蔵出し!文書館 第6回
蔵出し!文書館 収蔵する貴重な学内資料から 140年に及ぶ東大の歴史の一部をご紹介 |
第6回 学生証のはじまり
学生であることを証明するものであるとともに、証明書の自動発行や図書館利用証などにも使用される学生証。東京大学の学生証のはじまりはいつだったのでしょう。
学生証が制定されたのは、今から90年前の昭和2(1927)年4月1日のことです。学生証が制定されるまでは、写真貼付のない身分証明書や図書館の閲覧票がありました。しかし、学生以外の者の聴講や教室・図書館内で盗難が多発したため、大正15(1926)年10月12日の評議会において、写真貼付の学生票を交付し、時々これを検査することによって取り締まろうという提案がなされました。(『東京大学百年史資料一』p.849)
当館所蔵重要文化財指定資料「諸規定及改正案綴」(S0009/04)に、その当時本部が作成した「本学々生票制定に関する建議書(稿)」があります。図書館の事務作業の削減や偽学生の取り締まりなど、建議の趣旨やひな形を見ることができます(下左画像)。
学生証が制定された1ヶ月後の『帝国大学新聞』(第207号、昭和2年5月2日)に、「学生証のお蔭 盗難数は減少」とあるように、少しは効果があったようですが、他の帝国大学の図書館の閲覧はできず、また定期乗車券購入の際の証明は別に請求しなければならないなど課題が多いものでした。
当館には、学生証に先立つものとしての明治13年の身分証明書(F0176/01)、昭和17年の第二工学部の学生証(F0212/088、下右画像)、昭和23年の第一工学部の学生証(F0159/02)を所蔵しております。現在の学生証と比べていかがでしょうか。ぜひご覧ください。