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白い表紙にベージュのドット模様

書籍名

ちくま新書1343 日本思想史の名著30

著者名

苅部 直

判型など

272ページ、新書判

言語

日本語

発行年月日

2018年7月5日

ISBN コード

978-4-480-07159-0

出版社

筑摩書房

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日本思想史の名著30

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日本思想史については、近年、思想史研究の講座シリーズや、辞典の刊行があいついでいる。通史や概説の試みも、戦前の津田左右吉・村岡典嗣から戦後の和辻哲郎・丸山眞男などをはじめとして、いくつも作品が刊行されてきた。

だが、テクストに書かれた思想を概観して時代順に並べた通史でもなく、個別の思想に関する研究論文でもない、その中間の分析レベルの概説書も必要ではないだろうか。そう考えてまとめたのがこの本である。つまり、古代から昭和の戦後期に至るまで、日本思想史上の重要な著作を30点だけ選んでとりあげ、それに関して内容をやや詳しくとりあげるとともに、そこに表れている思想課題について考察を加える。また同時に、その思想がのちの時代にどう読まれたかについても、あわせて検討する。そうした文章を30本並べることを通じて、独自の概説書・入門書にできると考えたのである。

同じちくま新書では、佐々木毅『政治学の名著30』をはじめとする、各分野の「名著30」のシリーズが年点も刊行されている。また、日本思想史に深く関連する書目として、筒井清忠編『明治史講義[人物篇]』や、同編『昭和史講義[戦前文化人篇]』もある。そうしたほかの書物とあわせて読めば、日本思想史という分野のもっている広がりを、いっそう知ることができるだろう。

 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 苅部 直 / 2019)

本の目次

1 (『古事記』―国土とカミの物語
​      聖徳太子「憲法十七条」―古代王朝における「和」 ほか)

2 (山崎闇斎『大和小学』―神代史にひそむ普遍
  新井白石『西洋紀聞』―異文化間の理解は可能か ほか)

3 (會澤正志斎『新論』―徳川末期の総合政策論
  横井小楠『国是三論』―「公論」の政治と世界平和 ほか)

4 (吉野作造「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」―リベラリズムのゆくえ
  平塚らいてう『元始、女性は太陽であった』―フェミニズムの夜明け ほか)
 

関連情報

書籍紹介:
日本の思想はどんな問題と向き合ってきたか? 『日本思想史』著者が語る、王権と神仏で捉え直す通史 (Real Sound 2020年3月21日)
https://realsound.jp/book/2020/03/post-526456_3.html

新書ピックアップ (朝日新聞 2018年8月18日)
https://book.asahi.com/article/11758326
 

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