東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙にグレーの模様

書籍名

有斐閣アルマ ベーシック経済学 次につながる基礎固め 新版

著者名

古沢 泰治、 塩路 悦朗

判型など

454ページ、四六判、並製カバー付

言語

日本語

発行年月日

2018年12月

ISBN コード

978-4-641-22123-9

出版社

有斐閣

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

ベーシック経済学

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数ある経済学入門書の中で、どうしてこの教科書を手にすべきなのでしょうか? それは、本書が経済学を丁寧に、そして平易な言葉で解説している一方で、多くの入門書よりほんの少しだけ多くの数学的分析を盛り込むことにより、厳密な経済分析を通常以上に心がけているからです。
 
経済学入門書にも様々なものがありますが、平易な言葉で経済を語る種類のものは、得てして厳密性に欠ける議論を展開しがちです。そうした本は、経済学に興味を持ってもらうには有効ですが、経済学への深い理解を助けるには至りません。表面的な理解では、経済メカニズムの本質に迫ることはできないのです。共著者である塩路悦朗氏と私は、読者の皆さんに、経済で何が起こっているのかを正しく認識し、自分の頭で考え、各種の経済政策に批判的に向き合う力を身につけてほしいと願っています。
 
本書の副題は「次につながる基礎固め」です。経済学部1、2年生の「次」は、より高度なミクロ経済学やマクロ経済学、応用経済学としての労働経済学や国際経済学などを習得することでしょう。他学部の学生やビジネスマン、経済に興味を持っている全ての人たちにとっての「次」は、本当に多岐にわたっていることでしょう。しかし、どんな「次」であったとしても、本書を完読することによって得た、経済学の基礎知識、経済学的思考、経済問題に取り組む論理的な思考は、皆さんそれぞれの「次」に大いに役に立つと信じています。
 
本書は、多少難しくても厳密性を十分に担保した教科書を好む人たちに向いています。そうです。東大生にぴったりです! 本書は各章末に多くの練習問題を掲載しています。深い理解を獲得するのに最適な方法は、良問を多く解くことです。ぜひ、本書を手にし、章末の練習問題を解いて、本郷に来てください。
 
他の経済学入門書同様に、本書はミクロ経済学とマクロ経済学の2本柱からなっています。まず、ミクロ経済学では、消費者、生産者、政府という経済主体三者のミクロレベルの活動から、経済に接近していきます。そして、それらが財やサービスを交換する場である市場の機能について勉強します。その上で、消費税など市場に介入する政策の経済的効果や、市場機能や経済政策が社会厚生 (社会全体としての経済的満足度) に与える影響について見ていきます。後半のマクロ経済学では、経済全体を俯瞰して分析します。国内総生産 (Gross Domestic Product, GDP) や物価水準はどのように決まるのか?財政政策・金融政策は経済にどう影響を与えるのか? その影響は短期と長期で違ってくるのか?経済成長はどのようにして起こるのか? こうした問いに答えていきます。ミクロ経済学のパートでもマクロ経済学のパートでも、扱うトピックは標準的なものです。他の教科書と違うのは、それらへのアプローチの仕方です。入門書としては厳密性にこれまで以上にこだわり、読者を深い理解に導くのです。こうして得た知識や考え方は、皆さんの「次」につながってきます。
 
本書の共著者である塩路氏と私は、経済学を深く愛しています。読者の皆さんとこのパッションを分かち合えることができればとても幸せです。
 
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 古沢 泰治 / 2020)

本の目次

序 章 経済のしくみと経済学
 
第I部 ミクロ経済学
第1章 需要と供給
第2章 市場均衡
第3章 市場の効率性と政府介入
第4章 市場の失敗と政府の役割
第5章 企業行動と財の供給
第6章 消費者行動と財の需要
第7章 競争均衡と効率的資源配分
第8章 ゲーム理論
 
第II部 マクロ経済学
第9章 GDPとは
第10章 GDPに関連した概念
第11章 長期モデル1
第12章 長期モデル2
第13章 マクロ経済の短期モデル
第14章 人々の将来予想と経済変動
第15章 経済成長
第16章 日本経済とマクロ経済学
 

関連情報

訂正情報、練習問題の解答例、図表のスライド (PowerPointファイル) の申込み方法:
http://yuhikaku-nibu.txt-nifty.com/blog/2018/10/22123.html
 

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