東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い枠、紺色の表紙

書籍名

文春新書 AI新世 人工知能と人類の行方

著者名

小林 亮太、 篠本 滋 (著)、甘利 俊一 (監修)

判型など

288ページ、新書判

言語

日本語

発行年月日

2022年8月18日

ISBN コード

978-4-16-661371-7

出版社

文藝春秋

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学内図書館貸出状況(OPAC)

AI新世

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AIはArtificial Intelligence (人工知能) の略称です。AIはインターネット検索、音声認識、翻訳ソフト、おすすめのインターネット動画の推薦、最近ではChat GPTなど様々な形で私達の生活に浸透しています。歴史を振り返ると、産業革命によりそれまで手作業で作られていたものが工場で大量生産することが可能になり、経済の中心が農業から工業へと社会構造が根本から変わってしまいました。今起こりつつある、さまざまな産業へのAIの応用は、新しい産業革命を引き起こし、再び社会構造を大きく変えてしまうかもしれません。AIがもたらす社会変化に私達はどのように対処したら良いのでしょうか?
 
本書は、AIと私達がどのように付き合うべきかを考えるきっかけになればという思いで執筆しました。AIには何ができて、何ができないのでしょうか? 本書の第一部では、AIにできることを「認識」と「生成」の2つの観点から整理しました。「認識」とは、AIが画像や音声を「見たり」「聞いたり」した時にそれが何であるかわかることです。例えば、画像認識AIはカメラに映った顔が誰なのか特定し、音声認識AIはマイクに入った音声からしゃべっていたメッセージを復元し、文章認識AIは受信メールが迷惑メールかどうか判定します。「生成」とはAIが画像や音声などを作ることです。例えば、画像生成AIは顔写真を男性化、女性化させたりできますし、Chat GPTのような文章生成AIは文章を書いてくれます。このように、本書では画像、音声、文章の「認識」と「生成」という観点から、AIにできること、できないことを整理します。ただし、本書を読むには数学、プログラミングの知識は一切不要です。
 
本書の第二部では、AIによって社会がどのように変わっていくのかを考えます。すでに、農業、水産業、工場、小売業、サービス業などでAIが使われてきています。これらの実例を見ながら、私たちはこれからどのようにAI技術と関わっていけば良いのか、さらには人間とAIが共存していく方法について考えます。そして第三部では、AI開発の歴史をたどっていくことで、AIはどのように発展していったのか、今のAIはどのような仕組みで動いているのか、AIの限界はどこか、ということについて考えます。AIの歴史を説明した後には、本書の監修者であり、AI研究の先駆者である甘利俊一先生 (本学名誉教授) を招き、AIと人類の関わりや将来AIは人間を超えることができるのか、という問題について議論しました。この結論が気になった方はぜひ本書を手にとってみてください。
 
以上のように、本書は、AIには何ができて、何ができないのか、そしてAIはどのように社会に実装されているかを見ることによって、これから私達はAIとどのように付き合っていくかを考えていきます。
 

(紹介文執筆者: 新領域創成科学研究科 准教授 小林 亮太 / 2024)

本の目次

はじめに

第1部 AIにできること
第1章 画像認識
第2章 画像生成
第3章 音声認識
第4章 音声生成
第5章 文章認識
第6章 文章生成
第7章 その他ありとあらゆる応用
第8章 未来のAIにできるかもしれないこと

第2部 AIは社会をどう変えるか
第1章 第一次産業はどうなるのか
第2章 第二次産業はどうなるのか
第3章 第三次産業はどうなるのか
第4章 AI技術との付き合い方

第3部 AIの歴史と未来
第1章 AIの歴史
第2章 深層学習の誕生

座談会 AIは人間にとって代わるのか

おわりに

関連情報

書評:
日本経済新聞    2022年9月10日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO64196920Z00C22A9MY6000/
 
AIが人類を超える「2045年問題」、3人のAI研究者はどう考える? (BOOKウォッチ 2022年8月26日)
https://books.j-cast.com/topics/2022/08/26019014.html
 
書籍紹介:
読む!ヒント 大学新入生に贈る「考える」1冊 (日本経済新聞 2024年5月1日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD233OK0T20C24A4000000/
 
小論文を書くために読んでおきたい本 (学研模試|Gakken)
https://www.gakuryoku.gakken.co.jp/booklist01/booklist01-sub4/

「身近な事例を豊富に紹介、わかりやすい解説で、現代社会を生きるための見取り図を与えてくれる」 (夕刊フジ 2022年10月14日)
https://www.zakzak.co.jp/
 

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