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「おらほの海」を愛し、分かち合う学校

掲載日:2019年9月11日

このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。

FSIプロジェクト 028

新築移設された研究棟で行われた施設見学イベントの様子。天然ゴムと水溶性紙ひもで作ったバルーンをリリースした。東京大学大学院出身の中央水産研究所職員で、バルーンアーティストとしても活動している須原三加氏のバルーンアートも展示された。撮影/山本祐之

岩手県大槌町で、「赤浜の東大」の名で親しまれてきた東京大学大気海洋研究所・国際沿岸海洋研究センターは2011年3月、東日本大震災により甚大な被害を受けました。以後、同センターは浸水した3階部分を改修し、地元の協力を得ていち早く調査船を建造。地震や津波による沿岸生態系の攪乱実態を調査することによって、町の水産復興や今後の災害の備えに役立つ情報を提供してきました。「海と希望の学校 in 三陸」は、そんな活動と並行して立ち上がったプロジェクトです。

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エントランスには現代アート作家、大小島真木氏による天井画が飾られている。サケやウミガメ、プランクトンなど大槌の海の生き物たちを見学に来た子どもたちに解説する研究員たち。

「“世界最先端の研究をしています”というだけではなく、地域や地元の子どもたちのために何かできることはないかと模索していたとき、地域貢献に詳しい社会科学研究所の先生方が隣町の釜石市で活動していることを思い出したんです。話を持ちかけてみたところ、2つ返事で協力を快諾してくれ、プロジェクトの名称もその場で決まりました」と語るのは、センター長の河村知彦教授。

リアス式の三陸沿岸には多くの湾や浜があり、海の環境も多様です。大槌湾ではワカメの養殖、山田湾ではカキ漁が盛んという具合に水産資源も違えば、それぞれに固有の歴史、文化、ならわしがあるのです。そうした湾や浜ごとの特徴を自然科学と社会科学の両面からあきらかにし、地元の人たちと共有していこうという取り組みです。

「2018年3月に新築移転した研究棟を拠点に、未来をになう地元の小中高学校を訪ねて子どもと親御さんたちを対象とした『出前授業』を開始しました。“おらほの海(地元の海)”を知ってもらうことで未来の人材を育成するとともに、特色を生かした地域ブランドの創出にもつながればと考えています。地元のローカルアイデンティティを培う『海と希望の学校』のモデルが、三陸から発信されて全国の地方に広がることを夢見ています」と河村先生は語ります。

このプロジェクトが貢献するSDGs

海の豊かさを守ろう

河村知彦 センター長・教授| 大気海洋研究所 国際沿岸海洋研究センター(取材当時、現大気海洋研究所所長)

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