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書籍名

中学歴史 日本と世界

判型など

296ページ

言語

日本語

発行年月日

2021年4月

ISBN コード

978-4-634-70904-1

出版社

山川出版社

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中学歴史

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2021年から始まる新課程の歴史教育に向けて、山川出版社の高校歴史教科書『詳説日本史』『詳説世界史』に接続する内容の高度な中学歴史教科書として、同社が初めて出版したもの。編者は橋場弦と桜井英治、執筆者は東京大学の池田嘉郎をはじめ第一線で活躍する歴史学者と現場で教鞭を執る教師たちである。
 
思考力・判断力・表現力が求められる新課程で歴史を学ぶ中学生に、わかりやすくかつ高度な内容の知識を身につけさせることを目的に制作されている。
 
章の構成は『詳説日本史』『詳説世界史』の流れにあわせており、また『詳説日本史』『詳説世界史』で使用している史料や図版・地図などを、中学生が理解できるよう平易に紹介する。また高校新課程の「歴史総合」「歴史探究」を学ぶ準備にも適している。
 
最大の特徴は、既存の中学歴史教科書が日本史の記述を主体としているのに対し、世界史の記述を比較的充実させていることである。見開き1テーマをベースに、それそれの歴史的事象の時代背景や状況、結果、その後の影響などを、豊富なイラストとともに丁寧に記載する。
 
本書の概要は以下の通りである。まず冒頭、第1章「歴史との対話」では、歴史を学ぶ上での基礎知識を概説し、また身近な地域の歴史を図書館やフィールドワークによって調べる方法を例示する。第2章「古代までの日本」では、世界の諸文明が前近代においてどのように形成されていったかを概観し、ついで日本文化のあけぼの・律令国家の形成・貴族政治と国風文化の順に叙述する。第3章「中世の日本」では、東アジア全体で古代帝国が再編期を迎えたのち、中世の武家社会が成立する過程を描く。第4章「近世の日本」では、世界史の上での大航海時代と西ヨーロッパの拡大、資本主義的世界体制の成立といった世界の流れに対し、日本がどのような立場をとり、幕藩体制を成立させたかを見る。第5章「近代の日本と国際関係」では、近代欧米世界が日本に開国を迫り、資本主義的世界体制への対応を迫られる中で、幕藩体制を解体しあたらしい近代国家の建設に向かうまでを叙述する。第6章「二つの世界大戦と日本」では、近代化を達成し、東アジアに植民地を築いていった日本が、二つの世界大戦に巻き込まれ、二発の原子爆弾を落とされて連合国に降伏するまでを描く。第7章「現代の日本と世界」では、戦後復興をとげた日本がどのように国際社会に受け入れられ、今日の世界の中でどのような役割を担っているかを見る。
 
歴史を学ぶ意味は、わたしたちとはちがう時代や地域に生きた人びとに出会うことによって、自分自身を理解することにある。日本の歴史の各時代には、さまざまな文化を持つ人びとが生活しており、彼らのものの見方考え方は、今日の私たちと大きく異なる面もあった。また日本ははやくから周辺のアジア世界から影響を受け、のちには欧米諸国とも関係を取り結びながら歴史を形成してきた。私たちは世界を知ることによって自分のこともよく知ることができる。日本のことしか知らない人は、その日本についてもよく理解できない。この歴史教科書は、ともすれば意識が内向きになりがちな現在、中学生が世界をとおして自国の歴史をよりよく知るようにという願いから編纂されたものである。
 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 教授 橋場 弦 / 2021)

本の目次

第1章 歴史との対話
  1節 私たちと歴史
  2節 身近な地域を調べよう
 
第2章 古代までの日本
  1節 世界の諸文明
  2節 日本文化のあけぼの
  3節 律令国家の形成
  4節 貴族政治と国風文化
 
第3章 中世の日本
  1節 中世社会の成立
  2節 武家社会の成長
 
第4章 近世の日本
  1節 一体化へ向かう世界
  2節 近世社会の成
  3節 幕藩体制の確立
  4節 幕藩体制の展開
  5節 幕藩体制の動揺
 
第5章 近代の日本と国際関係
  1節 欧米諸国の近代化と日本への接近
  2節 開国と幕末の動乱
  3節 立憲国家への道
  4節 日清日露戦争とアジア
  5節 近代日本の産業と文化
 
第6章 二つの世界大戦と日本
  1節 第1次世界大戦と日本
  2節 国際協調の崩壊
  3節 第2次世界大戦と日本
 
第7章 現代の日本と世界
  1節 戦後の日本と国際社会
  2節 新たな時代の日本と世界
 

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