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慢性活動性EBウイルス感染症の原因と、身近なウイルスががんを引き起こす仕組みを解明研究成果

掲載日:2019年1月24日

東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの 宮野 悟(みやの さとる)教授、名古屋大学医学部附属病院(病院長・石黒直樹)先端医療開発部の 奥野 友介(おくの ゆうすけ)特任講師、同大学大学院医学系研究科(研究科長・門松 健治)ウイルス学の 木村 宏(きむら ひろし)教授、藤田医科大学ウイルス・寄生虫学の 村田 貴之(むらた たかゆき)教授、京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学の 小川 誠司(おがわ せいし)教授、らの研究グループは、原因不明の難病である慢性活動性EBウイルス感染症の遺伝子解析を行い、その原因を解明しました。

その過程で、ほとんどの人には感染しても大きな害のないEBウイルスが、ごく一部の人には血液がんを引き起こしてしまう仕組みが明らかになりました。EBウイルスは95%の人が成人までに感染するウイルスの1種ですが、通常は風邪のような症状だけで治癒します。しかし、ごく一部の人においては、このウイルスはがんや、その他の難病を発症させます。慢性活動性EBウイルス感染症は、日本で年間約数十人が発症する原因不明の難病です。本来は、数週間程度で収まるEBウイルス感染に伴う炎症が何年間も持続し、命にかかわる様々な合併症を引き起こします。

本研究グループは、次世代シーケンサーを使った遺伝子解析によって、慢性活動性EBウイルス感染症が血液がんの一種であることを解明しました。この研究では、ヒトの遺伝子に加えて、EBウイルスの遺伝子も全て解析しましたが、その過程で、この病気に関わるEBウイルスは、いくつかの遺伝子を失っており、その結果として異常に活性化して、がんを発症させることが明らかになりました。その後、遺伝子を失ったEBウイルスが他の血液がんでも見つかり、このウイルスは同じ仕組みで様々な血液がんを発症させることも分かりました。

今回明らかになった発がんの仕組みに基づき、より良い治療法の開発が進むことが、今後、期待されます。

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