附置研究所

医科学研究所

建物外観

医科学研究所は、前身である伝染病研究所(1892年創立)から1967年に発展的に改組された。現在、約700名の教職員とポストドクトラルフェロー、約200名の医学、理学、農学生命科学、薬学、工学、情報理工学、新領域創成科学の各研究科や、学際情報学府の大学院学生によって構成されている。本研究所では、感染症、がん、免疫・加齢・神経・筋疾患などの難治性疾患に関する、個人の自由な発想に基づく独創的な基礎研究に加え、革新的な予防・診断・治療法の創出を目指すゲノム医学、再生医学、疾患動物モデル、細胞・遺伝子治療やAI医療などに関する先駆的なプロジェクト型研究を展開している。また、国立大学法人附置研究所としては唯一の附属病院を擁する利点を背景に、基礎研究の成果をいち早く臨床に届け、また、臨床情報を迅速に基礎研究に反映させる基礎・臨床循環型の最新医科学研究体制を構築し、最先端医療、創薬、ワクチン開発などの橋渡し研究による社会貢献を研究所の使命としている。

研究部門数 研究部門名
3 感染・免疫、癌・細胞増殖、基礎医科学

地震研究所

建物外観

地震研究所は1923年の関東大震災を契機に、東京大学の附置研究所として1925年に設立された。設立メンバーの一人である寺田寅彦は「本所永遠の使命とするところは、地震に関する諸現象の科学的研究と、直接または間接に地震に起因する災害の予防並びに軽減方策の探究とである」と碑文に記し、この使命を全うすべく、地震や火山の基礎研究と、それらによる災害の予防や軽減の研究を進めている。

基礎研究においては理論的および解析的研究のほかにも、各種の野外観測や室内実験、シミュレーションなど、多面的なアプローチによる研究を実施し、観測・実験機器の開発なども行っている。一方、地震・火山災害の予防や軽減の分野では、地震発生の長期評価や強震動評価、地震動予測等の高度化のための各種研究プロジェクトを主宰している。また、地震・火山科学の共同利用・共同研究拠点として、国の建議に基づいた「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」(第2次)による研究プロジェクトを企画・立案し、全国の多数の大学や研究機関と共同して実施するとともに、100を超える多様な共同研究を全国の研究者と進めている。

研究部門数 研究部門名
4 数理系、地球計測系、物質科学系、災害科学系

東洋文化研究所

建物外観

1941年に「東洋文化の綜合的研究」のために設立された本研究所は、アジア諸言語を用いる地域を研究対象とし、人文学や社会科学を中心に、汎アジア、東アジア、南アジア、西アジア、新世代アジア研究部門に分かれて専門的、学際的な研究を行っている。アジアの過去と現在を総合的に研究することにより得られた学知を、日本、アジア、そして世界の未来に資することを目的としている。

本研究所は国内外の研究機関と学術交流協定を結んで協力関係にあるほか、ケンブリッジ大学出版会から刊行される英文学術誌International Journal of Asian Studiesの編集を担当しており、本研究所の有する漢籍をはじめとした世界でも有数の蔵書の利用や、所員を中心としたアジア研究者との交流を目的として、海外から数多くの訪問研究員が長期、短期に訪れており、アジア研究の世界的拠点として機能している。

研究部門数 研究部門名
5 汎アジア、東アジア、南アジア、西アジア、新世代アジア

社会科学研究所

建物外観

社会科学研究所は、第二次世界大戦後に東京大学を再生するための最初の改革として1946年に設置された。本研究所の目的は、[1]社会科学の「総合知」を創出すること、そのため、法学・政治学・経済学・社会学など社会科学の諸分野を横断的に結びつけ、理論・歴史・国際比較の観点から、世界をリードする共同研究を実施すること、[2]実証的な社会科学研究のための国際的な拠点とデータ利活用の共通基盤を構築・提供すること、にある。

[1]の主な活動は、日本と世界が直面する重要課題について、上記の総合的観点により、国内外に広がる研究ネットワークを通じて、数年間にわたっておこなう「全所的プロジェクト研究」である。2015年度から実施してきた「危機対応の社会科学」は、大きな成果を収めた。2021年度からは、新しいプロジェクト「社会科学のメソドロジー」が開始し、AIとビッグデータの時代に社会科学にいかなる刷新が求められているかの課題に取り組む。

[2]の中心は、オックスフォード大学出版局から年2回刊行される英文学術誌Social Science Japan Journa(SSJJ)の編集、および、社会調査の個票データを蒐集・保存・公開して研究・教育上の利用に供する「SSJデータアーカイブ」の運営である。あわせて、世界各地の日本研究機関・日本研究者のネットワークのハブとしての役割も果たしている。

研究部門数 研究部門名
5 比較現代法、比較現代政治、比較現代経済、比較現代社会、国際日本社会

生産技術研究所

建物外観

本研究所は、第二工学部(1942年開学)を母体に、「技術の実際問題を取り上げ、各専門知識を総合的に研究して実用化する」ことを使命として1949年に発足した。以来、ものづくり・ことづくりなど、「創る」ことにかかわる学術であるIndustrial Science の開拓とその教育を担う、世界でもユニークな教育研究組織として発展してきた。現在、教授・准教授・講師がそれぞれ主宰する約120の研究室を擁し、約240名の教員、約160名の職員、約900名の大学院学生等の総勢1,300名以上が、5研究部門、1客員部門、5寄付研究部門、6社会連携研究部門、大規模実験高度解析推進基盤、価値創造デザイン推進基盤、2研究センター、1国際連携研究センター、10所内センターにおいて教育研究活動を展開し、その活動域は、地球規模というマクロの世界から量子レベルのナノの世界にまで幅広く分布し、工学のほぼ全域をカバーしている。本研究所は、世界最先端の研究成果を生み出して学術の発展に寄与しているだけでなく、新産業創出や、地球規模での課題の解決に様々な社会貢献をしてきた産学連携・社会連携のパイオニアでもある。また、フランス・リール、タイ・パトゥンタニなど5箇所の海外研究拠点・分室を通じて世界の様々な研究機関と長期的継続的な研究連携も進めている。このような多岐にわたる本研究所の活動は、フラットな組織構造と、自由闊達を尊ぶ組織文化によって支えられている。

研究部門数 研究部門名
5 基礎系、機械・生体系、情報・エレクトロニクス系、物質・環境系、人間・社会系

史料編纂所

建物外観

全ての歴史学研究の基礎は、歴史資料の保存と精密な解読にあり、文書や日記、典籍、画像史料などの歴史資料を「史料」と称している。史料編纂所では、明治時代以来、国内外に存在する史料の収集を行い、史料の様式・機能・素材、史料群の形成、史料の管理・保存や情報化などに関する研究を行ってきている。こうした史料研究を基に、史料を研究者が利用しやすい史料集という形に編成する作業が「編纂」である。研究・編纂という過程を経て、毎年十数冊の史料集を継続して刊行しており、明治時代以来の総刊行数は1200点を越えている。また、唯一の日本前近代史専門の研究所として、大学院人文社会系研究科・文学部、大学院情報学環・学際情報学府ならびに教養学部前期課程との連携により、学部・大学院教育にあたるとともに、国内外の若手研究者を受け入れ、研究者養成にも積極的に取り組んでいる。さらに、附属画像史料解析センターでは、絵画史料・画像史料の分析・研究を行い、附属前近代日本史情報国際センターでは、研究・編纂の成果である史料情報や歴史情報を各種データベースから効率的に公開することに取り組んでいる。

研究部門数 研究部門名
5 古代史料、中世史料、近世史料、古文書・古記録、特殊史料

定量生命科学研究所

建物外観

定量生命科学研究所(定量研)は、物理量により、あらゆる生命動態を記述する先端的研究をめざし、設立された。最先端の技術の追求をモットーとし、数学、物理、化学、量子化学なども取り入れた、既存分野にとらわれない、新しい生命科学研究を目指している。また、オープンサイエンス、国際化、D&Iの推進に積極的に取り組んでおり、其の努力は、外国人教員の採用や女性教員の高い比率にも反映されている。さらに、様々な機会を利用し、若手PIの採用を継続的かつ積極的に行っており、次世代を担う若手の育成に力を入れている。今後も、高度な解析技術の開発導入と、先端技術の国内外の研究施設との共有化、透明性の高い自由闊達な研究環境の確保のための不断の努力を続けていくことで、この研究所にしかない優れた基礎研究の展開と、成果の社会への還元を狙う。

研究部門数 研究部門名
2 先端定量生命科学、応用定量生命科学

宇宙線研究所

建物外観

宇宙線研究所は、宇宙から飛来する粒子線を多種多様な装置を用いて観測することで、宇宙と素粒子の研究、さらに関連する理論研究にも取り組んでいる。岐阜県飛騨市神岡町の地下では、宇宙線や地面振動が少ない利点を生かし、大型水チェレンコフ観測装置スーパーカミオカンデによる陽子崩壊の探索やニュートリノ研究、さらに大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)による重力波天文学を進めている。また、素粒子の統一理論や宇宙の進化史の更なる解明を目的に、スーパーカミオカンデをおよそ10倍にスケールアップさせたハイパーカミオカンデの建設を本格化させ、2027年の実験開始を目指す。スペインとチリでは、高エネルギーガンマ線天文学を飛躍的に発展させるべく、25カ国が参加してチェレンコフテレスコープアレイを建設する国際プロジェクトを推進し、大口径望遠鏡(LST)1号基が運転を始めた。中国・チベット高原のチベット実験、ボリビア・チャカルタヤ山のアルパカ実験は、超高エネルギー宇宙線とガンマ線を観測。アメリカ・ユタ州のテレスコープアレイ実験は最高エネルギー宇宙線を観測し、ともに宇宙線の起源の謎に挑んでいる。

研究部門数 研究部門名
3 宇宙基礎物理学、高エネルギー宇宙線、宇宙ニュートリノ

物性研究所

建物外観

物性科学は、物質が持つさまざまな性質を原子や電子などのミクロなレベルから解明する学問である。。1957年に設立された物性研究所は現在5研究部門、1社会連携研究部門、5附属研究施設の体制で、新物質やナノスケール物質系が示す物性の実験的・理論的解明に向けた研究を行っている。特に、新しい量子現象や機能発現の探求を目指すとともに、室内では世界最高の1200テスラを発生する超強磁場や極限レーザー・放射光・中性子などの先鋭的量子ビームなどを用いた物性研究や、スーパーコンピュータによる計算物質科学の展開などを推進している。またそれらの先端的研究設備を広く共同利用に供し、国内はもとより海外からも短期・長期滞在の研究者を受け入れて共同研究を実施している。国際ワークショップの開催や外国人客員の招聘など、国際的情報発信や海外との連携にも力を入れている。

研究部門数 研究部門名
5 凝縮系物性、物性理論、ナノスケール物性、機能物性研究グループ、量子物質研究グループ

大気海洋研究所

建物外観

大気海洋研究所は、地球表層の環境、気候変動、生命の進化に重要な役割を有する海洋と大気の基礎的研究を推進するとともに、先端的なフィールド観測と実験的検証、地球表層システムの数値モデリング、生命圏変動解析などを通して、人類と生命圏の存続にとって重要な課題の解決につながる研究を、8つの研究部門および3つの附属研究施設(国際・地域連携研究センター、共同利用・共同研究推進センター、地球表層圏変動研究センター)において展開している。また、世界の大気海洋科学を先導する拠点として、国内外における共同利用・共同研究を強力に推し進めている。これらの先端的研究活動を基礎に大学院教育に積極的に取り組み、次世代の大気海洋科学を担う研究者ならびに海洋・大気・気候・地球生命圏についての豊かな科学的知識を身につけた人材を育成している。

研究部門数 研究部門名
8 気候モデリング研究、気候変動現象研究、海洋物理学、海洋化学、海洋底科学、海洋生態系科学、
海洋生命科学、海洋生物資源

先端科学技術研究センター

建物外観

先端科学技術研究センター(先端研)は、1987年の設立以来、学術の発展と社会の変化から生じる新たな課題へ挑戦し続け、新領域を開拓することによって科学技術の発展に貢献することを使命としている。材料、環境・エネルギー、情報、生物医化学、バリアフリー、社会科学の6つのカテゴリーのもと、40以上の研究室が文・理の垣根を越えた領域横断の研究活動を行っている。また、「先端アートデザイン分野」では、論理のみならず感性を軸に異分野融合を進め、自然と共生するための多様な解を導く新たな科学技術の姿を探求している。第一線のデザイナーや音楽家などを特任教員に採用し、科学技術とアートの協奏を進めている。このような学際融合研究の成果を社会実装すべく、「地域共創リビングラボ」を設置して国内外20以上の自治体と連携協定を結び、地域固有の課題と先端研のシーズをつなぐことで SDGs の達成に資する多様な取り組みを展開している。また、障害を持つ人たちも含めて皆が主役となって働くことができる新たな社会像の構築を目指し、バリアフリー化を進める技術や新たな社会制度の構築を目指している。加えて、東大の附置研究所としては唯一、博士後期課程(工学系研究科先端学際工学専攻)を設置し、間口の広い独自の入試とカリキュラムで、イノベーションを生み出す力を持った人材育成にも取り組んでいる。

研究部門数 研究部門名
6 情報、生物医化学、環境・エネルギー、材料、バリアフリー、社会科学
(令和5年度)
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