ちくま新書1343 日本思想史の名著30
日本思想史については、近年、思想史研究の講座シリーズや、辞典の刊行があいついでいる。通史や概説の試みも、戦前の津田左右吉・村岡典嗣から戦後の和辻哲郎・丸山眞男などをはじめとして、いくつも作品が刊行されてきた。
だが、テクストに書かれた思想を概観して時代順に並べた通史でもなく、個別の思想に関する研究論文でもない、その中間の分析レベルの概説書も必要ではないだろうか。そう考えてまとめたのがこの本である。つまり、古代から昭和の戦後期に至るまで、日本思想史上の重要な著作を30点だけ選んでとりあげ、それに関して内容をやや詳しくとりあげるとともに、そこに表れている思想課題について考察を加える。また同時に、その思想がのちの時代にどう読まれたかについても、あわせて検討する。そうした文章を30本並べることを通じて、独自の概説書・入門書にできると考えたのである。
同じちくま新書では、佐々木毅『政治学の名著30』をはじめとする、各分野の「名著30」のシリーズが年点も刊行されている。また、日本思想史に深く関連する書目として、筒井清忠編『明治史講義[人物篇]』や、同編『昭和史講義[戦前文化人篇]』もある。そうしたほかの書物とあわせて読めば、日本思想史という分野のもっている広がりを、いっそう知ることができるだろう。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 苅部 直 / 2019)
本の目次
1 (『古事記』―国土とカミの物語
聖徳太子「憲法十七条」―古代王朝における「和」 ほか)
2 (山崎闇斎『大和小学』―神代史にひそむ普遍
新井白石『西洋紀聞』―異文化間の理解は可能か ほか)
3 (會澤正志斎『新論』―徳川末期の総合政策論
横井小楠『国是三論』―「公論」の政治と世界平和 ほか)
4 (吉野作造「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」―リベラリズムのゆくえ
平塚らいてう『元始、女性は太陽であった』―フェミニズムの夜明け ほか)
聖徳太子「憲法十七条」―古代王朝における「和」 ほか)
2 (山崎闇斎『大和小学』―神代史にひそむ普遍
新井白石『西洋紀聞』―異文化間の理解は可能か ほか)
3 (會澤正志斎『新論』―徳川末期の総合政策論
横井小楠『国是三論』―「公論」の政治と世界平和 ほか)
4 (吉野作造「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」―リベラリズムのゆくえ
平塚らいてう『元始、女性は太陽であった』―フェミニズムの夜明け ほか)
関連情報
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