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衛星用のアンテナをシェアして宇宙と常時接続する未来へ | 倉原直美さん | UTokyo 30s No.16

掲載日:2020年1月28日

やらいでか!UTokyo サーティーズ
淡青色の若手起業家たち

350社を超える東京大学関連ベンチャー企業の中から、30代の元気な若手起業家を7人選びました。会社の場所は、本郷のベンチャー支援施設が4社、柏の支援施設が1社、大手町が1社、五反田が1社です。彼/彼女らは日々どんな事業を進めているのか、そして、どんな人となりを持っているのか。その一端を紹介します。(広報誌「淡青」39号より)
※2019年9月10日時点での30代を対象にしています。

衛星通信インフラ共有事業

衛星用のアンテナをシェアして宇宙と常時接続する未来へ

倉原直美さん
KURAHARA, Naomi
インフォステラ代表取締役CEO
写真
昨年12月に移転した五反田オフィスにて。「キッズスペースから東急池上線の電車がよく見えますね」

1957年のスプートニク1号に始まる人工衛星の歴史。小型化が進む現在ではコストが大幅に下がり、宇宙ビジネスの進展が期待されます。しかし、そこには制約要因が。約90分で地球を一周する衛星と地上にある一つのアンテナとが通信できる時間は、一回に約10分、一日に約40分しかないのです。衛星の利用者にもアンテナの所有者にも効率が悪いこの問題に着目し、世界各地にあるアンテナをシェアする事業を行っているのが、倉原さんのインフォステラです。

「海外に行く際、通信用にWi-Fiルーターを借りますよね。通信の規格は国や事業者によって違うのにそれを意識せず使えるのは、異なる仕組み同士を接続する技術が裏で動いているから。衛星との通信において同様の技術を提供するのが私たちです」

大分県出身で、日本人宇宙飛行士の登場やいまはなきスペースワールドを少女時代に見て宇宙に憧れた倉原さん。九州工業大学に入学し、宇宙空間での衛星の振る舞いなどを研究して博士課程まで修めた後は、東大の工学系研究科で特任研究員を務めます。超小型衛星のパイオニア、中須賀真一教授のプロジェクトでした。

「学生時代にUNISECという宇宙工学コンソーシアムによく参加していた縁で、中須賀先生が声をかけてくれたんです。別の道もありましたが、『これから作るのは衛星だけじゃない、日本の宇宙産業の未来なんだ』と諭されて、その気になりました」

アンテナシェアの必要性を痛感したのはこのプロジェクトの頃。北海道・大樹町に立てたアンテナを使いましたが、時間も量も限定された中で通信するストレスは大きく、他に使えるアンテナがないかと探し回った経験が、衛星通信ベンチャーの構想を生みました。プロジェクトの後、衛星管制システムの会社で運用コンソールの開発に携わり、2016年に2人の仲間とインフォステラを起業。そのとき生まれたのは会社だけではありませんでした。

「1月に起業した後に妊娠して、12月に息子を出産したんです。大変でしたが、会社の仲間たちが協力してくれました」

営業活動を始めてわかったのは、使えるアンテナの数が増えないと利用者が増えず、利用者が増えないとアンテナの数も増えないこと。しかし、CEO自身のアンテナは世界中にある需要の大きさを確実に捉えています。「鶏が先か、卵が先か」。そんなジレンマを打破した先に到来するのは、宇宙と地球が常時接続する未来です。

Q & A
休みの日には何を? 「機関車トーマスのプラレールで遊んだり、電車博物館に行ったり」
尊敬する起業家は? コロプラ創業者の一人でエンジェル投資家の千葉功太郎さん」
お薦めの宇宙映画は? 好きな作家は? 「「メッセージ」がミステリーっぽくて好き」「アガサ・クリスティ」
宇宙開発の世界で感じる世代差は? 「40-50代より60代が元気。30代はビジネスとしても宇宙を見る」
インフォステラが契約しているシェア用アンテナの一つ

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