
書籍名
ジェンダーで学ぶ社会学 第4版
判型など
260ページ、四六判
言語
日本語
発行年月日
2025年1月20日
ISBN コード
9784790717966
出版社
世界思想社
出版社URL
学内図書館貸出状況(OPAC)
英語版ページ指定
タイトル通り、ジェンダーについて、社会学のアプローチからわかりやすく解説した入門書である。1998年に初版が出版されて以降、読み継がれ、今回第4版として新しく出版された。版を重ねるごとに、情報はアップデートされているが、大きなつくりは変わらない。日常の身近な出来事、人びとのライフコースにおける様々な経験——「育つ」「学ぶ」「働く」「家族する」など——がいかにジェンダーと関わっているかを、社会学の視点から議論している。
評者からみると、社会学の魅力の一つは、自分自身が生きる日常、「個人的」と思えるような経験が、いかに社会構造や社会的な課題と結びついているのかを明らかにできる点にある。本書は、その社会学的アプローチの魅力を使って、ジェンダーを説明する。例えば、「推し」のような楽しみ、就職活動での悩みといった、一見、個人的な経験にも、ジェンダーによる違いがあり、その背後には、ジェンダー構造があるのだ。
とはいえ個人は、そのようなジェンダー構造に規定されているだけではない。人びとの実践を通じて、ジェンダーの意味や効果をずらし、社会を変えていこうとする力もある。例えば、本書の3章「語る」で議論されていることばについて取り上げてみよう。特に、日本語は、「女ことば」や「男ことば」が顕著にあり、女の子が「ぼく」を使ったら、先生に直されたりするように、男女別自称詞 (「ぼく」「わたし」など) も「常識」となっている。しかし同時に、女児は「わたし」を使いたがらないという研究もある。それは、女児にとって、この言葉が自分を表わすものとは捉えられていないからであり、そうした言葉を使わないことで、女児は既存のジェンダー区分から距離をとっているといえるだろう。
また、このような男女別自称詞は、人を男/女のどちらかに区分する強い力をもっており、決められた性別や、もって生まれた身体に違和や嫌悪を抱いている人びとへの影響も大きい。その一人は、アニメなどの中性キャラクターが使う「ボク」を意識して使うことで、身体嫌悪が和らいだという。このように、ことばの使用はジェンダー構造に規定される一方で、人は、ジェンダー化された言葉の使用を控えたり、意味づけを変えたり、あるいは新しい言葉を生み出すことで、既存のジェンダー役割から距離をとったり、その構造を変えていこうとする。
以上のように、私たちの日常生活には、男/女を区分する力であるジェンダーが深く刻み込まれている。本書は、そうしたジェンダー化された日常生活を社会学の視点から捉え直すためのヒントを与えてくれるだろう。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 准教授 髙谷 幸 / 2025)
本の目次
1 育 つ――子どもの社会化とジェンダー(藤田由美子)
2 学 ぶ――教育におけるジェンダー平等を考える(木村涼子)
3 語 る――ことばが変える社会(中村桃子)
4 愛する――恋愛からの脱出(牟田和恵)
5 シューカツする――「将来の自分」とジェンダー規範(妹尾麻美)
6 働 く――労働におけるジェンダー格差(大槻奈巳)
7 家族する――変わる現実と制度のはざま(藤田嘉代子)
8 シェアする――共同生活とジェンダー役割(久保田裕之)
9 楽しむ――「推し」とジェンダー(辻 泉)
10 困 る――生活困難に陥るリスク(丸山里美)
11 装 う――ファッションと社会(谷本奈穂)
12 つながる――友人関係とジェンダー(辻 大介)
13 闘 う――戦争・軍隊とフェミニズム(佐藤文香)
14 移動する――交差する関係の中で(髙谷 幸)
15 ケアする――ケアはジェンダーから自由になれるのか?(斎藤真緒)
■コラム
BOX1 男女という区分にうんざりする勧め(佐倉智美)
BOX2 性的同意はなぜ重要なのか?(高島菜芭)
BOX3 娘役からみる宝塚歌劇の魅力(東 園子)
BOX4 女子マンガが教えてくれること(トミヤマユキコ)
BOX5 メンズリブ(多賀 太)
BOX6 信じる―─宗教とジェンダー秩序(猪瀬優理)
関連情報
0 社会学とジェンダー論の視点 (世界思想社のwebマガジン『せかいしそう』 2025年1月10日)
https://web.sekaishisosha.jp/posts/8478
書籍紹介:
ジェンダーをめぐる「当たり前」にモヤモヤするあなたへ (『WAN – Women’s Action Network』 2025年1月19日)
https://wan.or.jp/article/show/11696
大山治彦 (龍谷大学大学院研究生) (『日本ジェンダー研究』1998巻1号p.71-72 1998年)
https://doi.org/10.14831/genderstudies1998.1998.71
関連記事:
女性学から生まれた「男性学」とは【伊藤公雄氏に学ぶ (1)】 (『リアンブルーコーチング舎』 2023年5月30日)
https://liensbleu.com/gender/post-4145/

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