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転ばぬ先のVRスロートレーニング

掲載日:2019年6月17日

このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。

FSIプロジェクト 005

 

ディスプレイを見ながら、片足立ちしている高齢の女性。彼女は何をしていると思いますか? 実は彼女は今、VR(バーチャル・リアリティ)技術を用いたスロートレーニングの真っ最中なのです。

わが国は世界に先例のない超高齢社会に突入していますが、特に問題なのが、平均寿命と健康寿命の間に大きな差があること。たとえば、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳。つまり、寝たきりになるなど何らかの介護が必要になる期間が、男性で約9年、女性で約12年続くということ。私たちが幸せな老後を送るためには、健康寿命を少しでも延ばす努力が必要になります。

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高齢者を対象とした低負荷強度のスロートレーニングの効果
(大腿中央部のMRI横断画像)
スロートレーニングを高齢の被験者に3カ月間続けてもらったところ、大腿四頭筋が太くなる効果が得られた。

この問題に筋生理学の視点から取り組んだのが石井直方教授です。加齢による筋力低下は転倒リスクを高め、全身虚弱や認知症の発症にも影響するため、高齢者には何らかの筋力トレーニングが必要。しかしダンベルなど器具を使った高負荷のトレーニングは思わぬケガを招くおそれも。そこで石井先生は、筋発揮張力維持スロー法、いわゆるスロートレーニングが高齢者に有効だと結論づけました。「スロートレーニングでは、動作を太極拳のように緩やかに行うことで、負荷強度が低くても筋肉が増え筋力が付きます。ただし負荷が軽い分、動作を的確に行わないと十分な効果が得られないのが難点でした 」と石井先生。

ならば、テレビゲームなどに使われているVR技術を応用すればいいのでは——。そう気づいた石井先生は、先端科学技術研究センターの檜山敦講師に相談。その結果、3Dカメラで撮影したインストラクターの動きと被験者の動きを、ディスプレイ上に重ねて表示するプログラムが開発されました。これなら、被験者は鏡に映る自分を、インストラクターの動きと重なるように動かせばいいので、感覚的に正しい動作を習得できます。

実用化に一歩近づいた、VRによる筋力維持エクササイズ。転ばぬ先のVR、となるよう期待されています。

このプロジェクトが貢献するSDGs

すべての人に健康と福祉を質の高い教育をみんなに

石井直方 教授 | 総合文化研究科

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