第5回 UTokyo Research, on site 東京大学における火山研究

御嶽山の噴火は、日本は火山列島であり、地質環境が変わりやすいことと自然災害に対して脆弱であること改めて認識せられる出来事でした。2015年2月27日(金)に本郷キャンパスにおいて地震学研究所と理学系研究科を中心に“Flying into the frying pan: Volcano research at the University of Tokyo” (東京大学における火山研究)と題して、第五回目の「UTokyo Research, on site」研究室ツアーを開催しました。研究の現場に19名(メディア関係者:14名、大使 館関係者:5名)の参加者を迎えました。参加者は前半に火山のいろはや地震学研究所と理学系研究科で行われている火山研究の概要を聞いた後、質疑応答とコーヒーブレイクを挟んで3つの研究の現場を訪ねました。
ブリーフィング
まず、地震研究所の小屋口剛博所長/教授から地震研究所と理学系研究科で行われている、マグマがマントルで作れる過程から火山が噴火するまでの幅広い研究が紹介されました。また、火山の研究は、物理学や化学の知識を用いて火山を理解しようとする学問であり、火山の観測のほか、実際に火山の岩石を実験室で作製して破壊する実験を通して、理解を深めることができるとの説明がなされました。
ツアー:無人ヘリコプターを用いた火山の観測
ブリーフィングの後は質疑応答とコーヒーブレイクを挟んで、3つの研究室を回りました。地震研究所の大湊隆雄准教授、金子隆之助教らは、活動が活発で近づくことのできない火山の観測を、無人ヘリコプターを用いて行っています。実際に使っているヘリコプターや、ヘリコプターによって観測地に設置される地震波や磁気を計測するセンサーを見学しました。
ツアー:火山から放出されるガスの観測
理学系研究科の森俊哉准教授の研究室では、人間の目には透明に映る二酸化硫黄などの火山ガスを可視化して、火山ガスの継時的な変化を定量的に評価しています。火山ガスが紫外線を吸収するという特性を用いて、火山ガスの可視化に取り組んでいます。御嶽山が噴火した際には、羽が4つ付いた無人のマルチコプターにセンサーを搭載して火山ガスを測定した調査も紹介されました。
ツアー:火山の噴煙の3次元シミュレーション
地震研究所の鈴木雄治郎助教は、火山が噴火すると大気中に放出される火山灰と火山ガスからなる噴煙がどのように変化するのかをシミュレーションにより、3次元のモデルを構築することによって再現しようとしています。1991年に噴火しフィリピンのピナトゥボ山や2011年に噴火した新燃岳の噴煙のシミュレーション結果が紹介されました。参加者は3次元眼鏡をかけて、噴煙が変化する様子を体感しました。
研究者(アルファベット順)
金子 隆之助教
地震研究所 火山噴火予知研究センター
小屋口 剛博所長/教授
地震研究所 数理系研究部門
森 俊哉准教授
理学系研究科附属 地殻化学実験施設
大湊 隆雄准教授
地震研究所 観測開発基盤センター
鈴木 雄治郎助教
地震研究所 数理系研究部門