蔵出し!文書館 第22回

蔵出し!文書館
収蔵する貴重な学内資料から
140年に及ぶ東大の歴史の一部をご紹介
 
 

第22回 「UM委員会」からの『JKニュース』

  さて質問です。タイトルの英文略称は何を表しているでしょうか。 答えは、「UM委員会」が「U()niversity M()anagement委員会」、『JKニュース』が『東京大学()()善委員会報』の略称です。
 1962年5月、総長より、大学の事務の改善について工学部長に工学部事務部をモデル・ケースとして検討するよう要望がありました。そこで工学部4教授による工学部委員会が発足しました。これが「UM委員会」です。UM委員会の目的は、肥大化する事務量に対して事務組織の改善、事務機械化等の手段によって能率を高めることでした。1963年4月、UM委員会による総長宛中間報告書に盛り込まれた提案を機縁に、評議会において東京大学事務改善委員会が承認され(1964年10月)、全学委員会として始動したのです。
 委員会の設置3年後、1967年11月に『JKニュース』が創刊されました。学内教職員に委員会活動の周知を目的とするこのニュース。毎号の特別寄稿では、工学部教授陣による事務の合理化と機械化に関する記事を多く見かけます。現在のコンピュータによる事務処理の萌芽がここに見えます。一方、ニュースの内容が活動報告に限らないのも特徴的です。教職員の経験談や提案コーナーを設け、投稿を募集する方式をとったのです。たとえば、「わたし達は試みた」というコーナーでは、3等会(事務職員の会)による、昭和20年代から続く勉強会の歩みを紹介しています(第3号)。「業務の紹介」では、「経済学部事務室の机の並べ方について」という記事が目を引きます(第5号)。
 残念ながら『JKニュース』は1968年11月発行をもって姿を消します。『事務改善委員会 昭和45-49年度』(東京大学文書館S0032/SS08/0131)によると、同委員会は1968年1月26日に開催後、東大紛争による休会を経て1970年9月25日に会議を再開します。その議事抄録に、『JKニュース』再発行の意見交換についての記載がありました。今後、当館所蔵の他の資料の整理を進め、ニュース刊行が再開されたかどうかを確認したいです。
 全学向けに刊行された最初の刊行物は『学内広報』にあらず。このニュースの所蔵は現時点において当館のみのようです。お調べになりたいかたはぜひ文書館にお越しください。

(学術支援職員 小根山 美鈴)

今回の蔵出し資料
『JKニュース』(東京大学文書館P031084~P31091)

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