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淡青色の注目アーティストたち 環境教育マンガの内田竜嗣 | 広報誌「淡青」38号より

掲載日:2019年6月4日

淡青色の注目アーティストたち

東大と深い関わりを持つ多くの皆さんの中から、注目すべき創作活動を繰り広げているアーティストを4人選び、その横顔を紹介します。

知識でなく意識を変える環境マンガの二十一世紀旗手

内田竜嗣さん
Ryuji Uchida
新領域創成科学研究科
博士課程
http://landscape.nenv.k.u-tokyo.ac.jp/
内田さん写真
 

マンガを活用した環境学教育をテーマにしている金髪の大学院生、それが内田さんです。少し絵心のある研究者、というレベルではありません。東京工芸大学芸術学部マンガ学科を卒業し、2017年に高知新聞社主催の第29回「黒潮マンガ大賞」で大賞を受賞した実力者です。

「昔から対面で話すのが苦手なのですが、マンガを通じてならコミュニケーションができるぞ、と思っていたんです。東大を含めて理系学部を受けたものの三浪となり、マンガ学科を持つ大学があるのを予備校で知って、志望を変えました」

プロを目指す仲間に囲まれて自ずとマンガ家を志した内田さんは、作品を「少年ジャンプ」などの編集部に持ち込みますが、まったく評価されませんでした。卒業が近づき、就職するイメージを描けなかった大学生は、大学院進学に舵を切ります。そこには、小学生の頃に「平成狸合戦ぽんぽこ」や「もののけ姫」を観て感じた思いがありました。

「エンタテイメントとして面白いだけでなく、自然や環境の大事さを押しつけがましくなく考えさせる作品だったのを思い出し、自分がマンガで目指すならこれかも、と」

覚悟を決めた内田さんがネット検索で探り当てたのは、森の音をネット経由で聞く「サイバーフォレスト」プロジェクトで知られる斎藤馨先生でした。研究室のバラエティあふれる研究テーマに自由さを感じ、マンガ作品を持参して見せたところ、「いいんじゃない?」。院試の辛い勉強と大勢の前で話す苦しい面接を乗り越えた内田さん。中学の体験学習支援作品を皮切りに、大槌の小中学生と東大をつなぐ作品、研究室広報作品、農業女子応援作品、オープンキャンパス時の参加型パネル作品と、環境教育をマンガで伝え、読者の意識の変化を調べる取組みを続けています。目指すのは、知識を詰め込む学習マンガではなく、意識を変える真の環境教育マンガ。次代の「ぽんぽこ」を生み出すのは、内気な性格と派手な金髪が対照的な環境学博士です。

マンガ写真
 
大型パネル画像

2018年オープンキャンパスで展示された大型パネル作品は、作者が登場して読者を環境学へと誘う20枚の連作。クイズ、福笑い、輪投げ、糸電話などをフックに環境への興味を促します。「ウォーリーをさがせ!」を指導教員や研究室の仲間で置き換えたパネルは圧巻。

フミキルシカク写真1
フミキルシカク写真2
フミキルシカク写真3
フミキルシカク写真4

審査員の西原理恵子さんが「おっさんと不条理。これに人情がうまく加わった」と絶賛した黒潮マンガ大賞受賞作「フミキルシカク」。

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