本書は、人工知能や深層学習の概要について、子どもでも分かるようにたくさんの絵や図を使って紹介したものである。人工知能は昨今、広く注目を集めているものの、その技術的な内容についての日本全体の理解は高いとは言えない。メディアや国の省庁でも、技術的な詳細が理解されないまま、不正確な報道がされたり、不正確な議論がされている場合もある。本書は、私の前著である「人工知能は人間を超えるか ~ディープラーニングの先にあるもの」をベースに分かりやすく書かれたものである。技術的に正しい説明をできるだけ分かりやすく、また、一般によくされる誤解をひもときながら、人工知能の歴史、技術、応用などを紹介している。
本書は、3つのパートから構成される。まず最初のパートでは、人間のように考えるという意味での人工知能はまだ完成していないこと、ロボットとの違い、生活のなかでも使われていること、人工知能の賢さにもいろいろなレベルがあること、そして、技術進化にともなう人類の歴史とそのなかでの人工知能の位置づけを説明する。パート2は、これまでの人工知能の歴史を振り返り、かつてのブームの内容や、人工知能における著名な人物、そして、ディープラーニングが出てくるまでコンピュータが苦手だったことを紹介する。
そしてパート3では、ディープラーニングが人工知能に新たな道をつけたこと、ニューラルネットワーク、特徴が学習されること、CNNやRNN、そして今後の技術進展を説明する。子ども向けの本とは思えないほど専門的な内容まで踏み込んでいる。最後に、翻訳や自動運転など、未来の技術や未来の社会が紹介される。
我々研究者は、子どものときに、図鑑や科学書、SFなどを興味をもって読み、大きな夢を描いた。将来を担う子どもにとっては、いま注目を集める人工知能がいったい何なのか、身の回りのどんなものが関わっており、どういう歴史をもつ分野なのかを知ることは、将来、子どもたちが進む進路、また、学校での学びの過程にも良い影響を与えるかもしれない。できるだけ多くの人に正しく技術を理解してもらいたい、そして、そのなかから学術や産業を発展させるような将来の人材が生まれてきて欲しいというのが、私の監修者としての願いである。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 松尾 豊 / 2019)
本の目次
【パート2】こうして発展! 人工知能の歴史……図でわかる人工知能の発展 / 生みの親は4人の研究者 / データと機械学習で問題解決にいどむ 他
【パート3】一気に成長! ディープラーニング……問題を一挙に解決するディープラーニングの登場 / 社会で活躍している人工知能: 家庭で、公共施設で、人と対話するロボット / 文学作品をつくる!? プロジェクト「作家ですのよ」 / 外国の人と交流できる自動翻訳アプリ