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「スポーツと東京大学」イベント実施報告

掲載日:2025年2月6日

「スポーツと東京大学」イベント実施報告

イベント概要

「東京大学スポーツコンパス」制定にあたり、東京大学ならではの切り口で、多様なスポーツの在り方を考える「スポーツと東京大学」を2024年10月19日(土)安田講堂で開催しました。

本イベントでは、室伏広治スポーツ庁長官をはじめ、出口敦執行役・副学長、中西啓太文書館准教授、内山咲良医学部専攻医、鎌田真光医学系研究科講師、野崎大地教育学研究科教授が登壇しました。各講演では、東京大学スポーツの現状、東京大学とスポーツの歴史、身体を動かすことの重要性、学生生活と競技活動、データ分析の可能性など、多角的な視点からスポーツの意義や未来像が語られました。

さらに、津田敦理事・副学長の開会挨拶では、2024年9月に制定された「東京大学スポーツコンパス」が紹介されました。制定に至るまで3年間をかけて多くの対話を重ねてまとまった「東京大学スポーツコンパス」は、東京大学におけるスポーツの新たな指針として位置付けられています。

本イベントは、スポーツの持つ可能性を共有し、150周年に向けた新たな一歩を踏み出す契機となりました。

※本イベントは2027年に迎える東京大学創立150周年に向けて実施される「カウントダウンイベント」の第2回として開催されました。
※講演イベントに併せて「サイドイベント」も実施しました。
サイドイベント実施報告はこちらから

室伏広治 スポーツ庁長官

「国民のスポーツを通じたライフパフォーマンスの向上に向けた取組」

(室伏広治 スポーツ庁長官)

室伏広治スポーツ庁長官は、「スポーツを通じたライフパフォーマンスの向上」をテーマに基調講演を行い、健全なスポーツ界の実現、障害者スポーツの環境整備、地域活性化や健康増進の取り組みを紹介しました。

自身のハンマー投げ選手としての経験を基に、科学的トレーニングや感覚を磨く重要性、競技と学問の両立についても語りました。

さらに、スポーツ庁が進める地域活性化や健康増進の取り組みについても触れ、スポーツを通じて地域経済や文化を活性化し、健康的な生活習慣を普及させることの重要性を強調しました。講演の締めくくりでは、適切な運動が肥満や糖尿病の予防、精神的な健康維持に効果的であることを述べ、スポーツの普及を推進する意義を訴えました。

出口敦 執行役・副学長

「東京大学スポーツのこれまでとこれから」

(出口敦 執行役・副学長)

東京大学のスポーツ全体の現状について、スポーツ活動が学生の健康維持や交流促進、教育、研究、社会貢献に重要な役割を果たしていることについて講演しました。

スポーツ活動を支える各キャンパスのスポーツ施設は、その維持・整備には卒業生や支援者からの寄付が重要な役割を果たしていること、また、東京大学運動会が2026年に140周年を迎えることが紹介されました。

●講演資料:
「東京大学スポーツのこれまでとこれから」

中西啓太 文書館准教授

「草創期東京大学とスポーツの日常/非日常」

(中西啓太 文書館准教授)

西洋の近代スポーツ、あるいは江戸時代の武芸を源流とする武道など、様々なスポーツが草創期から東京大学では楽しまれ、近代日本に根付かせる上で果たした役割について講演しました。

東京大学におけるスポーツの草創期には、外国人教師がスポーツを紹介しており、初期の運動会やボートレースが学生、教職員、卒業生の参加する非日常の重要なイベントとして学内で定着したことが紹介されました。

一方、日常においては剣道などで汗を流す者も多く、大学が学生に運動を奨励し、用具の貸し出しなどの支援もしていたことが紹介されました。

●講演資料:
「草創期東京大学とスポーツの日常/非日常」
●関連リンク:
「草創期東大生・帝大生の日常とスポーツ(上)」
「草創期東大生・帝大生の日常とスポーツ(下)」

内山咲良 医学部専攻医

「大学陸上がくれたもの」

(内山咲良 医学部専攻医)

在学中に三段跳びの選手として全日本学生選手権で優勝するまでの様々な経験を通じて、勉学と競技活動の両立から得られたものについて講演しました。

その中で、機能性の面から女性のユニフォームを水色から黒色に変更したことを例に、女性選手の視点から改革を進めた経験についても触れました。

●講演資料:
「大学陸上がくれたもの」
●関連リンク:
東京大学運動会陸上運動部

鎌田真光 医学系研究科講師

「世界で進む運動不足―今、あなたと東大でできることは?―」

(鎌田真光 医学系研究科講師)

世界的に悪化が進む身体活動不足を問題提起し、「運動不足を世界からなくす」をテーマに講演しました。

最新の研究知見や、それを活用した自治体やプロスポーツとの協業・連携など、身体活動の促進に向けた様々な取り組みを紹介しました。

●講演資料:
「世界で進む運動不足―今、あなたと東大でできることは?―」
●関連リンク:
research map
インタビュー記事

野崎大地 教育学研究科教授

「データ計測・分析によって深化するスポーツの理解」

(野崎大地 教育学研究科教授)

スポーツ先端科学連携研究機構(UTSSI)機構長の野崎大地教授は、スポーツにおける動作や生理学的データの計測・分析がスポーツへの理解をより深め、競技力の向上や指導方法の変革に繋がることについて、ゴルフ、野球、ボートなどの具体例を挙げながら紹介しました。

●講演資料:
「データ計測・分析によって深化するスポーツの理解」
●関連リンク:
野崎研究室
UTSSI

パネルディスカッション

(パネルディスカッション)

・インクルーシブ社会の実現に向けて東大スポーツができること
・運動部/サークルなどの大学における課外活動の意義
・未来(10~30年後までも見据えて)東大スポーツの夢とそれに向かって登壇者や参加者一人一人ができること
をテーマに登壇者によるパネルディスカッションを行いました。

・スポーツの習慣化に向けた科学的アプローチの有効性や、多様な個へのマーケティング視点の重要性
・スポーツアナリティクスのビジネス展開
・交流機会の創出やアイデンティティの確立の場としての「課外活動」
・運動機会を提供する場としての「大学キャンパス」
・近年、東大運動部が躍動している要因としての選手、アナリスト、マネージャー、指導者、同窓会などの総合力
・戦前と戦後の環境の変化により入学後の鍛錬が求められるようになった東大運動部
・スポーツ研究における、自然科学的アプローチだけでなく、社会科学や心理学的アプローチの重要性
など、多岐にわたる様々なトピックについて議論が交わされました。

最後に、未来に向けて
・心身の健康を促進するスポーツ環境の整備
・スポーツを支える高度で学際的な学問領域とその公共性に熱意をもって貢献したいという
・AI技術いかに人間の身体を動かすことに適応するかの翻訳への挑戦
・スポーツを通じた国際交流の強化・促進
などが東大スポーツの夢として語られ、出口先生より「スポーツには世界を変える力がある」というネルソンマンデラ (南アフリカ共和国第8代大統領)の言葉が紹介され、議論は終了しました。

フィナーレ

(東京大学応援部、イチ公)

東京大学応援部がフィナーレを飾り、試合会場さながらに、ご来場の皆様と一緒に応援パフォーマンスで盛り上がりました。

 

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