株式会社サイゼリヤ 代表取締役会長 正垣 泰彦 様

第6回ゲスト

shougakisama




株式会社サイゼリヤ 代表取締役会長

正垣 泰彦 様

日時: 2012年7月2日(月) 19:00~21:00
場所: 伊藤国際学術研究センター3階 特別会議室 (本郷キャンパス)
http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html
ゲストスピーチテーマ: 「東大生よ、起業せよ!」

紹介

1946年兵庫県生まれ。1967年、東京理科大学在学中にレストラン「サイゼリヤ」開業。1973年5月株式会社マリアーヌ商会(現・当社)を設立し、代表取締役社長就任。2000年東証1部上場。2009年4月代表取締役会長就任(現任)

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【関係リンク】
http://www.saizeriya.co.jp/

報告


┃フードサービスの産業化

私が掲げているものは、フードサービスの産業化。
従来の産業と呼ばれる仕事と比べ、フードサービスに就く従業員の平均賃金は高くない。
しかも、「美味しい」は数値化できない。つまり仮説がたてられず「カイゼン」が出来ない。
ならば、フードサービスの産業化を図り、数値化すれば良い。そのためには、
1)自分で商社、製造、運搬、流通を行う。
2)社会インフラになること。なくてはならないものになること

産業となるには100年以上かかるというが、50年で形にしようと思った。後5年で50年となるが、形となってきた。創業期10年、人材育成で20年、改革期10年、産業化10年と何の根拠もなくビジョンを描いたが考えていたからこそ実現している。

┃創業10年 イタリア料理の素晴らしさ

学生時代、家の近所の洋食店が、一年中、従業員募集の張り紙を出していた。どんなものだろうと働いてみたところ、仲間に大変喜ばれてこちらが嬉しくなった。しばらく続けていたが、卒論を書くために辞めようと思い話したところ、他のコックや店員から「お前が辞めるなら、自分も辞める」と言われ、在学中に店を始めることとなった。
初めは全く売り上げがない。挙句にお客様同士の喧嘩から火事が起きた。「もう辞めよう」と思い、母に伝えたところ「貴方のために燃えたのだから辞めるな」と一言言われた。もう一度大家に頼んで借金をして始めた。でも、やっぱり儲からない。
寝ても覚めても考えた。「美味しいとは何か、どうしたらお客様が来るか、どうしたら皆に給料が払えるか」。学生なので考えることは机上の空論で、「特効薬のようなものを入れたら、またお客様は来るだろう…」等と考えた。そうして、「食べ続けられているものこそ、美味しいものではないだろうか。地球規模で一番作られている食べ物は何か」と図書館に行き調べてみたら、なんとトマトだった。小麦も多く作られていることが分かった。
借金ついでにヨーロッパを周ってみると、他の国々で参考となるものはなかったが、イタリアのレストランでは、皆がとても楽しそうに食事をしている。そして、本場の赤ワイン、エスプレッソ、オリーブオイル、カカオを食してみると、「酸、渋、苦」の「毒の三要素」を持っていることがわかった。どれもとても味わい深く美味しく、健康に良いと言われている。「そうか、美味しい食べ物は、体に良いのか。イタリア料理を日本に広めたい!」と考えた。

それでもお客様は来ない。価格を下げたら来るのだろうかと考え、定価の7割引にしたら、普段は10人の客足が600人となった。あまりにも多すぎるので、5割引にしたところ客足がピタリと止まった。ならば、近くに店を沢山出してお客様を分散させようと考え、続けていたら、国内900店舗、海外100店舗と現在の店舗数になっていった。

┃基本理念の徹底度を上げる

ビジネスで、一番大事なことは、基本理念である。当社は、「人のため 正しく 仲良く」を掲げている。ビジネスとはこの基本理念の徹底度を上げることだ。
「人のために」とは、お客様に喜んでもらうことが一番うれしいと実感してきたからだ。但し、現在の自分は社長であるから、従業員に喜んでもらうこと一番が嬉しい。「正しく」ということは難しいテーマだが、皆が良くなることであり、そして折角であったのだから皆で「仲良く」なったら良いと考え、基本理念とした。
この基本理念の徹底度を上げるためには、諦めずに続けることだ。母が昔自分に言った「与えられた環境こそが最高だ」と考え、不利な状況と一見思えることも、最高な環境であると考えるべきだ。諦めては駄目だ、逃げてはいけない。

社長としては、上場して従業員に資産を持たせたいと考えた。過去、一番楽しかったことは上場して従業員に株を渡すことだ。本当に素晴らしい経験である。是非、皆さんも起業して上場して欲しい。

もし、わからないことがあれば、事例を謙虚に学べばよい。

┃起業して成功する法則

起業することは、とても簡単で楽しい。簡単ということは法則であり、誰がやっても同じ結果が伴う。経験法則をお話するので、吟味してみて欲しい。
1.意欲
2.諦めない
 諦めること=逃げること。逃げ場のないところから一を知れば、十も百も知ることが出来る。
3.ビジョンを絵に描く
 少なくとも今より100倍以上、1,000倍程度のビジョンを持ち、具体的な絵を描く。
 数字で言い表し、社会貢献できることを言えるか考える。
 努力のみで叶うものは知れており、1,000倍のビジョンを実現させるには、
 構想、方法、手順、生き方や考え方といったものを変えるしかない。
4.理論を学ぶこと
5.大事なことから素直にやる
 大事なこととは自分が逃げたいことである。
6.人材を集める
 人「材」となる人を集めなければならない。
 物事をありのままに見ることが出来て原因がわかる人である。
 改善→改革→長期計画が出来るように教育していく。
 教育することが一番大事である。
7.資金をつくる
 良いことをやっていれば、すぐに資金は集まる。より早く成長、社会貢献し、上場させる。
8.仕事を楽しいと感じること
 
1~3は構想の変更、4と5は方法の変更、6と7は手順の変更、8は生き方の変更である。
この8項目の徹底度を51%以上に高めることが出来れば、成功する。有名大学の人は忍耐力が強いのだから、起業家になって欲しい。

人のために起業したが、困難は自分のためのチャンスだと強く言える。逃げなければ、全部自分のためになる。自分が出食わすことは、より人と調和するための進化であろう。うまくいかなかったときは、自分のことしか考えていないのだ。
正しいことは利益ではなく、お客様に喜んでもらうことである。満足していただければ、結果がついてくる。学生時代は自分のためしか考えていないだろうが、ビジネスは人のためにと考えを転換する必要がある。素質がないなんて逃げずに、沢山の人の上に立ち、皆を幸せにしてほしい。

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