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書籍名

行動経済学 サクッとわかるビジネス教養

判型など

168ページ、四六判

言語

日本語

発行年月日

2021年3月10日

ISBN コード

978-4-405-12011-2

出版社

新星出版社

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行動経済学

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こうして筆をとっている2021年8月現在、世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるい、収束の兆しは見えていません。「自粛」や「巣篭もり」といったワードがニュースを席巻する状況で、われわれ消費者の経済活動は冷え込みました。特に日本においては、本来であれば巨額の経済効果を生み出すと予想された東京五輪が延期に。このような非常に暗いニュースばかりで、世の中全体が異様な雰囲気に包まれていると言わざるを得ません。
 
ミクロな視点に切り替えてみると、企業の利益の低下によって賃金が下がったりボーナスをカットされたりしたビジネスパーソンや、休業要請に従って売上がゼロになり、毎月のように赤字を計上している中小企業事業者など、生活を左右するレベルで厳しい状況に直面している人々が大勢います。このように、手元の「お金」が少なくなっている状況下では、1円たりとも無駄にはできません。改めてお金の使い方を見直す必要があると考えます。私は、本書で扱う「行動経済学」がその一助となることを願ってやみません。
 
これまでの、いわゆる伝統的な経済学とは異なり、実際の消費者の行動から理論を形成するこの学問では、人間の持つ「非合理的」な部分にフォーカスしています。自分自身の非合理的な側面を知ることは、ひいては無駄遣いを減らしたり、不必要な消費をおさえたりすることにつながるのではないでしょうか。もちろん、消費者の行動をよく理解することで、マーケティングの質も大きく変わります。
 
一方で、行動経済学が役に立つのは、消費行動に限った話ではありません。人間が“意思決定する時のくせ”を知ることで、その行動の傾向がわかれば、人を良い方向に導くことができ、部下の「マネジメント」や、自分自身の「自己実現」にも有効に働きます。また、このコロナ禍において、行政や企業からも注目を集めています。たとえば、ヒジで小突くようにして他人に行動を促す「ナッジ」という理論は、人々の密集を防ぐためのキャンペーンに有効活用されているようです。
 
消費する側とされる側の両者にメリットを与え得る――つまり、誰もが役立てられる可能性を持つのが行動経済学です。そんな学問を取り扱う本書が、1人でも多くの読者の役に立つことを心から願っています。

 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 阿部 誠 / 2021)

本の目次

第1章:基礎から学ぶ! 知って得する行動経済学の考え方
第2章:人間らしい心の動き ヒューリスティック
第3章:意思決定の仕組み プロスペクト理論
第4章:マーケティングに活かす! 行動経済学の活用事例
第5章:行動経済学の目玉! ナッジ理論
第6章:ビジネスで役立つ! 行動経済学の応用法

 

関連情報

書籍紹介:
サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学 (flier 2021年9月)
https://www.flierinc.com/summary/2745

「サクッとわかる」ヒット連発 地政学に行動経済学も (NIKKEI STYLE 2021年4月30日)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO71437650X20C21A4000000/
 
新星出版社「サクッとわかるビジネス教養」シリーズ 最新刊『統計学』『行動経済学』 (文化通信 2021年3月15日)
https://www.bunkanews.jp/article/230173/
 
10万部突破のシリーズ最新作!『サクッとわかるビジネス教養 行動経済学』 (Dream News 2021年3月3日)
https://www.dreamnews.jp/press/0000232083/
 
サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学 (損保ジャパン)
https://park.sjnk.co.jp/education/fl10992/
 

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