東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

ダークグレーの表紙

書籍名

上場会社法概説

著者名

飯田 秀総、 白井 正和、髙橋 陽一、塚本 英巨、松元 暢子、 行岡 睦彦

判型など

324ページ、A5判、並製カバー

言語

日本語

発行年月日

2025年9月

ISBN コード

978-4-641-23357-7

出版社

有斐閣

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

上場会社法概説

英語版ページ指定

英語ページを見る

本書は、上場会社に関する法ルールを解説するテキストです。上場会社とは、その発行する株式を東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している会社のことをいい、上場企業と呼ばれることもあります。
 
現在の法学部・法科大学院では、何らかの法的な紛争が起こった場面を題材に、その解決を意識した講義が行われることが多いと思います。しかし、法学部出身者の大部分が民間企業に就職していることを踏まえれば、法的紛争という例外的場面よりも、企業活動の原則的な場面における法ルールの機能や運用の理解こそが重要です。
 
企業活動の原則的な場面における法ルールの機能や運用を意識した場合、会社法を取り上げるだけでは十分ではありません。特に上場会社は、会社法だけでなく金融商品取引法、金融商品取引所の規則、さらには各種のソフトロー (裁判所による強制を予定していない法規範のこと) の規律を受けて活動しています。そのため、上場会社における様々な実務を行うに当たっては、会社法と金融商品取引法の両方を理解している必要があります。また、学術的には、たしかに、伝統的には、会社法は利害関係者の利害の妥当な調整をすることを目的とするものであり、他方で金融商品取引法はその1条の定める目的 (資本市場の機能の十全な発揮、投資者保護など) を目的とするものであって、会社法と金融商品取引法は異なるものと理解されてきました。しかし、機能的には、会社法も金融商品取引法も、上場会社の組織や活動を規律する点で同様の役割を果たしており、会社法と金融商品取引法の垣根を超えた統一的な把握をする理論の構築が重要です。
 
そこで本書では、上場会社の活動の原則的な場面の法ルールの機能や運用を意識し、会社法以外の法ルールをも含めて横断的に解説することを試みます。
 
本書の想定する読者は、会社法をひととおり学習したことのある学部生および法科大学院生などの学習者、並びに、会社の実務に携わる実務家です。本書の執筆にあたって、読者が、金商法などの上場会社に適用されるルールに関する基礎的な知見を獲得するとともに、上場会社に特化した視点で会社法を概観することで理解を深めることができるように意識しました。
 
本書の執筆者は、研究者5名と弁護士1名によって構成されています。理論的な問題と実務的な問題の両方についてわかりやすく解説するためです。事柄の性質上、様々な概念が登場するので、極力、読者が理解しやすくなるように、通常の会社法の学習では登場しない概念や考え方については、丁寧に説明するように努めています。また、実務的な話題を随所に織り込むことにより、実務家にとって参照する価値のある書籍となるように努め、また、それと同時に、学習者が実務的な問題を通じて興味・関心が深まるように工夫しました。本書で随所に登場するコラムでは、実務に関する興味深い話や学術的な意味で応用と位置づけられる内容を紹介しています。各章の末尾には、読書案内を掲載しています。これは、その章で扱った内容に関するより詳細な情報を知りたい人、より応用的な学習を志す人向けのものです。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 飯田 秀総 / 2025)

本の目次

第1部 上場会社と法
 第1章 上場会社法の特徴 【飯田】
 第2章 上 場 【松元】
 第3章 上場会社のディスクロージャー 【松元】
 
第2部 コーポレート・ガバナンス
 第4章 コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方 【飯田】
 第5章 株主と株主総会 【塚本】
 第6章 上場会社の経営と監督 【高橋】
 第7章 企業グループのガバナンス 【高橋】
 
第3部 コーポレート・ファイナンス
 第8章 資金調達 【行岡】
 第9章 株主への分配 【行岡】
 
第4部 M&A
 第10章 企業買収の手法と公開買付け 【白井】
 第11章 組織再編と会社の非公開化 【白井】
 第12章 敵対的買収(同意なき買収)と買収防衛策 【白井】
 

このページを読んだ人は、こんなページも見ています