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淡青色の注目アーティストたち 切り絵童話の鷲津影織 | 広報誌「淡青」38号より

掲載日:2019年6月11日

淡青色の注目アーティストたち

東大と深い関わりを持つ多くの皆さんの中から、注目すべき創作活動を繰り広げているアーティストを4人選び、その横顔を紹介します。

東大の図書館職員からAR技術のわかる切り絵作家に

鷲津影織さん
Kageori Washizu
切絵童話作家
https://www.kageori.com/
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昔むかし、あるところに、手芸と物語が大好きな女の子がいました。戦争帰りの祖父の部屋で「ワヤン・クリ」というインドネシアの影絵人形を眺めていた女の子は、すくすく成長して東大に入学。サークルで古流武術に励むとともに、図書館ボランティアとして活動し、人と情報をつなげる仕事をしたいと思った彼女は、母校に入職し、晴れて図書館職員になりました。

「配属された医学図書館で、窓口業務のほか、学生向けのミニ講習会を開いたり、館内に隠された鍵を集めながら図書館の機能を発見する脱出ゲームの新企画を苦労の末に実現したりと、充実した日々を過ごしました」

しかし、昔から幻想的なお話を考えるのが好きだった彼女の中で、何かを創りたいという意欲と、新しいことは求められていないのではないかという感触が、少しずつ大きくなっていました。そして、世界を広げようとプログラミングの技術を覚え、ソフトウェア会社に転職。エンジニアとして働きながら、留学する友達に贈るカードを作ったのを機に独学で始めていた切り絵の創作を本格化したのでした。

下絵をもとに、つながらない部分ができないよう、デザインカッターで丹念に紙を切って作る切り絵を、自分で構想した幻想的な童話とセットにして仕上げるのが影織流です。作家名は、切り絵が光と影の芸術であり、ストーリーに影の部分を織り込んだものが多いことから。でも、作品集の中に、黒い色の作品は見当たりません。

「黒ではなく、濃い茶や濃い青の紙を使うようにしているんです。真っ黒の紙で作ると、少しきつい印象になってしまうので」

個展を開催し、作品を雑誌に提供し、冊子やポストカードを頒布し、国際絵本原画展にも応募するなど、切り絵作家として活躍するようになったいま、思い浮かべるのは、技術者としても芸術家としても偉大な功績を残したレオナルド・ダ・ヴィンチ。最近没頭しているのは、勤め先で磨いたデジタルスキルをアナログの切り絵術と組み合わせた新しい作品です。現実の風景の中で切り絵が自由に動き出すAR作品が完成した後、彼女の紡ぐストーリーは、より多彩な色を織り込む新章に突入することになるのでした。とさ。

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雑誌「現代思想」2018年12月号の「図書館の未来」と題した特集に掲載された3連作「孤独と連帯の回遊 solitude, solidarity」では、人と情報をつなぐ図書館への思いを表現。

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スランプだった頃に一筋の光となったという鷲作品。
 

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