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産・学・官・民のリビングラボで、新たなビジネスを創出

掲載日:2019年7月24日

このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。

FSIプロジェクト 016

 プロトタイプ制作の前段階で、段ボール製モックアップ(原寸模型)を住民がチェック。

いよいよ、人生100年時代が見えてきました。長寿社会のインフラをどう整備するかなど、問題山積ですが、「だからこそ、長寿社会はイノベーションの宝庫」と、秋山弘子特任教授は力説します。なぜなら人類史上、長寿社会の課題を解決した先例はまだどこにもないから。日本がさまざまな課題を解決すれば、それが新たな世界標準となり、今後国際社会で発生するニーズにどこよりも早く対応できるからです。

では、長寿社会の課題をどう解決していくのか。キーワードは、解決策を産・学・官・民が共創する「オープンイノベーション」と、その受け皿となる「リビングラボ」です。リビングラボとは、新商品や新サービスの開発にあたって、企業などと共に生活者も参加する共創活動、またはその拠点のこと。秋山先生のグループでは、2017年に「鎌倉リビングラボ」を立ち上げ、課題解決のための活動をすでに始めています。

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 「オープン・ラボ・デイ」と題された住民集会。テレワーク家具プロトタイプをお披露目。

鎌倉リビングラボを構成するのは、高齢化率が高い鎌倉市今泉台地区の住民約5000人と、鎌倉市役所、東京大学、三井住友銀行など企業数十社。住民ヒアリングから掘り起こした課題に産学官民が協議して解決策を示し、解決に名乗りを上げた企業が商品やサービスを開発、それを住民が実生活で試験的に使いながら改良を加え、新たな商品として世に送り出します。そうやって利益を上げることが、持続可能な取り組みへとつながるのです。

現在20以上のプロジェクトが稼働していますが、最速で商品化しそうなのが、事務機メーカー・イトーキの「テレワーク家具」。自宅でテレワークしたいという住民ニーズに応え、開閉式で開くとホームオフィスになる‘ON & OFF’と名付けられた機能的な家具が開発されています。

「人生50年時代の生き方にまだ縛られている人もいますが、個人も社会も産業界も、新ステージに向けて行動を起こすべき。今こそピンチをチャンスに変えましょう」と、秋山先生は私たち全員にエールを送っています。

このプロジェクトが貢献するSDGs

働きがいも経済成長もパートナーシップで目標を達成しようすべての人に健康と福祉を住み続けられるまちづくりを産業と技術革新の基盤をつくろう質の高い教育をみんなに

秋山弘子 特任教授 | 高齢社会総合研究機構(取材当時、現特任研究員)

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