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火山活動の可能性がある地球サイズの惑星を発見 ――潮汐力により加熱された系外惑星LP 791-18d――研究成果

掲載日:2023年5月18日

東京大学
自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター
科学技術振興機構(JST)

発表のポイント

  • 宇宙望遠鏡と地上望遠鏡による世界的な連携観測によって、新たな太陽系外惑星(系外惑星)LP 791-18dが発見された。
  • LP 791-18dでは木星の衛星イオのような活発な火山活動が想定される。
  • LP 791-18dはハビタブルゾーン(生命居住可能領域)の内側境界付近にあり、大気を保持する可能性があるため、生命誕生の起源を探る研究にとって興味深い惑星として注目される。
発見された惑星のイメージ図
(クレジット:NASA's Goddard Space Flight Center/Chris Smith (KRBwyle))

発表概要

 東京大学大学院総合文化研究科の成田憲保教授(自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター客員教授)、福井暁彦特任助教、森万由子特任研究員らが参加する国際研究チームは、宇宙望遠鏡と地上望遠鏡による観測を組み合わせた研究により、およそ90光年先にある赤色矮星LP 791-18の周りに地球サイズの系外惑星LP 791-18dを新たに発見しました(図1)。この惑星dは、外側の隣接する軌道を公転する大きくて重い惑星cからの引力を受けて軌道が楕円形になっており、木星の衛星イオのように火山に覆われている可能性があります。この惑星は今後の惑星大気の観測が期待され、地殻活動が惑星大気にどのような影響を及ぼすかについて重要な発見をもたらす可能性があります。

 今回の発見は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のトランジット惑星探索衛星TESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite)、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡、東京大学とアストロバイオロジーセンターの研究者が開発した多色同時撮像カメラMuSCAT、MuSCAT2(図2、3)を含めた多数の地上望遠鏡が連携した観測によって実現しました。

 本研究成果は、2023年5月17日(英国夏時間)に英国科学誌「Nature」に掲載されました。

図1:LP 791-18惑星系の3つの惑星軌道のイメージ
今回新しく発見された惑星dは、既に発見されていた内側の軌道を公転する惑星bと、外側の軌道を公転する惑星cの間の軌道を公転しています。図中の惑星のシンボルの大きさと軌道の円の大きさは、観測された惑星の大きさと公転距離の比を反映しています。
図2:国立天文台ハワイ観測所岡山分室188 cm望遠鏡に取り付けられた多色同時撮像カメラMuSCAT
今回の観測に用いられた多色同時撮像カメラMuSCATです。可視光の3色での同時撮像観測が行えます。国立天文台ハワイ観測所岡山分室(岡山県)にある188 cm望遠鏡に搭載されています。クレジット: MuSCATチーム
図3:テイデ観測所 1.52 mカルロス・サンチェス望遠鏡のドーム
今回の観測に用いられたMuSCAT2が搭載されたテイデ観測所(テネリフェ、スペイン)のドームです。クレジット: MuSCATチーム

発表詳細

大学院総合文化研究科のページからご覧ください。

発表者

東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻
成田 憲保(教授)<同研究科 附属先進科学研究機構>
森 万由子(特任研究員)<研究当時:東京大学 大学院理学系研究科 博士課程>

東京大学 大学院総合文化研究科 附属先進科学研究機構
福井 暁彦(特任助教)

立命館大学 理工学部
川内 紀代恵(助教)<研究当時:東京大学 大学院総合文化研究科(特任研究員)>

総合研究大学院大学 物理科学研究科
西海 拓(研究当時:博士課程) <研究当時:東京大学 大学院総合文化研究科(特別研究学生)>

論文情報

Merrin S. Peterson, Björn Benneke, Karen Collins et al., "A temperate Earth-sized planet with tidal heating transiting an M6 star," Nature: 2023年5月17日, doi:10.1038/s41586-023-05934-8.
論文へのリンク (掲載誌別ウィンドウで開く)

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