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グレーの表紙

書籍名

日本の会計基準 第III巻 変容の時代

著者名

大日方 隆

判型など

464ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2023年3月7日

ISBN コード

978-4-502-43931-5

出版社

中央経済グループパブリッシング

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日本の会計基準 第III巻 変容の時代

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日本の会計基準は、どこからやって来て、いまどこにいて、これからどこへ向かおうとしているのか。本書は、日本の会計基準の正体を動的に解明しようとするものである。会計基準は、一定の会計規制の枠組のもとで形成されるものであるから、会計基準のあり方は会計規制の影響を強く受けている。それゆえ、会計基準の動きを捉えるためには、会計規制の構造という静的要素の本質をあきらかにしなければならない。それと同時に、会計基準の変化がいかなる要因によって生じたのかという動的要素をあきらかにする必要がある。会計規制と会計基準の組み合わせからなる会計制度という「場」において、その静的要素と動的要素がいかに登場し、絡み合い、消滅するのかを記述することが、本書の主題である。
 
日本の会計基準は、EUによる同等性評価の洗礼を受けて、IFRSへのコンバージェンスを加速した。コンバージェンスの結果、日本の会計基準の体系は変容した。日本の会計基準が国際標準並みになるのにしたがって、日本の会計基準の体系性はおおきく損なわれた。コンバージェンスの対象となったアメリカの個別会計基準や個別のIFRS (IAS) が依拠している論理が、従前の日本の会計基準に化体されてきた論理とは異なっているからであった。日本の会計基準の国際標準化が、どのような契機や経路を辿るにせよ、論理的に異なる海外の会計基準をそのまま移入するのであれば、そのような変容あるいは体系の崩壊は必至である。
 
この第3巻は、2つの柱からなっている。最も重要な柱は、会計基準の経路依存性 (path dependency) である。これは、ひらたくいうと、会計基準 (の内容) はそれが開発・作成された当時の政治的要因、経済的要因、会計規制のあり方などに規定されていることをいう。会計基準は局所的な時空の歴史を背負っているというわけである。第1巻、第2巻における日本の会計基準にかんする議論はすべて、この経路依存性を解き明かすものであり、会計基準の素性や正体は歴史的経路に規定されている。
 
会計理論の理念型や理想像だけにしたがって会計基準は形成されるわけではないとしたら、企業会計の原理原則とは別に、歴史的経路が問題になるはずである。その経路 (背景事情や当時の制約など) によって、会計基準は会計理論が想定する通りに作成されることもあれば、理論的想定からは乖離することもある。ある時点の会計基準の静的状況を描写するときでさえ、企業会計の基礎概念や原理原則だけでは不十分ということになる。さらに、会計基準の動的な変化を記述するためには、基礎概念や原理原則が変わらないとするならば、その変化を駆動した要因は別のところに求めなければならない。それを説明する要因として経路依存性に着目する。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 大日方 隆 / 2023)

本の目次

11 EUによる同等性評価
12 会計基準の経路依存性
13 IFRSの任意適用とコンバージェンス
14 崩れゆく理論的基盤
15 日本らしさの探求
 
終章

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