
書籍名
金融資本市場と公共政策 進化するテクノロジーとガバナンス
判型など
416ページ、四六判、並製
言語
日本語
発行年月日
2020年6月30日
ISBN コード
978-4-322-13543-5
出版社
株式会社きんざい
出版社URL
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本書は、東京大学大学院における講義「資本市場と公共政策」の概要について、速記録に基づいて整理・加筆修正し、編集したものです。この講義は、みずほ証券株式会社による寄付講座『資本市場と公共政策』の一環として、公共政策大学院、法科大学院(法曹養成専攻)、法学政治学研究科総合法政専攻の大学院生を対象として行われ、将来、官公庁・行政関係機関や金融機関職員、法曹関係、研究者などを目指す大学院生が学習するのに適したテーマを選び、現実の政策課題への理解を深めてもらうことを目的に、毎年、開講されています 。
2019年秋には、「金融資本市場における公共政策的・法的論点と課題」をテーマとして、最近の金融資本市場におけるトピックを取り上げました。最近、FinTechに関連して、スマホ決済をはじめとしたキャッシュレスの進展、ベンチャー企業等による金融分野への新規参入、AI・ビックデータの活用、暗号資産 (仮想通貨) 交換業制度の導入とその見直し、ICO (イニシャル・コイン・オファリング)・STO (セキュリティ・トークン・オファリング) と呼ばれる暗号資産を用いた資金調達に関する新たな規制の制定などの大きな変革が進んでいます。また、資本市場の分野でも、従来から続くコーポレートガバナンス改革の進展、スチュワードシップ・コードの改訂、イノベーションを担うためのベンチャー・ファイナンスの推進、フィデューシャリー・デューティー、ESG投資の潮流などの公共政策的・法的な論点と課題は多数に上り、ますますその重要性が高まっています。さらに、こうした動きと既存の金融システムや金融規制の整合性など、新たに浮かび上がった公共政策的・法的論点も多数に上っています。本書はまさに時宜を得たものであったと考えています。
本書では、こうした論点について、豊富な経験と知識をお持ちの専門家・実務家である執筆者により、最先端の実務や理論、経験について、多くの資料をもとに、一般の教科書類では得られないリアルな現状がまとめられていることもあり、公共政策や法曹といった世界を将来志向する方にとってはもちろん、研究者や実務家の方にとっても得るものの多い内容となっていると思います。また、講義における質疑応答の模様も収録されており、その論点や課題についての理解を深め、今後の公共政策や法規制の在り方について掘り下げて思索する一助となっていることと思います。
(紹介文執筆者: 公共政策大学院 特任教授 湯山 智教 / 2020)
本の目次
第1章 世界のフィンテックの動向と展望
一橋大学大学院経営管理研究科特任教授 藤田 勉
第2章 マネー再考:ネオマネーと決済インフラの未来
日本銀行フィンテックセンター長 副島 豊
第3章 決済・金融サービス仲介に係る新たな制度整備について
金融庁企画市場局信用制度参事官 岡田 大
第4章 暗号資産 (仮想通貨)、ICO・STOに関する論点と課題
西村あさひ法律事務所弁護士 芝 章浩
第2部 金融資本市場における論点と課題
第5章 金融資本市場の変遷と最近の企業金融の抱える課題
みずほ証券株式会社市場情報戦略部長 柴崎 健
第6章 コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コード
みずほ証券株式会社チーフ株式ストラテジスト 菊地正俊
第7章 金融資本市場におけるエンフォースメントをめぐる実務と課題
金融庁証券取引等監視委員会事務局次長 水口 純
第8章 アルゴリズム・AIを活用した投資助言・投資運用と法的課題
西村あさひ法律事務所弁護士 有吉尚哉
第9章 ベンチャーファイナンス、イノベーション促進に関する公共政策と課題
京都大学経営管理大学院特別教授 幸田博人
第10章 ESG投資と受託者責任に関する議論
東京大学公共政策大学院特任教授 湯山智教
第11章 金融資本市場をめぐる法的課題の変遷とファイナンスローヤーのかかわり
東京大学客員教授 小野 傑
(注: 肩書は本書に収録した講義の開催時のもの)