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一高と農学部関連の施設を巡る駒場Iキャンパスツアー キャンパス散歩 第36回 | 淡青39号より

掲載日:2020年2月11日

キャンパス散歩 第36回
一高と農学部関連の施設を巡る駒場Iキャンパスツアー

折茂克哉
総合文化研究科駒場博物館
助教

本稿では、旧制第一高等学校(一高)時代の建築物を中心とした駒場Iキャンパスツアーを、写真とともに紹介したい。

1. 正門

写真1-1
写真1-2

京王井の頭線駒場東大前駅西口の北側階段を降りると、正面に駒場Iキャンパス正門が見える(写真1-1)。現在は「東京大学教養学部」と記されているこの門には、かつて「第一高等学校」という門札が掲げられていた。大2枚と小2枚で構成される扉には、柏とオリーブの葉によってデザインされた一高の校章があしらわれている(写真1-2)。現在の正門は2008年に再制作されたものである。

2. 1号館(旧一高本館)

正門を通り抜けた正面にあるのが1号館である(写真2)。一高当時は本館とされ、教室の他に職員室や校長室も置かれていた。屋上南西角上部には建設当時に設置されたと思われる「三角点 目黒区、公共基準点 No.2 目黒区」が現存している(現在は使用せず)。

写真2

3. 900番教室(旧一高倫理講堂)

写真3-1

1号館正面から左手にある教会風の建物が900番教室(約500名収容可)である(写真3-1)。一高時代に倫理講堂として建設された。正面上部には円形に区画された装飾があるが、その中心部にある十字形の紋様は4枚の柏葉の意匠となっている(写真3-2)。これは正門-1号館を挟んで向かい側に位置する駒場博物館(旧一高図書館)の意匠(オリーブ葉4枚で構成される十字形)と対になっている。

写真3-2

4. 駒場農学碑

900番教室左手から西奥に進むと見えてくる笹に覆われた部分に「駒場農学碑」は存在している(写真4)。目黒区駒場は1878年に農学校がおかれたところであった。のちに駒場農学校、東京帝国大学農学部となり、1935年に現在の本郷弥生キャンパスにあった一高と校地が交換された。記念碑設置は1936年。

写真4

5. ファカルティハウス(旧一高同窓会館洋館)

写真5

駒場農学碑西隣の現在はフレンチレストランが経営されている瀟洒な建物は、一高同窓会館洋館とされていた建物である(写真5)。

6. ファカルティハウス庭 ブロンズ像・嗚呼玉杯之碑

写真6-1

庭園最奥にある二つの銅像は、西側からそれぞれアリベー像とプッチール像である(写真6-1)。一高教員であった両先生像は本郷時代に設立され、一高の駒場移転に伴って駒場キャンパスに持ち込まれた。2004年の一高創立130周年記念事業の一環として台座を新たに制作し、現在の場所に再設置された。

ブロンズ像の東隣には、やはり一高創立130周年を機に同窓会によって植樹されたオリーブが、一番東側の庭園入口付近には「嗚呼玉杯之碑」が設置されている(写真6-2)。

写真6-2

7. 1号館北壁「護国旗」紋章

写真7-1
写真7-2
写真7-3

ファカルティハウスから900番教室北側の道を辿り1号館西側の道を北に向かうと、銀杏並木に出ることができる(写真7-1)。この道は駒場農学校設立当時からキャンパスを東西に結ぶ幹線道路であった。西に向かうと右手にみられる1号館真裏の中庭入口アーチ上部にある銅製の装飾は、一高の校旗「護国旗」中心部に刺繍されている紋章と同じものである(写真7-2,7-3)。

8. 銀杏並木東端「農学部計量器」跡

写真8

銀杏並木をさらに東へと進むとコミュニケーションプラザとの境となる道と交錯するが、その交差点の南西角には「農学部計量器」跡が地面に残されている(写真8)。現在では計量器は設置されておらず蓋となる部分のみの保存である。

9. コミュニケーションプラザ中庭 一高中寮柱跡(埋設照明)・地下道入口壁(一部移築)

写真9-1

銀杏並木の東端をさらに東へ進むと、コミュニケーションプラザ中庭へと到達する。この一帯にはかつて一高時代に建設された寮があり、そのうちの中寮の柱跡を示す埋設照明が同中庭に設置されている(写真9-1)。多目的ホール付近には、寮から各施設へと通じる地下道入口施設の壁面が一部移設された(写真9-2)。

写真9-2

10. 101号館(旧特設高等科)

コミュニケーションプラザ南館の西側から銀杏並木の南側に並行する道を進むと、二階建ての古いコンクリート建築の101号館を右手に見ることができる(写真10)。これは一高時代に特設高等科として建設されたもので、旧制高校編入前の留学生達が学んだ施設であった。

写真10

11. 1号館南東角 斎藤阿具寄贈オリーブ

写真11

101号館を過ぎ、1号館の東側を通る道を左折して南に進むと、1号館南東角の植え込みに1本のオリーブが植えられている(写真11)。斎藤阿具がヨーロッパから持ち帰ったものである。根元には「橄欖」(斎藤自筆)の石碑と、一高同窓会による説明板が置かれている。

12. 駒場博物館(旧一高図書館)

写真12-1
写真12-2

そのオリーブから東へと転じると、900番教室と同型の駒場博物館が見える(写真12-1,12-2)。一高時代には図書館であったこの建物は、2003年の改修工事を経て、現在では駒場博物館として本学で行われている様々な研究・教育活動を紹介する施設となっている。展覧会は一般にも無料で公開されている。

13. コミュニケーションプラザ南館西壁 「歴史ギャラリー」パネル

このパネル(写真13)は、駒場農学校から現在の東京大学大学院総合文化研究科・教養学部へというキャンパスの変遷を示したものである。制作された2006年以降、現在までの13年間に新たなパネルは追加されていない。2019年には教養学部創設70周年を迎えた。そろそろ新しいキャンパスの歴史を加えなければいけないだろう。

写真13

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