮らしを支える資源
第10章 老化の理解とヘルスプロモーション
第11章 認知・行動障害への対応
第12章 最期の日々を自分らしく

[社会編]
第13章 超高齢社会と社会保障
第14章 医療制度の現状と改革視点
第15章 介護・高齢者福祉の現状と改革視点
第16章 年金政策の現状と改革視点
第17章 住宅政策・まちづくり
第18章 交通・移動システム
第19章 ジェロンテクノロジー
第20章 高齢者と法――自己決定と本人保護
 

関連情報

東京大学高齢社会総合研究機構ホームページ
http://www.iog.u-tokyo.ac.jp
 

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