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東大赤門と筋肉質の人、先生、猫などのイラスト

書籍名

知識ゼロからの東大講義 そこが知りたい! ヒトの生物学 2時限目

著者名

坪井 貴司

判型など

256ページ、128x188mm

言語

日本語

発行年月日

2023年10月25日

ISBN コード

9784621308547

出版社

丸善出版

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そこが知りたい! ヒトの生物学

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「生命はどのように始まり、どのように形作られていくのか?」鏡に映る自分や、脈打つ心臓の鼓動を感じるとき、ふとそんな疑問を抱いたことはありませんか。私たちはかつて、たった一つの受精卵に過ぎませんでした。それがどのようにして分裂を繰り返し、目や耳、脳といった複雑な器官を持つ「私」という存在になれたのか。実は、このプロセスをすべて説明できる科学者は世界にまだ一人もいません。この本は、そんな生命最大のミステリーに、近年の生命科学の視点から迫る一冊です。
 
私たちの体作りは、ビルや機械を作るのとは全く違います。現場監督はおらず、あるのはゲノムという情報だけ。遺伝子がタンパク質を作り、そのタンパク質が次の遺伝子のスイッチを入れる。こうした「分子のドミノ倒し」が、誰の命令も受けずに同時進行し、ひとりでに秩序ある構造を作り上げていくのです。この「勝手に体ができていく」という自律的な仕組みこそが生命の凄さであり、同時に、ほんのわずかな分子の変化が病気につながる理由でもあります。
 
本書では、この複雑で美しい生命のしくみを、予備知識がなくても読み進められるよう、四つのテーマで読み解きます。まずは、体の基本構造が決まる劇的な瞬間「原腸陥入」について。発生学の世界では「誕生や結婚も、死さえも超えて、人生で最も重要な瞬間である」と言われるこのイベントがなければ、人間は形を成すことさえできません。次に、皆さんの関心も高い「性」について考えます。性は「男と女」という単純な二択ではなく、実はグラデーションとして捉えると、見えてくるものがあります。この科学的視点は、性の多様性を理解し、現代社会で共に生きるための大切な手掛かりになります。
 
また、心臓や筋肉といった「動き続ける器官」の謎にも迫ります。同じトレーニングをしても成果が違うのはなぜか、健康な若者を襲う突然死のリスクとは何か。遺伝的なリスクを知ることは自分の体を守る第一歩であり、AEDの知識はいざというときに大切な人の命をつなぐ力になります。そして、五感の正体。実は鼻や口以外でも体が「匂い」や「味」を感じている、そんな意外な研究結果が明らかになっています。感覚器の知られざる役割を知れば、世界の見え方が少し変わるかもしれません。
 
生命の仕組みは一見すると難解ですが、その裏側には驚くほどシンプルで面白い原理が隠されています。この本は、単なる知識の暗記ではなく、「なぜそうなるのか?」を一緒に考えるためのガイドブックです。医学や科学に興味がある人はもちろん、文系理系を問わず「人間とは何か」を知りたいすべての人に読んでほしいと思います。読み終える頃には、自分の体の中で起きている出来事が、奇跡のように愛おしく感じられるようになっているはずです。
 
科学的な視点から「私」という存在を見つめ直す、知的探求の旅へ出かけてみませんか。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 教授 坪井 貴司 / 2025)

本の目次

第1章  発 生 ― 誕生と成長のしくみ
100年に1度の大改造とヒトの発生の大きな違い/桁違いに大きい卵 ― 大きいことの利点と欠点/自分の置かれた位置情報を知る/袋の中に袋を作る/時間を巻き戻すことはできるのか?/フリーズドライ細胞からクローンマウス?!/体は二次元ではなく三次元/細胞のミルフィーユ/ヒトとホヤは同じ仲間?/ソニックヘッジホッグ?/皇帝サウザー ― 内臓の位置が左右逆転?/繊毛の動きが大切/細胞も手をつなぐ/ちくわを作る ― 消化管は体の外?/体節の形成にも濃度勾配が大切/分節時計の速度と椎骨の数/翅からヘルメット?!/遺伝子の並び方と順番が重要/HOX遺伝子はまるでマジシャン?/細胞の間の会話で細胞は分化する/旅する神経堤細胞/目的地をどのように見つけるのか/目的地を間違えると何が起こるのか?/腸から脳になる?!

発生の基本講義 (1) 全能性と多能性
発生の発展講義 (1) ES細胞からiPS細胞へ
発生の基本講義 (2) 細胞骨格
コラム 葉酸サプリメントはなぜ必要?
発生の発展講義 (2) 体内時計

第2章  生 殖 ― 子孫を増やすしくみ
性別はどのようにしてきまるのか?/性染色体/とりかえばや物語 ― 男性と女性が入れ替わる?/男性化を引き起こす鍵 ― テストステロンとアンドロゲン受容体/副腎皮質でもテストステロンが作られる/性染色体の本数も大切/内分泌かく乱物質と性分化/脳にもオスとメスがある/排卵のしくみ/卵の選別と排卵総数/卵母細胞の老化/精子の産生と射精/精子とオートファジー/卵と精子が出会うまで/縁結びの神と受精

生殖の基本講義 (1) 卵と精子を作り出すしくみ
生殖の基本講義 (2) 卵巣と精巣を形成するしくみ
生殖の基本講義 (3) 卵と精子の産生と脳との関係
コラム 前立腺肥大症の治療薬と脱毛の関係

第3章  運 動 ― 体を動かすしくみ
筋ジストロフィー/筋ジストロフィーとエキソンスキッピング/スーパーベビーと遺伝子ドーピング?/筋力トレーニングの効果/短距離走者は寒さによわい?/美容整形と神経毒との意外な関係/血液の流れ ― 体の中にあるたった1つのポンプ/心臓を構成する細胞/心臓のリズミカルな興奮を可能にするしくみ/遺伝子の突然変異と心筋の機能異常/遺伝子の突然変異による突然死かそれとも……/AEDの大切さ

運動の基本講義 (1) 筋収縮と弛緩
運動の基本講義 (2) 筋と脳の間の情報伝達
コラム 筋肉とアセチルコリン
運動の発展講義  骨格筋の収縮に必要な因子
運動の基本講義 (3) 心筋の活動電位
コラム 突然死

第4章  感 覚 ― 環境の変化を感じるしくみ
トイレにいきたい!ってどんな感覚?/熱いと辛いは同じ?!/多彩な温度感覚/どうして蚊に刺されても痛くないのか?/息を止めると心拍数はどうなる?/におい情報の変換機構/においの感じ方の個人差/嗅覚受容体の分布 ― どうしてそんなところにあるの?/涙にフェロモン?/ネコにマタタビ/5つの味を感じることは普通?/臓器も味を感じる?/網膜の構造/もっと光を!/ジェニファー・アニストン細胞?!/毛が大切/自分自身も動きます ― 音量調整の絶妙なしくみ/大音量で音楽を聴くとキレてしまうかも

感覚の基本講義 (1) 感覚受容と変換
コラム 痛みを感じないのはおトク?
感覚の基本講義 (2) 嗅 覚
感覚の基本講義 (3) 味 覚
感覚の基本講義 (4) 視 覚
感覚の発展講義  光情報のシグナル化
感覚の基本講義 (5) 聴 覚

参考文献・図書
索 引
 

関連情報

書評:
仲野徹 評「知識ゼロからの東大講義 ― そこが知りたい! ヒトの生物学2時限目」 (|丸善出版『学鐙』第121巻第1号 2024年3月5日)
https://yushodo.maruzen.co.jp/corp/gakuto/backno/20240305/

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