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アンチエイジングの最強ナッツ生産に東大が協力

掲載日:2019年6月10日

このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。

FSIプロジェクト 003

ピーカンは北米原産のクルミ科落葉高木。 その実は不飽和脂肪酸などの良質な脂肪分が多いため、「バターの木」とも呼ばれる

ピーカン(ペカン)は北米原産のクルミ科落葉高木。その実の「ピーカンナッツ」はクルミより甘みが強く感じられ、米国ではアーモンドより人気があると言われています。注目すべきはその抗酸化力。アンチエイジング効果はクルミ以上といわれ、日本でも女性を中心にファンが急増中。ただし、現在は100%輸入で、需要に供給が追いついていません。

そんなピーカンナッツの国内生産を目指しているのが、沖一雄特任教授らの研究グループです。なぜピーカンナッツかといえば、収益性が高く、栽培にあまり手がかからず、200年の長期にわたって収穫が見込める作物だから。そのため、高齢化した農家の転作に最適であり、今後農地への転用が予想される耕作放棄地・牧場・ゴルフ場などで「攻めの農業」の実現が期待できます。 問題は、米国の大規模農場で行われている生産方法を、日本の気候や狭い農地向けにどうアレンジするか。

そこでタッグを組んだのが、工学が専門の生産技術研究所と、農学が専門の大学院農学生命科学研究科。まず農学分野で1000系統もあるピーカンのゲノム解析を進め、日本の気候風土にあった品種を選択し、試験的に栽培。工学分野では、農業支援に適した次世代ドローンを開発し、それを用いたセンシング技術を確立。温度・湿度・水分量など、最も効率的な生産管理システムを構築します。現在は、米国ニューメキシコ州立大学やアリゾナ州の農業法人との共同研究として、ピーカンナッツ生産現場での実地調査が進められています。

ピーカンナッツは地方創成の“種”にもなります。初の連携先となる岩手県陸前高田市では、産学官で「ピーカンを活用したまちづくり」を推進するため、製菓会社(株)サロンドロワイアルが現地法人としてゴールデンピーカン株式会社を設立。ピーカンナッツの新たな販売・加工・流通拠点が稼働を始めました。

アンチエイジング効果が話題のピーカンナッツ。その国産物が市場に出回る日も、そう遠くなさそうです。

このプロジェクトが貢献するSDGs

飢餓をゼロに

沖一雄 特任教授 | 生産技術研究所

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