蔵出し!文書館 第3回

蔵出し!文書館
収蔵する貴重な学内資料から
140年に及ぶ東大の歴史の一部をご紹介
 
 

第3回 昭和6年、航空研究所行幸!

  昭和6年5月11日、新たに駒場に建築成った航空研究所(JAXA前身のひとつ)へ、昭和天皇の行幸がありました。航空研究所は附置研究所のひとつで、もともと越中島にあったのですが、関東大震災で被災したため、現在の駒場IIキャンパスに新たに復興建設が進んでいました。その竣工の目処がたち、また当時の斯波忠三郎所長が天皇に進講したことがきっかけとなり、新しい航空研究所の視察が実現しました。
 さて、この行幸に関する文書は、現在文書館にいくつかあります。
 まず、航空研究所の文書「行幸関係書類」(S0010/23)です。2月9日から、毎週のように主任会議を開いてどのような企画とするかが議論され、行幸後の研究所一般公開の準備、行幸時の展示用に海軍や企業から機械を借用する手配など、行幸という行事のコンテンツ準備の様子がとてもよくわかります。
 また、本部庶務課の文書(S0010/24)では、文部省を通じて行幸を願い出る手続きや当日のドレスコードなど、行幸という行事の運営に関する準備の様子がわかります。
 そのほか、個人から寄贈されたアルバム「航空研究所 昭和6年5月11日」(F0025/史A36)もあります。当時の建物や種々実験機械、所員集合写真が見られます。
 さらにもうひとつ、消失の危機を危うく逃れて文書館にたどり着いた資料があります。「昭和6年航空研究所行幸記念映画」(F0037)という35ミリフィルムです。これは1960年頃に、学内のゴミ箱から拾われたもの( ! )です。ここには、天皇が到着する前の研究所のそわそわした感じから、行幸の過程、最後には下賜された金一封まで、10分ほどの映像が記録されています。
 このように、「文書」といっても実は紙の簿冊だけではなく、簿冊、写真、映像とさまざまな媒体があり、それらを見るとこの行幸という行事が立体感をもって身近に感じられます。みなさんもぜひ御覧ください。

(文書館准教授・森本祥子)

今回の蔵出し資料

「行幸関係書類」(S0010/23)

「昭和6年航空研究所行幸記念映画」(F0037)

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