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猫と東大・コネタ集 | 広報誌「淡青」37号より

掲載日:2018年12月25日

ニャー meow miau miao miaou 喵 야옹 م ي و

猫と東大・コネタ集

他のページでは触れられなかった「東大×猫」関連の気になるトピックスを集めました。 東京大学と猫の間には、まだまだ親密で懇ろな関係があったのです。

猫ともろもろ

駒場キャンパスと猫

撮影/永井久美子(総合文化研究科)

駒場キャンパスにはかつて「駒猫」と呼ばれる猫がたくさんいました。ただ、現在では数が減り、そう頻繁には目にしなくなっています。「一時期、増えすぎが問題になり、2010年頃から、猫を捕まえて不妊治療を施して戻す取り組みを始めました。多くの大学院生や、NPO、近所の獣医さんも協力してくれました。それで自然と数が減り、現在把握しているのは数匹程度です」と語るのは、「駒猫」と深い絆で結ばれた総合文化研究科の森政稔先生(写真)。構内で15年以上暮らし、アイドルとして愛された猫が2005年に亡くなった際には、「教養学部報」(487号)に特別な追悼文を寄せて話題になりました。「今でもまみちゃんがひざのうえに乗ってくるときの、うにゃ、とした気持ち良い感覚が残っています。(略)ねこの縁を通じて幾人もの人と知り合うことのできたことの幸運にも、ねこが好きでない人に私たちのねことの交際を受忍していただいたことにも、感謝したいと思います」(抜粋)。現在、森先生が見守るのは、「ミレ」「ミンミン」「クロ」「モナ」「チャッピー」の名で呼ばれる5匹。ミレとミンミンは親子で、モナはミンミンの娘でチャッピーの母かもしれないとのこと。昼は1号館の裏庭辺り、日没の頃には銀杏並木沿いのテラスや噴水付近で待っていると、運がよければ「駒猫」たちに遇えるかもしれません。

東大出身作家が書いたシャム猫が主人公の恋愛小説

舞台は井の頭公園や駒場を含む吉祥寺周辺で、登場するのは貴族のような猫たち。池で小動物に競争させて賭けに興じ、鴉に籠を運ばせて優雅に空中を飛び、侯爵邸で園遊会……。そんな世界で描かれるのは、美貌&だみ声の牡猫と、気位の高い未亡人の義姉猫、盲目の令嬢白猫による「危険な関係」。本作でデビューを飾ったのは人文社会系研究科の卒業生。2月には猫派のための浮世絵解説書『猫の浮世絵』4部作も発表(Kindle)。東大に縁のある猫好きなら検索しない手はありません。

『吉祥寺の百日恋』
(坂本葵/新潮社/2014年刊)

猫のイラストが目印のUTokyoハラール認証チョコ

東京大学コミュニケーションセンターで販売中の「ハナーンチョコレート」は東洋文化研究所・後藤絵美先生の研究を機に生まれたハラール認証マーク入りのチョコ。ハラール認証は、イスラム教徒の消費者に安心を提供するための仕組みですが、最近、認証基準が厳しくなり過ぎて、むしろ不安をあおる要因になっているとか。「ハナーン」はアラビア語で「思いやり、優しさ」。チョコを発端に、認証以外に、誰もが安心して食卓を囲めるようにする工夫がないか考えてみようと呼びかけます。おかべてつろうさんのかわいい猫イラストが目印です。

1080円(税込み)

先端研所属のアーチストによる猫絵本

小さな頃から「ぼく」のそばにいるにゃんたは、「ばにゃにゃ」「キャッツカレー」「ビスキャット」「ネッコレス」「ニャンバランスのスニーカー」「すにゃ」と変幻自在の不思議な猫。でもあるとき姿が見えなくなって……。絶妙な駄洒落を畳み掛けて知的な絵本に仕上げた作者は、先端科学技術研究センター中邑研究室の客員研究員を務める気鋭の現代アーティスト・鈴木康広さん。今年5月には東京ミッドタウンの芝生に全長25mの「空気の人」と参加者を寝かせて話題に。非猫派にもお薦めの、にゃんども読みたくなるニャイスな一冊です。

『ぼくのにゃんた』(鈴木康広/ブロンズ新社/2016年刊)

明治新聞雑誌文庫の猫画像資料

資料1

資料2

資料3

法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター明治新聞雑誌文庫の資料にも多くの猫が住んでいます。資料1の赤い絞りが可愛い三毛は雑誌「團團珍聞」掲載の風刺画「猫の変り目」。良く見ると瞳のなかに政治家たちの名前が描かれており、明治25年第2回総選挙の混乱で大臣が次々辞任したことを風刺しています。資料2の赤と黒が洒落たデザインの黒猫は、実は年賀状。明治文庫創立者の一人、宮武外骨が蒐集、編集した絵葉書帖の1冊「猫」に収録されています。資料3は明治・大正期の雑誌「風俗画報」の口絵。鮮やかな着物のお嬢さんにぎゅっとされた子猫は満足かニャン?

「シュレ猫」の会員証がもらえる量子コンピュータ研究基金

「シュレディンガーの猫」は量子の「重ね合わせ」という特性の説明に使われる思考実験。中身の見えない箱に入れた猫は箱を開けるまでは生と死が重なり合う状態にあると考えられます。この特性を活用した究極の次世代コンピューターを目指す工学系研究科・古澤明先生の研究を支援すると、2種類の猫のどちらかが描かれた会員証がもらえます。詳細は東大基金へ。

Kavli IPMUの村山斉先生が「チェシャ猫」的な銀河を紹介

第一線の研究者や学生らの寄稿を編集した理学部の広報誌「理学部ニュース」。2014年11月号の「理学の現場」に登場したカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の村山斉先生は、「私たちの生き別れの生みの母:暗黒物質」と題した回で1枚の画像を紹介しました。47億年先の銀河が暗黒物質のいたずらで「不思議の国のアリス」のチェシャ猫のように見えています。研究の現場では有名な一枚だそうですが、門外漢には驚き。猫の神秘性は宇宙規模!?

その他の「東大×猫」トピックス

残念ながら特集ページでは紹介できなかった、そのほかの東大の猫関連研究を紹介します。

●「ニューヨークのネコで流行したH7N2インフルエンザウイルスの特性を解明」/医科学研究所・河岡義裕先生のプレスリリース(2017年12月22日)。2016年12月から2017年2月にニューヨークの動物保護シェルターで500匹以上のネコが感染したウイルスを解析。ネコ間で接触感染および飛沫感染すること、新たなウイルスがネコを介してヒトやその他の哺乳動物に伝播する可能性、インフルエンザウイルスの中間宿主としてのネコの重要性を示しました。 

●「ネコにはネコの乳酸菌!?~ネコにおける加齢に伴う腸内細菌叢の変化~」/農学生命科学研究科・平山和宏先生のプレスリリース(2017年8月17日)。5つの年齢ステージにおけるネコの腸内細菌叢を解析し、腸内細菌叢を構成する菌の加齢に伴う変化は、ヒトやイヌと異なるものであることを明らかにしました。ネコに特化したプロバイオティクス(健康によい影響を与える善玉菌など)の可能性が広がりました。 

●「ツレない猫、答えないけど飼い主の声聞き分ける。科学的に証明」/総合文化研究科・齋藤慈子先生(所属は当時のもの→「東大生が3ヶ月考えてみたら・・・・・・」のページ参照)のプレスリリース(2013年3月27日)。人間の呼び声に対するネコの反応は、応答的な反応よりも定位反応(頭や耳を動かすだけの反応)が主ではあるが、見知らぬ他人の呼び声と飼い主の呼び声を区別していることを明らかに。一般に信じられてきた「ツレない猫」の姿が裏付けられました。

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