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シエラレオネ、エボラ出血熱との戦い

掲載日:2019年6月19日

このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。

FSIプロジェクト 006

 

毎年冬になると、わが国でもインフルエンザの流行がニュースになりますが、世界規模で見れば、致死率の高い感染症はほぼ毎年のように流行しています。

たとえば2014年、シエラレオネなど西アフリカで起こったエボラ出血熱の大流行では2万8000人以上が感染し、1万1000人以上が死亡。また2005年以降、アジアで毎年死者を出している鳥インフルエンザは、従来のH5N1型に加えてH7N9型も出現し、パンデミック(爆発的感染)の危険がより高まっているともいわれています。

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エボラウイルス流行中のシエラレオネの治療センターで現地研究者とディスカッション中の河岡義裕教授。

こうした世界の感染症に、大学の叡智を結集して対策に取り組んでいるのが、医科学研究所・河岡義裕教授をリーダーとする研究グループです。医学部や医科研だけでなく、農学部・薬学部・工学部・生産技術研究所などから多彩な人材を集め、学際的アプローチを試みているのが特徴。エボラウイルスが大流行した2014年には、シエラレオネの現地に研究室を設置し、2015年2月~8月は研究員2名体制で現地調査と患者検体採取を実施しまた。その結果、エボラ出血熱で死亡する人と死亡しない人では、血液中のスレオニン(アミノ酸の一種)とビタミンD結合タンパク質の量が異なることを発見。重症化するかどうか事前に予測するバイオマーカーの同定に成功したのです。

「私たちがシエラレオネに研究拠点を置いたのは、あの国が世界最貧国の一つであり、何らかのサポートが必要だと考えたから。私たちが発見したバイオマーカーを使えば、重症化しやすい人を事前に見分けることができ、それらの人に限られた医療資源を集中投入することが可能になります 」と、河岡先生は話してくれました。

現在、研究グループが持つ海外研究拠点は中国、シエラレオネ、インドネシア、ベトナム、ボリビア、米国など6カ所。各拠点と現地政府を仲介するプロデューサー役として、河岡先生は今日も忙しく世界を飛び回っています。感染症との戦いに、休みも終わりもありません。

このプロジェクトが貢献するSDGs

すべての人に健康と福祉を貧困をなくそう安全な水とトイレをみんなにパートナーシップで目標を達成しよう

河岡義裕 教授 | 医科学研究所

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