東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白とオレンジの表紙

書籍名

ドイツ語I (’19)

著者名

森 芳樹、 イングリット カウフマン、 マリア・ガブリエラ シュミット

判型など

364ページ、A5判、CD付

言語

日本語、ドイツ語

発行年月日

2019年

ISBN コード

978-4-595-31969-3

出版社

放送大学教育振興会

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ドイツ語I (’19)

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放送大学において今年度から数年間使用される、テレビドイツ語のテキスト。東京大学の1年生が必修ドイツ語で学ぶ内容の前半部分をより多面的に構成したものである。近年、ヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR) はヨーロッパにおける言語教育だけでなく、世界におけるヨーロッパ言語の言語教育、さらに日本語など他言語の言語教育にも多大な影響を与えており、近年、その補足版も発表された。一方、その受容はさまざまであり、状況と文脈に合わせてさまざまであるべきだとも思う。本書では、難しいことばにもトライできる足腰を鍛えるための文法の学習を進めながら、同時にことばの使い方を実用的に学ぶ工夫がなされている。
 
具体的には、ドイツ語に関する「学校文法」に新たなアイデアを多く取り入れた。ドイツ語が他の言語からいかに違うのかという観点より、他の言語と似ている側面があちらこちらに見てとることができるという観点を強調することで、新しく学ぶドイツ語を、まるでどこかで見たことがあるような気持ちになってもらえることが重要と考えたからだ。また、その文法を学習者の学習進度に合わせて分解して提示する方式を取った。たとえば冠詞の格変化も1回ですべてを導入するのではなく、それぞれの格を別々の回に学習してもらえるよう配慮されている。
 
さらに、文法自体をさまざまな文体の言語使用をにらんだテキストによる学習の中に埋め込み、ドイツ語のさまざまな使い方に慣れ親しんでもらえるよう工夫した。語彙も、共通参照枠に準拠したゲーテ・インスティテュートのランク付けを参照しながら、初学者が学んでほしいものを明示している。ことばの能力には、文法能力を中核にしながらも、ことばを使ってどのようなパフォーマンスをするか、自分の置かれている状況をどのように把握するかといった言語使用、言語認知の能力も含まれると考えたからだ。
 
本書は、東京大学の1年生が扱う授業の半年分をカバーしている。しかし、テレビという放送教材との融合を考えてさまざまなスキットと練習を盛り込んでおり、実際にことばを使うパフォーマンスにつながるように設計されている。とくにスキットは、家族の構成員がそれぞれドイツでするであろう体験を組み合わせて、社会的に多様な日常場面の提示に努めた。この本だけではなく、アニメを多用したスキット、そこに登場する本学の先生や学生の声を聞きながら放送教材も楽しんでもらえれば幸いである。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 森 芳樹 / 2019)

本の目次

1. 挨拶とアルファベット 飛行機の中で
2. 紹介 空港で
3. 人や物の描写 仕事場で
4. 約束 日常生活
5. 個人のデータ 申し込み
6. 所有の表現 買い物
7. 移動と到着地 週末
8. 授受とその指示 祝いと祭り
9. 位置取りと位置決め 新しい年、新しい隣人
10. 日付と天気 天気、天候、四季
11. やりたいこと、やるべきこと 一日の流れ
12. 身づくろいと心もち 身体と感情
13. 起こり得ること、できること、して良いこと ハイデルベルクへの遠足
14. 説明と条件、理由づけ 招待客
15. 現在と未来 未来の計画
 

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