蔵出し!文書館_第11回
蔵出し!文書館 収蔵する貴重な学内資料から 140年に及ぶ東大の歴史の一部をご紹介 |
第11回 落書きのない講義ノート
以前から密かに気になっていた講義ノート(資料所蔵番号F0045/0006)を、「2017柏一般公開」で展示した。1929年に東京帝国大学工学部造兵学科を卒業した杉豊氏のもので、見学者からの反響は、「なんて字がきれ い」、「絵が上手すぎる」、「全部英語で書いていてすごい」といったもので、しめしめ。筆者の思惑どおりであった。 ノートには落書きがほとんどなく、びっしりと字と図で埋められている。植物学には細部までていねいに描かれた図画がたびたび顔をみせる。外国語も登場する。40問ほどある証明問題はすべて英語。水力機械については仏・独書の頁が貼付してある(現在は自動 車や飛行機に使われるハイドロリックブレーキは、造兵学科で「大砲が打たれた時に後退するのをトメル」ためのものと教わっていたことがわかる)。 そして、落書きの換わりにみつけたのはノートに挟まれていたエビの図だ。講義ノートというと落書きは定番だと思っていたが、さすが、 日本光学工業株式会社(現ニコ ン)で会長までされた杉氏のノ ート。感服である。 6 冊のうち5 冊は、あの「松屋ノート」。博物館などで表紙を一度は目にしたことがある方も多いだろう。しかし、「松屋ノート」のお話はまたの機会に。待ちきれない方はぜひ文書館柏分館までお越しくださいませ。 (文書館教務補佐員・白川栄美)
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