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地域文化研究専攻の木宮正史教授が大平正芳記念賞特別賞を受賞

掲載日:2022年7月15日

地域文化研究専攻の木宮正史教授が大平正芳記念賞特別賞を受賞


本学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻の木宮正史教授が、『日韓関係史』(岩波書店、2021年)によって、2022年6月10日(金)に第38回大平正芳記念賞特別賞を受賞しました。

本書はなぜ、近年、日韓関係が急激に悪化することになってしまったのか。その原因として日韓関係が「非対称的で相互補完的な関係」から「対称的で相互競争的な関係」に変容したにもかかわらず、日韓双方が、それに適切に対応できていないという点に注目したものです。日韓両国は、一体何のためにどのように協力するのかが不透明になり、競争関係が強く刻印されることで、相互に自分の方が進んで譲歩し難いという関係になってきました。その結果、日韓の間に存在する歴史問題や領土問題に起因した対立関係がエスカレートしないように管理するという課題を、日韓双方とも共有し難くなったのです。
さらに、外交政策をめぐる乖離も目立つようになります。北朝鮮をめぐる政策の乖離、米中対立への対応の違いが日韓関係にも影響を及ぼし、日韓が対米同盟をめぐって競争関係を構成するようになります。
本書は、19世紀後半から現在に至る日韓関係の展開過程を分析することで、「日韓関係がなぜこうまで悪化したのか」という問題を再考すると共に、「では、どのように取り組むべきであるのか」を考察したものです。

受賞理由については、「ともすると、感情論が先走りがちなテーマを扱いながらも、著者はあくまで学術的な実証研究に基づき冷静かつ客観的に、かつ常に日韓双方の認識や対応を併置しながらバランス良く議論を進めていく。重厚なテーマを新書本らしくかみ砕いて説く筆致は圧巻であり、この問題について考え、議論する際の必読書となるべき著作として、大平正芳記念賞の特別賞にふさわしい」という金子芳樹氏の選評が紹介されています。



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