東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

上部が茶紙になった白い表紙、赤紫の書名

書籍名

角川インターネット講座14 コンピューターがネットと出会ったら モノとモノがつながりあう世界へ

判型など

240ページ、A5判、単行本

言語

日本語

発行年月日

2015年5月22日

ISBN コード

978-4046538949

出版社

角川学芸出版

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コンピューターがネットと出会ったら

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本書は、角川学芸出版のインターネット講座の第14巻で、近年情報通信技術分野で盛んに取り上げられる「モノのインターネット」 (Internet of Things: IoT) について、その分野の専門家でなくてもわかるように平易に書かれた論説集である。著者は、研究教育の中核コンセプトとしてIoTを据えている、東京大学大学院情報学環・学際情報学府 総合分析情報学コースを担当する4人の教員、坂村健教授、暦本純一教授、中尾彰宏教授、越塚登教授 (本書評の著者) となっており、坂村健教授が全体をとりまとめ監修している。
 
本書では、IoTを構成する要素技術として、特に組込コンピュータ技術、インターネット技術、ユーザエクスピリエンス技術の各論を、歴史的な内容から現代の最新の動向を含めて解説したあと、IoTとは何かといった定義、それを構成する様々な技術、応用、サービス、技術標準化、ビジネスにわたるまで、幅広く解説している。
 
主に組込コンピュータ技術部分は越塚登教授が執筆し、その歴史的な状況の解説から、本書の執筆者である坂村健教授・越塚登教授が推進しているトロンプロジェクトの技術内容と最新動向を述べている。インターネット技術部分は、中尾彰宏教授が執筆し、インターネット技術の基礎と歴史を踏まえた上で、IoT時代に重要な技術であるSDN (Software Defined Network) などについて詳細かつわかり易く解説している。ユーザエクスピリエンス技術については、暦本純一教授が執筆し、やはり今日までの歴史的な部分を踏まえつつ、人間とコンピュータを融合し (Human Computer Integration) 人間の能力を増大させる (human augmentation) 方向性を論じている。IoTについては、坂村健教授が執筆し、IoTを構成する主要技術であるユビキタスIDアーキテクチャの解説、及びそれによって本書のシリーズのテーマである「インターネット」が、IoTによって実世界の環境に溶け込み、私達の住居や交通、医療など都市におけるすべての場面を大きく変容させることを述べている。
 
本書は、専門家以外でも読めるように平易に書かれているものの、学術的な背景を踏まえており、原資料への多くの参照もなされており、情報通信技術分野の専門家が読んでもIoT分野全体を俯瞰することに充分役に立つ書である。

(紹介文執筆者: 情報学環 教授 越塚 登 / 2017)

本の目次

<第一部 IoTを支える技術>
序章 ネットワークにつながるとはどういうことか?
 坂村 健 (東京大学大学院情報学環教授、ユビキタス情報社会基盤研究センター長)
第1章 IoT時代のノード
 越塚 登 (東京大学大学院情報学環教授)
第2章 IoT時代のユーザーエクスペリエンス
 暦本純一 (東京大学大学院情報学環教授、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長)
第3章 IoT時代のネットワーク
 中尾彰宏 (東京大学大学院情報学環教授)

<第二部 融合するコンピューターとネットワーク>
第4章 ネットにつながるモノ
 越塚 登
第5章 モノとモノがつながる世界
 坂村 健

関連情報

角川インターネット講座 全15巻 – これからの世界を創っていくすべての人に
第14巻 コンピューターがネットと出会ったら
モノとモノがつながりあう世界へ
坂村 健   監修 (東京大学大学院情報学環教授、ユビキタス情報社会基盤研究センター長)
モノにコンピューターが組み込まれ、接続されるインターネット・オブ・シングス社会。具体例を交えて国内の第一人者が未来像を示す。
http://kci-salon.jp/books/14/

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