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ライムグリーンの表紙に数字の8のイラスト

書籍名

保育の質を高めるドキュメンテーション 園の物語りの探究

著者名

秋田 喜代美、松本 理寿輝 (監修)、 東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター、 まちの保育園・こども園 (編著)

判型など

180ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2021年4月20日

ISBN コード

978-4-8058-8207-8

出版社

中央法規出版

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

保育の質を高めるドキュメンテーション

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本書は、東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター (CEDEP) と、まちの保育園・こども園、そしてレッジョ・エミリア・アプローチの国際ネットワークの日本拠点であるJIREAを運営するナチュラルスマイルジャパンとの共同研究の一環として執筆されたものです。
 
レッジョ・エミリア・アプローチとは、北イタリアレッジョ・エミリア市の乳幼児教育のアプローチです。1990年代にアメリカ版ニューズウィーク誌に世界で最も先進的な乳幼児教育として取り上げられたことをきっかけとして世界的に注目され、それぞれの国で実践され、発展してきています。その教育学は「傾聴と関係性の教育学」とも呼ばれるように、世界に耳を傾ける子どもの学びを傾聴し、関係性の中で知を構築していくことを重視しています。
 
ドキュメンテーションは、レッジョ・エミリアの教育において重要な役割を果たしています。レッジョ・エミリアの乳幼児教育の理念や制度を記した文書である『レッジョ・エミリア市自治体立幼児学校と乳児保育実践の憲章』の中に、ドキュメンテーションとは「子どもたちと実践した取り組みについて記録を生成し、収集する活動」であると述べられています。つまり、ビデオや、録音、写真、ノートなど様々な方法で行われる記録のことですが、単に実践を記録として残すというのではなく、記録を保育者、子ども、親などが共有し、それについて対話し、子どもの学びの意味や価値を見いだすことが大事にされています。
 
本書では、日本の保育において、レッジョ・エミリアの哲学や実践に学びつつ、つくられたドキュメンテーションとその考え方がまとめられています。本書をまとめる際に、CEDEPセンター長であり、現在は学習院大学教授/東京大学名誉教授である秋田喜代美先生は「子ども、保育者、保護者、園にとって意味あるドキュメンテーションの質とは何か」という問いを投げかけました。まちのこども園・保育園の代表である松本理寿輝さんと園の皆さんは、その問いを探究し、「ドキュメンテーションの8の字」というモデルを生み出しました。本書では、多くのドキュメンテーションの写真から子どもの学びや保育の豊かさを味わうことができますし、「8の字」モデルによってドキュメンテーションの背後にある考え方を学ぶことができます。さらに、まちのこども園・保育園以外の園のドキュメンテーションも掲載されていますので、ドキュメンテーションの実践の多様さも感じ取っていただけたらと思います。
 

(紹介文執筆者: 教育学研究科・教育学部 准教授 野澤 祥子 / 2022)

本の目次

さまざまなドキュメンテーション
はじめに…秋田喜代美
第1章 ドキュメンテーションとは、何ですか?…野澤祥子
第2章 保育とコミュニティが充実する?…松本理寿輝
第3章 ドキュメンテーションを作り、活用するためには?…松本理寿輝
第4章 ウェルビーイングにつながるドキュメンテーション…松本理寿輝
第5章 日本の保育記録とドキュメンテーション…浅井幸子/木島平村立おひさま保育園/経堂保育園/あゆのこ保育園/鳴門教育大学付属幼稚園
特別寄稿 レッジョ・エミリア・アプローチにおけるドキュメンテーション …マリーナ・カスタネッティ(レッジョ・チルドレン)
あとがき…松本理寿輝

関連情報

イベント:
書籍「保育の質を高めるドキュメンテーション 園の物語りの探究」出版&無料オンラインセミナー (2021年5月20日)
https://machihoiku.jp/news/1387/

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