蔵出し!文書館 第41回

蔵出し!文書館
収蔵する貴重な学内資料から
140年に及ぶ東大の歴史の一部をご紹介
 
 

第41回 年史編纂と大学アーカイブズ事始

 東京大学は2027年に創設150周年を迎えます。ことし10月には150周年に向けた事業がスタートし、事業推進のシンボルとなるロゴマークも発表されました。
 創立100年時を振り返りますと、記念事業のひとつとして『東京大学百年史』の編集・刊行が計画され、「東京大学百年史編集室」(以下、編集室)がその任にあたりました。編集室は、編集事業の過程で収集した大学関係資料を沿革史編纂にとどまらず、学内外で広く活用し、さらには保存と研究を行う組織「大学アーカイブズ」を東京大学に設立しようと早い段階から構想していました。
 そこで編集室は、1980年に大学アーカイブズの制度調査と情報収集のため、国内外の大学を対象とするアンケートを実施しました。『学内広報』No.485掲載の「東大百年史編集室通信」(以下、編集室通信)No.33では、このアンケートに対して国内79校から回答を得たこと、そのうち大学アーカイブズという名称は持たずとも、大学に関する資料や公文書類を保存する施設が「ある」と回答したのは19校だったことを報告しています。

 「東大百年史編集室通信」No.33~No.39が収録された『学内広報 昭和55年度』

一方、「編集室通信」No.35では、諸外国からの反応について「9月16日現在調査総数38カ国、のべ439校のうち20カ国、のべ157校から回答があった」、「これまでのところアーカイヴ〔原文ママ〕が設けられていない回答はわずか10校」と書かれており、海外においてはアーカイブズをおかない大学のほうが珍しいといえる状況がうかがえます。編集室が行った事例調査については、その一部が1983年7月発行の『東京大学史紀要』第4号に報告されています(当館サイトに掲載あり)。

  「東大百年史編集室通信」No.35

 そして編集室は、百年史編集事業を終えた1987年4月に「東京大学史史料室」として念願の大学アーカイブズを設立し、現在は当館がその役割を継承しています。次の百五十年史編纂事業には当館のどんな資料が活用されるのか楽しみです。

(特任研究員・千代田裕子)
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