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白とオレンジの表紙

書籍名

Humanities Center Booklet 企画研究「学術資産としての東京大学」講演録

著者名

鈴木 淳 (研究代表) ほか

言語

日本語

発行年月日

2019年8月31日

ISSN コード

2434-9852

出版社

東京大学連携研究機構ヒューマニティーズセンター

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学内の連携研究機構ヒューマニティーズセンターの企画研究として2018年7月から2020年11月にかけて行われた5回の研究会・シンポジウムの記録で、4冊からなる。この企画研究は、さまざまな教職員に、東京大学の「学術資産」と思われるものについて話してもらい、分野を越えた討論者を設定して理解を深めようとするものであった。
 
1冊目は「東大仏教学への新たな視座」と「学術資産としての東京大学百年史とその編纂過程で確認された史料」の2回分を収める。前者は文学部インド哲学・仏教学研究室の下田教授と、同研究室出身でこの一色特任助教とが、長年の僧侶による仏教研究の流れが、東京大学で西洋の学問の影響を受けながら仏教学の形を整えて行く過程を紹介し、法学部の思想史研究者苅部教授、教養学部の日本近代史研究者山口准教授らと討論した。この過程を大学の中の学問的な状況だけで説明すべきではないことも含め、学術資産としての学問のとらえ方が議論された。後者では1977年から『東京大学百年史』の編纂に従事した照沼氏がその経験を語り、東京大学百五十年史の準備作業にあたった加藤東北大学准教授が質疑して、現在編纂準備にあたっている教員・学生と埋もれている学術資産を活用できる形にする年史編纂への理解を深めた。
 
2冊目では、1984年から東京大学敷地内の埋蔵文化財を調査して来た埋蔵文化財調査室の堀内准教授がその経緯と意義を話し、東大での発掘を通じて江戸時代を対象とする考古学が成立したことを説明した。これを受けて文学部文化資源学研究室の松田准教授は、グローバル化の時代にこそ東京大学が歴史的な地域性を利用して個性を打ち立てるべきだとして、具体的な事例に即して文化財の資源としての活用を論じ、参加者の間での議論も盛り上がった。
 
3冊目では、2011年から工学・情報工学図書館が中心となって進めて来た工学史料キュレーション事業について市村前工学系・情報工学系等情報図書課長が、東京大学総合研究博物館所蔵の工学史料、特に、それを用いた企画展も行われた田中家三代史料について同館の寺田特任准教授がそれぞれ紹介し、史料編纂所の尾上教授と筆者のほか、フランスからオンライン参加したヨーロッパにおける日本技術史研究の第一人者であるパウアー アルザス欧州日本学研究所副所長がこれらの事業の意義を論じた。
 
4冊目は、長年豊かな歴史的知見をキャンパス計画に反映させてきた工学部の西村・藤井両名誉教授と文学部の木下教授が本郷キャンパスの歴史とそれを生かしたキャンパス整備の経緯について、また工学部の角田技術専門職員が、工部大学校・工部美術学校の遺産について話し、現在のキャンパスの歴史的な成り立ちと意義について理解を深めた。
 
全体を通じて本学の学術資産の多様性と重要性、それを把握・保存・活用しようという本学構成員の努力、そして今後の課題の大きさがかなりの程度共有できるようになった。
 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 教授 鈴木 淳 / 2021)

本の目次

企画研究「学術資産としての東京大学」講演録1

1 企画研究「学術資産としての東京大学」講演録について  鈴木 淳
2 ワークショップ「東大仏教学への新たな視座」講演録
     組織仏教学が遺したもの  一色大悟
     コメント  苅部 直
     仏教学にみる日本における学知形成の特徴について  下田正弘
     コメント  山口輝臣
3 学術資産としての東京大学百年史とその編纂過程で確認された史料  照沼康孝
     コメント  加藤 諭


企画研究「学術資産としての東京大学」講演録2

古くて新しい学術資産―東京大学の埋蔵文化財―  堀内秀樹
      コメント  松田 陽


企画研究「学術資産としての東京大学」講演録3 学術資産としての工学史料

図書館業務として進める工学史料キュレーション事業の現状とこれから  市村櫻子
総合研究博物館の工学史料―全体像と田中家三代史料について  寺田鮎美
     コメント  尾上陽介・鈴木 淳
     エーリッヒ=パウアー教授のコメント
シンポジウム「本郷キャンパスの形成とそれを語る学術資産」講演録
     東京大学本郷キャンパスの計画とキャンパス計画室の役割  西村幸夫
     東大キャンパス史と建物の維持・修理そして未来  藤井恵介
     工部大学校由来の学術資産  角田真弓
     地上埋蔵文化財―そこにあって見えないもの  木下直之

このほか各回の全体討論の記録も掲載されている

関連情報

UTokyo Repository:
企画研究「学術資産としての東京大学」講演録1  (2019年8月31日発行)
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?page=1&size=100&sort=custom_sort&search_type=2&q=8257&timestamp=1616554746.338007
 
企画研究「学術資産としての東京大学」講演録2  (2019年9月30日発行)
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?page=1&size=100&sort=controlnumber&search_type=2&q=1627451928152&timestamp=1655804226.0002403
 
企画研究「学術資産としての東京大学」講演録3  (2021年3月30日発行)
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?page=1&size=100&sort=controlnumber&search_type=2&q=1620880132147&timestamp=1655804277.92105
 
企画研究「学術資産として東京大学」ワークショップ:
「学術資産としての東京大学」研究会 「古くて新しい学術資産―東京大学の埋蔵文化財―」 (東京大学ヒューマニティーズセンター事務局 2019年3月8日)
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/news/2019/190308-events/
 
シンポジウム「本郷キャンパスの形成とそれを語る学術資産」 (東京大学ヒューマニティーズセンター事務局 2018年10月28日)
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/news/2018/181028-symposium/
 
「学術資産としての東京大学百年史とその編纂過程で確認された史料」 (東京大学ヒューマニティーズセンター事務局 2018年8月22日)
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/news/2018/events-180822/
 
「東大仏教学への新たな視座」プログラム (東京大学ヒューマニティーズセンター事務局 2018年7月20日)
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/news/2018/events-180720/

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