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史料編纂所 古写真研究プロジェクト・谷昭佳さんが日本写真協会学芸賞を受賞!

掲載日:2020年7月6日

 6月1日は日本写真協会が定めた「写真の日」でした。毎年この日に、日本の写真界や写真文化に顕著な貢献をした個人や団体に日本写真協会賞が贈られます。今年度は残念ながら新型コロナウイルス感染症のため表彰式及び受賞作品展は中止になりましたが、本所画像史料解析センター古写真研究プロジェクトの谷昭佳さん(本所技術専門職員)が学芸賞を受賞しました。受賞理由としては、「古写真による『幕末・明治の日本』を政治経済、社会にまで視野を広げて、写真の果たしてきた役割や実績の解析を調査した研究」が高く評価されました。
 古写真研究プロジェクトでは、ボン大学名誉教授ペーター・パンツァー先生や宮田奈奈さんの協力を得て、オーストリアの写真家ヴィルヘルム・ブルガー(1844-1920)とその弟子ミヒャエル・モーザー(1853-1912)のガラス原板ネガ写真の研究に取り組んできました。2018年3月には、プロジェクト編による写真史料集『高精細画像で甦る150年前の幕末・明治初期日本―ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション―』(洋泉社)を出版し、昨年は、日墺修好150周年記念特別展「日本・オーストリア国交のはじまり―写真家が見た明治初期日本の姿―」(港区教育委員会主催・史料編纂所共催・オーストリア大使館協力)を港区立郷土歴史館で開催しました。この展示会には、約2か月の会期中に5000名を超える観覧者がありました。
 谷さんは、写真史・写真学の観点から、こうした企画の中核メンバーとして研究プロジェクトをリードし、展示会の図録に掲載した論稿「ブルガー&モーザーのガラス原板コレクションに見る幕末・明治初期写真」をはじめ、写真史料をめぐる国際研究集会「在外写真史料の研究と歴史学」(2019年6月)における報告や台湾國立台南大學における講演会、NHK・BS8K番組への出演まで大車輪の活躍ぶりでした。2018年には、スイス・ヌーシャテル民族誌博物館のGregoire MAYOR氏と共編著で“Japan in Early Photographs, The Aime Humbert Collection at the Museum of Ethnography, Neuchatel,” MEN, arnoldsche ART PUBLISHERSも刊行しています。
 日本写真協会賞は、1952年にはじまる伝統ある賞のひとつです。古写真研究プロジェクトにおける谷さんの業績が、写真研究の世界で高く評価されたことは喜ばしく、その写真史・写真学研究が今後ともさらに発展を遂げることが期待されます。

関連書籍

東京大学史料編纂所古写真研究プロジェクト (編) 『 高精細画像で甦る150年前の幕末・明治初期日本 ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション 』 (洋泉社、2018年) ISBN: 9784800314079

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