蔵出し!文書館 第46回

蔵出し!文書館
収蔵する貴重な学内資料から
140年に及ぶ東大の歴史の一部をご紹介

第46回 職員が写した「東大紛争」

1969(昭和44)年1月18日~19日「東大紛争」の最中、大講堂(安田講堂)に立て籠もっていた学生と、封鎖解除の為に導入された警視庁機動隊が衝突しました。S0087/0008「東大紛争写真集(安田講堂の攻防戦とその前後)」は、その時期の大講堂周辺と内部の写真を収めたスクラップブックで、東京大学庶務部人事課職員によって作成されました。画像は、封鎖解除翌日の人事課内を撮影した写真ページの一部です。従前から本部職員は大講堂を職場としていましたが、「東大紛争」が激しくなってくると、学生と職員の軋轢回避の為、大講堂から移動して別所で業務に当たっていました(『東京大学百年史 部局史 四』)。この日、職員は数か月ぶりに元の職場に足を踏み入れ、これらの写真を撮影しました。

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画像の人事課内は、壁に大きな字で落書きがされ、物品や什器が散乱して足の踏み場も無いほど荒れています。資料を作成した職員によるキャプションには、「半年ぶりに入った安田講堂の我が人事課は、かくの如き荒廃していた。余りの惨状に声もなし!」(1)と、職場の光景を見た職員の率直な心境が綴られています。「放水で書類は、水びたし!催涙ガス、1週間経ても消えず後始末で泣かされる!」(2)という文章からは、機動隊導入時に散布された催涙ガスが残る中で後始末に追われる職員たちの姿が目に浮かびます。これらの写真は業務の一環で撮影されたものと思われますが、当時の職員の個人的な視点・感情がキャプションも相まって滲み出ているのが感じられます。

(学術専門職員・井上いぶき)

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