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東大、人体模型、骸骨のイラスト

書籍名

知識ゼロからの東大講義 そうだったのか! ヒトの生物学

著者名

坪井 貴司

判型など

272ページ、四六判

言語

日本語

発行年月日

2019年11月27日

ISBN コード

9784621304518

出版社

丸善出版

出版社URL

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そうだったのか! ヒトの生物学

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「この食品で免疫力が劇的にアップ」「遺伝子検査で未来の病気がすべてわかる」――朝、スマートフォンを開けば、こんな言葉が目に飛び込みます。書店には健康法や美容の新刊が並び、SNSではインフルエンサーが「科学的」と称するサプリを紹介。現代は健康情報に満ちあふれています。しかし、その中で確かな根拠を持つものはどれほどあるでしょうか。
 
私たちは日々、無数の選択を迫られます。「この食事法は正しいのか」「このワクチンを打つべきか」。羅針盤を持たずに情報の濁流に飛び込めば、不安ばかりが募ります。時には偽科学や不安を煽るビジネスに、大切な健康や資産を脅かされることさえあります。では、どうすればこの濁流に飲み込まれず、正しい道を選べるのでしょうか。その答えが、本書が提案する「生命科学の視点」です。
 
ヒトゲノムの解読により、生命の情報を読み解く扉が開かれました。しかしそれは「答え」の到来ではなく、むしろ「問いの増殖」の始まりでした。わかればわかるほど、知らないことが増えていく。これこそが生命科学の醍醐味です。今や生命科学は研究室の枠を超え、医学、心理学、倫理学とも結びつき、現代教養の最前線へ進化しています。
 
しかし、専門家になる必要はありません。重要なのは「科学的に考える作法」を身につけることです。「なぜそうなるのか?」と因果関係を問い、データと個人の感想を区別する力。これがあれば、「遺伝子で未来が決まる」という決定論に出会っても、冷静に距離を置けます。
 
本書『ヒトの生物学』は、その「科学的な眼」を養うためのガイドブックです。「生物学は暗記ばかりで苦手」という方も安心してください。難解な専門用語は避け、私たちの体に起きるドラマを物語のように解説します。生命の成り立ちから遺伝、感覚、病気との闘いまで、身近な問いを手がかりに進めます。
 
この学びは、自分と家族の健康を守るための土台です。情報過多の時代に惑わされず、自分の選択に理由を持てる力を。バイオテクノロジーが日常に浸透した時代に、何が正しいかを自分の言葉で考えるための力を授けてくれる一冊です。
 
生命科学を学ぶことは、「ヒトとは何か」を知ること、すなわち「自分自身」を理解することです。不確かな情報に振り回される日々を卒業し、自分の選択に確かな自信を持つために。ぜひ本書を手に取ってみてください。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 坪井 貴司 / 2025)

本の目次

序章
クラゲとアレルギーの意外な関係/伊達政宗と夏目漱石の共通点/アレルギーとアナフィラキシーショック/体 (背中) を張った実験と抗体の発見/アレルギーの薬から胃潰瘍の治療薬へ/抗ヒスタミン薬が睡眠導入薬に?

・ 免疫のプレ講義 体が異物を排除するしくみ 
・ 細胞のプレ講義 細胞が外界の情報を感受するしくみ 

第1章 感染と免疫 ― 外敵から体を守る
細菌が作り出す毒素で感染症に/結核がいまだになくならない日本/コッホの原則/失敗は成功のもと ― 世界を変えた薬 ペニシリン/ペニシリンの大量合成と第二次世界大戦/フレミングの予言 ― 進撃の薬剤耐性菌/真菌 ― 実はふだん食べていますがときには猛威を振るいます/寄生虫 ― 意外なところに隠れています/10億人以上もの人を救う薬の発見/鳥インフルエンザの正体/感染に対抗するしくみ ― 免疫/ワクチン後進国、日本/体がいろいろな病原体に対応できるわけ/再考、花粉症のメカニズム/ヒト免疫不全ウイルス (HIV) と後天性免疫不全症候群 (エイズ)

・ 感染の基本講義 (1) 細菌 
・ 感染の基本講義 (2) ウイルス 
・ 免疫の基本講義 (1) 自然免疫と獲得免疫 
・ 免疫の基本講座 (2) 液性免疫と細胞性免疫 
・ 免疫の基本講義 (3) 抗体の多様性のしくみ 
・ 免疫の発展講義  自己と非自己を見分けるしくみ 
・ コラム HIV感染からの生還 

第2章 遺伝子、タンパク質、体質とエピジェネティクス ― あなたがあなたであるわけ
体質って何? ― 薬の効きやすい人と効きにくい人/CYPとオーダーメイド医療/二重らせん構造の発見の舞台裏/遺伝病の例 ― 嚢胞性線維症、ハンチントン病、血友病/ほとんどの病気は多遺伝子性疾患/一塩基多型 ― 遺伝子の突然変異ではなく多様性/染色体の数も大切 ― ダウン症候群/遺伝子のスイッチ ― 一卵性双生児とオランダの飢饉/DNA塩基配列の変化を伴わない細胞の性質の変化 ― エピジェネティクス/色覚異常とスーパーヴィジョン/ゲノムの化学修飾と病気 ― インプリンティングによる病気/エピゲノムの初期化/体質は環境や経験によって変わる/エピジェネティクスは次世代に伝わるか?

・ 分子の基本講義 (1) DNAと二重らせん 
・ 分子の基本講義 (2) 遺伝子とゲノム 
・ 遺伝の基本講義 (1) 染色体と遺伝
・ 遺伝の基本講義 (2) 性染色体と遺伝疾患
・ コラム 新型出生前診断
・ 遺伝の発展講義 (1) X染色体不活化と三毛猫の毛色と模様
・ 遺伝の発展講義 (2) エピジェネティクスとエピゲノムの違い

第3章 細胞周期、がん、薬 ― 細胞の暴走を食い止める
日本人の死因 ― 健康オタクなのに/がんとは?/発がんの原因を探して ― 寄生虫説・化学物質説・ウイルス説/ウイルスから不思議な酵素を発見/RNAウイルスが引き起こす病気/ウイルスはがん遺伝子を持っていた/ヒトにはがん遺伝子はあるのか?/白血病と分子標的薬/がんを抑える遺伝子はあるのか?/多段階発がんモデル/遺伝子のエピジェネティックな変化とがん/ヒトにがんを発生させるウイルス/抗体を使ってがんをやっつける/がんの治療法の種類と新しい原理の治療法 ― がん免疫療法/老化と寿命とがんの密接な関係/アンジェリーナ・ジョリーと乳がん

・ 細胞の基本講義 (1) リン酸化と情報伝達 
・ 細胞の基本講義 (2) DNAと細胞周期 
・ 細胞の基本講義 (3) アポトーシスとネクローシス  
・ コラム 新しいがん治療 ― がん免疫療法とは

第4章 ホルモン ― 細胞間のメッセンジャー
自分や家族を実験台にした生理学者たち/脳にもホルモンを分泌する細胞がある/視床下部と脳下垂体によるホルモン分泌の調節/一酸化窒素とノーベル/ホルモン焼きにはホルモンが含まれるのか?/食欲の調節 ― 満腹中枢と摂食中枢/脂肪細胞が食欲を調節する?/血中のグルコースと脂肪酸の濃度によって食欲が調節される?/肥満マウスの発見 ― 未知の食欲制御因子発見に肉薄/新参者の果敢な挑戦 ― ob遺伝子の同定/脂肪細胞と性ホルモンの意外な関係性/食欲を抑えるホルモンであるレプチンは「究極のやせ薬」になった?/意外な臓器から食欲を促進するホルモンが発見された/糖尿病とインスリンの発見/糖尿病の種類/小腸から分泌されるホルモンとインスリンの意外な関係/腸内細菌とホルモン分泌との密接な関係/糖尿病と運動/知られてないけど大切な器官 ― 甲状腺/ホルモンによって愛着が決まる?

・ ホルモンの基本講義 (1) 内分泌腺と外分泌線
・ ホルモンの基本講義 (2) ホルモンにもいろいろな種類がある
・ ホルモンの基本講義 (3) 古典的なホルモンと新しいホルモン 
・ ホルモンの発展講義  インスリンによる血糖濃度の調節のしくみ 
・ コラム トカゲの唾液から糖尿病の治療薬 

第5章 脳 ― あなたを生み出す装置
昨日と今日の違いは大切/失ったはずの手や脚の痛みを感じる/脳地図の再構築/体の痛みと寂しさや妬みは同じ痛み?/体の状態から脳は今の自分の状態を把握する/ストレスと運動の関係/うつ病/他人の気持ちに共感するしくみ/腸内細菌がヒトを救う?/記憶・学習能力の獲得には、遺伝子も環境も大切/認知症

・ 脳の基本講義 (1) 脳の構造
・ 脳の基本講義 (2) ニューロン同士での情報伝達
・ 脳の発展講義  記憶のしくみ
・ コラム 認知症治療薬の開発の現状
・ コラム 認知症を引き起こす新たな因子と認知症発症予防の可能性 

参考文献・図書
索引
 

関連情報

『知識ゼロからの東大講義 そうだったのか! ヒトの生物学』ウェブサポートページ
https://www.maruzen-publishing.co.jp/news/n111639.html
 
書評:
仲野徹 評「知識ゼロからの東大講義 そうだったのか! ヒトの生物学」 (『学鐙』第117巻第1号 2020年3月10日)
https://yushodo.maruzen.co.jp/corp/gakuto/backno/
 
中江有里 評「中江有里のブックレビュー」 (ひるまえほっと|NHK総合 2020年2月18日)
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-Y5X4M52N77/ep/QNP9MK5RNY
 
書籍紹介:
新刊案内 (『環境新聞』 2020年3月18日)
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682757/b/1957852/
 
新刊Guide (『日経サイエンス』 2020年2月号)
https://www.nikkei-science.net/modules/journal/index.php?vol=202002
 

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