あらゆる学問は保育につながる
このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。
FSIプロジェクト 008
そこで2015年、教育学研究科の秋田喜代美教授・遠藤利彦教授・多賀厳太郎教授らが中心になって設立されたのが「発達保育実践政策学センター」です。人が健康で幸せな一生を送るための、乳幼児期の発達メカニズムと求められる保育・教育の質やそのための政策の解明。このテーマを科学的に明らかにするには、従来の医学や教育学だけでなく、情報工学・農学・生命科学・経済学・社会学など学術横断融合的なアプローチが必要になります。
たとえば、乳幼児への生活環境の影響を調べるには、保育室の温度・湿度・明度・騒音・CO2濃度などのデータと子どもの行動をモニタリングする必要があります。その際に活躍するのが、情報理工学系研究科と共同開発した各種センサーやカメラ。また、乳児期からの長期縦断研究パネル調査には社会科学研究所が、保育政策の経済効果分析には経済学研究科が力を貸します。乳幼児の研究には、全方位からのアプローチが必要。あらゆる学問は保育につながるのです。
渋谷区との連携で現在進めているのが、保育施設をまちづくりの拠点として研究するための、「東大渋谷子ラボ保育園(仮称)」の設置。2020年4月開園予定の保育園には研究室も併設されます。
これからの「Society5.0」において、子育て・子育ちを支える環境はどうあるべきか。それが明らかになれば、世界中の人々が幸せで豊かな人生の出発点を迎えるための具体的な道筋が見えてくるでしょう。
このプロジェクトが貢献するSDGs
秋田喜代美 教授 | 教育学研究科