蔵出し!文書館 第54回

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収蔵する貴重な学内資料から
140年を超える東大の歴史の一部をご紹介

第54回 立派な卒業証書

 今回の蔵出し資料は卒業証書です(「〔文科大学哲学科卒業証書〕」F0178/01)。現在の卒業証書とは比べものにならないほど立派で、まず驚くのはその大きさです。写真では分かりにくいと思いますが、縦46.8×横64.9cmもあります。


「〔文科大学哲学科卒業証書〕」(F0178/01)別ウィンドウで開く

修めた科目名と認定した担当教師の肩書の下に署名と捺印(外国人教師の場合はサイン)が並び、各分科大学長が承認し(右上部に分科大学公印)、最後に総長が承認(左上部に帝国大学公印)するというものでした。明治29(1896)年卒業の姉﨑正治(1873~1949)に授与されたこの卒業証書は、明治30(1897)年6月に京都帝国大学が創設されたことに伴い帝国大学から東京帝国大学と改称されましたので、「帝国大学」という名称では最後の年の卒業証書ということになります。

 さて、この卒業証書には物語の続きがあります。卒業証書授与式とともに行われていたのが三四郎池の端での集合写真撮影です。当館所蔵「写真〔明治二十九年文科大學卒業紀念寫眞〕」(F0025/S05/0234)に、卒業証書に署名・捺印をした担当教師、文科大学長外山正一、帝国大学総長濵尾新の姿を見ることができます。そしてこの卒業証書と思われる丸めた紙を手に持つ姉﨑の姿も他の卒業生とともに収められています。さらに、卒業後25年を記念した写真帖「明治廿九年文科大學卒業生 満二十五年紀念寫真帖」(F0025/S05/0248)では25年後の姉﨑(この時文学部教授)他卒業生たち等の写真を見ることができます。これら卒業証書、集合写真、記念写真帖は当館に集まってきた経緯がそれぞれ違うということも当館の面白いところの一つのような気がします。
 当館にはこの卒業証書以外にも多くの卒業証書を所蔵しております。その内の一部はデジタル・アーカイブで画像を公開していますが、実際に手に取って見ていただくこともできます。立派な卒業証書、ぜひご覧ください。

(主事員:村上こずえ)

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