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グリーンの表紙にAIのイメージ

書籍名

オーグメンテッド・ヒューマン ~AIと人体科学の融合による人機一体、究極のIFが創る未来~

判型など

512ページ、B5判

言語

日本語

発行年月日

2018年1月

ISBN コード

978-4-86043-515-8

出版社

エヌ・ティー・エス

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学内図書館貸出状況(OPAC)

オーグメンテッド・ヒューマン

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従来はSFとしか思えなかったような、人間の能力をテクノロジーによって増強・拡張させるための研究開発が急速に進展している。これらの技術や、背景となる人間の探求を統合的に追求する学問領域は、最近ではヒューマンオーグメンテーション (Human-Augmentation)、オーグメンテッド・ヒューマン (Augmented Human)、 あるいは「人間拡張学」と呼ばれるようになってきた。想定する人間拡張の対象は、知的な能力に加え、身体能力や人間の存在の拡張などを包含する。通常の人間の能力をさらに強化するだけにとどまらず、障害者や高齢者の能力補綴や能力回復も重要な対象領域となる。関連する要素技術や研究分野には、VR (バーチャルリアリティ)・AR (オーグメンテッドリアリティ)、HCI (ヒューマン・コンピュータインタラクション)、ウェアラエブルエレクトロニクス、テレプレゼンス・テレイグジスタンス、サイボーグ、ロボティックス、人工知能、スポーツ科学、リハビリテーション、バイオメカニクス、補綴・義手・義足技術、ウェアラブルコンピューティング、インプランタブルコンピューティング、IoT (Internet of Things)、感覚置換、感覚クロスモダリティ、ブレインマシンインタフェース、さらには認知科学などが含まれる。適応領域も、(共同) 作業支援、遠隔コミュニケーション支援、スポーツ、トレーニング、リハリビリテーション、医療、教育、エンターテインメント、メディアコンテンツなど多岐に渡る。ヒューマンオーグメンテーションは、これらの領域を横断する高度に先端的かつ学際的な研究領域である。東京大学大学院情報学環では、ヒューマンオーグメンテーション学をさらに探求するために、2017年度より「ヒューマンオーグメンテーション学」寄附講座を開設している。
 
人が馬を高度に乗りこなしている状態の極致は「人馬一体」と呼ばれる。人間と馬との境界が曖昧になり、人間の能力と馬の能力が渾然一体となっている姿を表現している。それになぞらえると、人間と技術の究極の関係は「人機一体」といえるだろう。技術が人間と対立するものではなく、人間の能力と自然に融合する。その相乗効果によって、どちらか一方では得られないような性能が発揮される。ヒューマンオーグメンテーションが一般化すると、技術の使いこなし方はもとより、人間の働き方や交流の仕方も含め、社会全体の構造も変化していくだろう。本書は、このように多面的な波及効果が期待できるヒューマンオーグメンテーション研究領域について、各分野の第一人者が解説した、世界でも類を見ない解説書・学術書である。
 

(紹介文執筆者: 情報学環 教授 暦本 純一 / 2018)

本の目次

序論 人機一体、究極のインターフェースが創る未来
第1編 AHのための基礎研究
 第1章 バイオメカニクス
 第2章 電気刺激による運動と感覚の再生
 第3章 神経機能を変容させるサイボーグ技術
 第4章 人間拡張とIoA (Internet of Abilities)
第2編 オーグメント・デバイスと拡張システム
 第1章 肢体、身体
 第2章 感覚・知覚・認知・記憶・診断
 第3章 拡張システムと制御技術
第3編 AHの社会への応用
 第1章 医療・福祉分野
 第2章 産業分野
 第3章 スポーツ分野
結び 人間拡張学の展望
 
詳細目次
http://www.nts-book.co.jp/item/detail/contents/setubi/20180100_65.html
 

関連情報

ヒューマンオーグメンテーション学寄付講座ホームページ:
https://humanaugmentation.jp/
 

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