第19回ホームカミングデイONLINEのご報告
講演会「特別フォーラム」
毎年10月の第三土曜日に実施している ホームカミングデイですが、19回目を迎えた今回は、初めて全面オンラインでの開催となりました。例年のようにキャンパスに来て触れ合うことはできませんでしたが、多くの卒業生や教職員の皆さんの尽力により、例年よりもかなり多い数のイベントが開催されました。
安田講堂で行われた特別フォーラムでは、ウイルス研究の最新知見、感染症の歴史と社会との関係、想定外の危機への対応という視点から、3人の先生が講演しました。
河岡先生は、本物の新型コロナウイルスと4種類のマスクを使い、吐き出す側から吸い込む側へ飛沫がどの程度到達しているのかを計測するという最新の実験結果について紹介。吐き出す側と吸い込む側でマスクの効果を比べると、前者がマスクをつけた場合のほうが感染を防ぐ効果がより高いという注目の事実が示されました。
小野塚先生は、農耕牧畜の進展から始まった細菌・ウイルスと人類の関係史を解説。14世紀の黒死病の影響でルネサンスや宗教改革が起こったと考えられることや、第一次世界大戦時には捕虜が書く手紙が媒介となってスペイン風邪が敵国へ伝わった可能性があることまで、当時の様子を伝える図版類をまじえて紹介しました。
玄田先生は、パンデミックを含めた危機にどう対応すればよいのかという観点から、社会科学研究所の「危機対応の社会科学」プロジェクトを踏まえ、社会における危機の発生メカニズムと、その対応策としてのブリコラージュという考え方を紹介しました。
司会の藤垣先生が言葉の意味の補足を促すと、「藤垣さんが家に遊びに来ることが決まっているとして、藤垣さんの好きな料理の材料を仕入れ、調べたレシピに沿って料理してもてなすのがエンジニアリング。たまたまその辺で出会った藤垣さんを家に呼んで、冷蔵庫にある人参や豚バラなどありあわせのもので料理を作ってもてなすのがブリコラージュ」と実にわかりやすく例示し、会場に納得感が広がりました。
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特別フォーラム
今回の特別フォーラムでは、未曽有の事態を引き起こしている新型コロナウイルスをテーマにします。医療現場・研究開発現場の最新の状況と今後、人類が経験してきた大規模な感染症の歴史と社会に与えてきたインパクト、想定外の危機への対応という3つの視点から迫ります。
特別フォーラム 登壇者
ご登壇いただいた方々をご紹介いたします。-
玄田 有史氏
東京大学社会科学研究所教授
1988年東京大学経済学部卒業、92年同大学院経済学研究科第II種博士課程退学。学習院大学経済学部教授を経て現職。専門は労働経済学。著書に「希望学」(共著)、「希望のつくり方」、「危機対応の社会科学」(共著)、「地域の危機・釜石の対応」(共著)ほか。 -
小野塚 知二氏
東京大学経済学研究科教授、東京大学アジア研究図書館長
1981年東京大学経済学部卒業、87年同大学院経済学研究科第II種博士課程単位取得退学。東京大学社会科学研究所助手、横浜市立大学商学部助教授を経て現職。専門は近現代西洋社会経済史、イギリス労務管理史・労使関係史、第一次世界大戦史、兵器産業史など。 -
河岡 義裕氏
東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長
1978年北海道大学獣医学部卒業、80年同大学修士課程修了、83年獣医学博士取得。St. Jude Children's Research Hospital, Tennessee にて教授研究員、ウイスコンシン大学獣医学部教授の後、東京大学医科学研究所細菌感染研究部教授、感染・免疫部門ウィルス感染研究分野教授を経て現職。 -
藤垣 裕子氏
東京大学大学院総合文化研究科教授
1985年東京大学教養学部卒、1990年総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学助手、科学技術政策研究所主任研究官、東京大学准教授を経て2010年より現職。専門は科学技術社会論。著書に「専門知と公共性」「科学者に社会的責任」など。
各種イベント
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運動会合気道部師範・現役部員による演武
指導者および現役部員による演武をお届けいたします。 -
注目の東大出身ピアニスト、角野隼斗氏演奏
ジャンルの異なる二曲をお楽しみください -
映像人類学者 Kharel Dipesh氏によるドキュメンタリー映画 "Playing with Nan"/ Documentary Film"Playing with Nan" by Dr. Kharel Dipesh, a visual anthropologist
北海道のネパール料理店で働く若きネパール人出稼ぎ労働者ラムの物語。日本での彼の生活とネパールに住むその家族を追い、グローバリゼーションによりもたらされる社会文化的課題を浮き彫りにします。 -
生研道具箱カードゲーム:最新技術でピンチを切り抜けろ!
生産技術研究所で開発中の最先端技術を組み合わせて襲いくるピンチを切り抜けるゲームです。
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東京大学大学院農学生命科学研究科における福島復興支援に係る教育研究の総括シンポジウム
東京大学大学院農学生命科学研究科が取り組んできた福島復興支援についての教育研究の総括シンポジウムです。 -
ウィズコロナ、ポストコロナの教育を考える
コロナ禍での学校教育の在り方と実際、学生・教師の健康、子どもの権利、今後の方向性について意見を交わします。 -
家族で体験 理学のワンダーランド2020 Online
はやぶさ2と小惑星のお話、花と進化のお話の2本立てです。 -
IR cubed (IR×IR×IR) ~第6回東京大学定期株主総会~
「大学の無形の価値を未来社会の中でどう位置づけていくか」をテーマにゲストとともに考えます。 -
感染症時代の日本企業・日本産業ーサステナブル・デジタル・グローバルとの関連でー
東京大学経済学部創立百周年記念第6回講演会
「感染症時代の日本企業・日本産業ーサステナブル・デジタル・グローバルとの関連でー」 -
文京区立本郷小学校合唱団
各種コンクールで入賞、幅広く活動している文京区立本郷小学校の合唱団の歌声を披露します。
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文学部が見てきた「女性と社会」
「女性と社会」の関係は、文学部のさまざまな学問領域においてどのように捉えられてきたのでしょうか。 今の日本社会における女性を取り巻く問題を改めて見つめ直します。 -
東京大学FSIバーチャルシンポジウム-Future Society Initiativeとともに未来を創る東京大学の最先端研究ー
東京大学が文理を越えて有する「知」を集積し、SDGsを媒介に学内外との連携を深め、より良いインクルーシブな未来社会の協創に向け、その最前線で行われてきた本学活動の一端について、基調講演と「バーチャル研究室訪問」のセッションで紹介します。 -
認知症の撲滅に向けて<予防・治療法の開発の現状と未来>
認知症は大きな社会問題となっています。最近の研究成果から、その発症プロセスが明らかとなり、そのメカニズムに基づく新しい治療・予防法開発が進められています。本講演ではその現状と未来についてお話します。 -
ディスタンス時代における『学際』とは
来たるべき「ディスタンス時代における『学際』」のあり方を学環・学府にゆかりのある若手研究者たちのプレゼンテーションと鼎談をとおして探ります。 -
Competition law in the EU and Japan - recent trends
ヴァンドゥワラ・サイモン 法学部教授による英語での講義です。/Only in English -
潜入!工学研究最前線 ~ 東大 生研が描く「もしかする未来」~
新進気鋭3研究者の研究室に潜入、余すところなくナマの現場をご紹介します。 -
成長し続ける西之島-2018年の調査観測
2013年から噴火活動を続けている西之島。2018年7月の噴火の際に流れ出た溶岩流の様子をご覧いただけます。 -
総合図書館バーチャルツアー
2012年の図書館前広場の楠の移植から始まった総合図書館の耐震改修・別館の建設は最終段階に入り、今年はいよいよグランドオープンとなります。 -
ホームカミングデイ文学部特設ページ
文学部のホームページにて、過去のホームカミングデイ企画や文学部のインタビュー集を紹介しております。 ぜひご覧ください。 -
70周年記念講演会
工学のほぼ全ての領域をカバーする生研の過去から現在までの歩みや特徴的な取り組みについて紹介し、これからの研究の方向性をイメージさせる観点で、関係する研究者による講演を行いました。 -
70周年記念式典における研究紹介講演
設立70周年記念事業のひとつとして行われた記念式典にて、冊子「生研プロファイル eddy」の披露があり、関係する研究者による講演の様子をご覧いただけます。 -
総合研究博物館/Hall of Inspiration
総合研究博物館は全国初の本格的な大学博物館として1996年に開館しました。活動の舞台を大きく拡げてきた当館の最新状況を、研究者らの発信を通してご紹介します。 -
東京大学文書館へようこそ
東京大学文書館の活動を紹介します。 -
歴史研究としての法学・政治学
現在において、歴史研究としての法学・政治学はどのような特質と意義をもっているのかを考えます。 -
ニューロインテリジェンス国際機構へようこそ
私たちニューロインテリジェンス国際研究機構は、生命科学と情報科学をつなぐ新しい学問分野、”ニューロインテリジェンス”を創成し、「ヒトの知性はどのように生じるか」という人類究極の問いに迫っています。是非卒業生の皆様もこの壮大な旅に私たちと一緒に出かけませんか? -
「東大という思想」刊行記念トークイベント
~東大は思想たり得るのか?~『東大という思想』の刊行を記念いたしまして、吉見俊哉教授と宇野重規教授によるトーク録画映像を公開いたします。 -
あなたの生きた証となる「遺贈寄付」を知る
人生最後の社会貢献と言われる「遺贈」。遺贈をめぐる潮流や、遺贈を考える際に必要な知識等についてやさしく解説します。 -
遺言書を実際に書いてみよう!自筆証書遺言の書き方
専門家による動画の解説を見ながら、実際に1つの自筆証書遺言を仕上げることができます。終活の取り組みのひとつとしてぜひご活用ください。 -
東京大学基金のプロジェクトを知ろう!
東京大学基金の寄附プロジェクトの紹介まとめ動画を作成しました。是非ご覧ください。 -
集まれ!東大応援サポーター
東京大学基金サイトの仕組みや、寄附金控除等について解説いたします。 -
ウィズコロナ/アフターコロナの育児と仕事
新たな生活における育児・仕事とは? -
コロナ禍における大学経営・政策コース修了⽣の取り組み
教育学研究科大学経営・政策コース修了生と教員によるトークセッションです。 -
赤門技術士会 光石衛会長による講演
光石衛工学系研究科教授/赤門技術士会会長による講演。 -
南原繁セミナー「世界はどこへ行く」
著作集未収録の1969年の講演テープの一部を公開。50年後の今日における問題の解決のために、南原繁の見解がどう活用されるのかを論評します。
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「新型コロナウィルスと社会」
Zoomによる「東大ワールドカフェ」 -
持続可能な太陽エネルギーと海洋深層水の利用(発電他)
Zoomよる講演、質疑応答、懇談 -
家族が認知症になった姿のドキュメンタリー。オンライン無料配信
肉親の老いを直視した記録映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」をZoomにより上映します。 -
電光石火のNew Normal -先陣を切った電気系-
コロナ禍の中、学生の学ぶ権利を保証し、入進学や授業や試験などの学事暦に如何に影響を及ぼさず実施するかという重要な課題に立ち向かった国内外の教授たち(電気系同窓生)が登壇します。 -
東京大学応援歌「ただ一つ」運動会歌「大空と」~第44回「淡青祭」より
昨年度の『淡青祭』から『東京大学の歌』である2曲をお届けします。 -
東京大学音楽部創立100周年記念「東京大学音楽部OB合唱団アカデミカコール演奏会2019」
2019年8月11日(日)東京芸術劇場コンサートホールにて収録した 「男声合唱と8人のアンサンブルのためのMissa pro Pace」です。 -
東京大学音楽部合唱団名演集
現役学生の歌声をお聞きください。 -
混声四部合唱(コロナ新生活様式を踏まえて)
個々人が個別に録音したものを編集。多重録音の混声合唱をお聞きください。 -
東京大学音楽部管弦楽団 室内楽演奏会
OB・OG、現役によるオンライン室内演奏会 -
テレワーク新様式! オペラ特別演奏
蝶々夫人よりある晴れた日に~他 -
Sonido de los Andes アンデスの響き
南米アンデス地方の音楽「フォルクローレ」の演奏です。 -
東大落語会寄席
オンラインで楽しめる落語の世界をご案内 -
デジタル華道展
~花で広がる人の輪~花で広がる人の輪。会員達の作品集をお楽しみください。 -
鎌倉淡青会五街道歩き
五街道を最大40人の会員で踏破した記録動画です。 -
参遊亭遊助と神奈川銀杏会の物語
創作落語を交えて神奈川銀杏会の活動を紹介します。 -
新型コロナCOVID-19治療薬関連取組の国際的動向
コロナウィルスの感染メカニズムの全体像を説明し、治療薬ターゲット因子に関する研究内容及びOECD等で開発が進んでいるCOVID-19に関連する国際共同プロジェクトを紹介します。(日本語/英語)