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千字で語るコロナ論|人間支援工学 中邑賢龍|コロナ禍と東大。

掲載日:2020年11月24日

分野の違う研究者十人による寄稿集
千字で語るコロナ論
東京大学が擁する全26部局から十人の研究者を選び、自身の専門分野の視点からコロナ禍について千字で執筆するよう依頼しました。それはコロナ禍を通して自身の研究を綴るという試みでもあるでしょう。2020年夏、東大研究者たちは何を思い、考えていたのか?
コロナ禍について語るときに研究者の語ることとは?
千×十の計一万字でお届けします。

コロナ禍で自ら出席し始めた不登校の子どもたち

「社会的な苦手感をオンラインが解消」
中邑賢龍教授写真
人間支援工学 中邑賢龍
先端科学技術研究センター 教授

個性豊かな不登校傾向のある子どもたちを対象に、異才発掘プロジェクトROCKET(https://rocket.tokyo)を始めて5年が過ぎた。ROCKETはプログラム化され空間・時間に縛られた場所を飛び出し、「教科書なし」「時間制限なし」「目的なし」「協働なし」という学校とは正反対のポリシーの活動の場である。

COVID-19の流行で学校は休校に追い込まれ、ROCKETのプログラムもオンラインの活動を余儀なくされた。こんな時は不登校の子どもたちの方が動揺は少ない。むしろ誰もが学校に行けなくなったことで安心し、学校のオンライン授業には出席する子供も出てきた。早起きが苦手、通学が嫌い、制服は着たくない、興味のあることだけ学びたい、ノートは面倒臭い、休み時間の友人との付き合いが嫌だなど、社会的には我儘と捉えられる理由で学校に行かず、親の登校を促す圧力にも屈しなかった彼らが、休校下のオンライン授業だとその苦手感が解消され自発的に出席し始めるのは皮肉なものである。

私はROCKETの活動においてオンラインよりリアルな活動を通じた学びが重要だと思っていたが、実際にオンラインで活動してみると、オンラインでもコミュニケーションはリアルであり、むしろ活動の空間が大きく拡大するということに今更ながら気づかされた。学校の教室に集まる子どもは学区内の生徒だけであり、興味が偏った子どもはなかなか話が合う子どもと出会えない。それがオンラインだと学区の枠を超えて世界中の子どもと繋がる。時間・空間を超えた新しい学びの場がそこに実現する。

コロナ禍の今だけでなく、日常から特性のある子どものためにもオンライン授業を認めておくなどの措置も必要と私は考えるが、残念ながら、日本の学校教育におけるICTの活用とオンライン化への対応は国際的にも大きく遅れている。また、オンラインでの学びが義務教育下では授業時間数として認められないなどの制度的問題、集団指導の中でこそ社会性が身につくという教師や親の思いの強さなどからオンラインの授業がいつの間にかこれまでの教室での対面授業に戻りつつある。少なくとも週一日は教師も生徒も世界のどこにいても、室内でも野外でも授業に参加できる学びの日があってもいいのではなかろうか?それが社会の多様な変化や多様な人に対応できるフレキシブルなニューノーマル時代の暮らしである。そんな社会がユニークな子どもを潰さず異才を生み出すに違いない。

先端研13号館のマインクラフト作品と中邑先生の湿板写真はROCKETの子どもたちが手がけたもの
 

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