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参加型「ポスト開発」を実現するグルの影響力

掲載日:2019年9月30日

このシリーズでは、未来社会協創推進本部(FSI)で「登録プロジェクト」として登録されている、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する学内の研究活動を紹介していきます。

FSIプロジェクト 033

法廷で、地元農民の代表者から鉱山会社とのトラブルの話を聞くグル。

東洋文化研究所の池亀彩准教授が10年ほど前から研究しているのは、インドの“グル”と呼ばれる宗教リーダー。「多くの人がグルと聞いて連想するのは、サイ・ババやマハリシといったグローバルな活動をしていた人たちかもしれませんが、インドには宗派ごと、地域ごと、それからカーストごとにたくさんのグルがいて、それぞれの地域社会で大きな影響力を持っているのです」と池亀先生は説明します。中には、貧しくて教育を受けられない子どものために学校を経営しているグルや、病院を設立して無料で医療を提供しているグル、被差別民として虐げられてきたダリットの人たちの人権運動を指導するグルなど、宗教活動以外のところでさまざまな慈善活動を行っているグルも少なくないといいます。

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被差別民であるダリットの人たちの抗議デモの様子。1970年代の土地改革で、彼らにも土地所有が認められたが、いまだ多くの人がそれを手にしていない。そこで、北欧諸国の人権団体がグルが運営するNGOを資金的に支援している。

池亀先生がカルナータカ州で出会ったグルは法廷を持っていて、毎週月曜に行われる裁判では地域で起こったもめごとを解決する媒介者の役目を果たしていました。 「鉄鉱石を採掘している鉱山会社の周辺地域では、トラックが頻繁に行き来して危ないので舗装して欲しいと訴える住民と、政府の許可がおりないので勝手に舗装できないと主張する鉱山会社の話をグルが聞いていました。その場でグルが政府の土木担当者に電話をかけると、半年待ちと言われていた道路の舗装許可が2日でおりたのです。その影響力の大きさに驚かされました」と池亀先生は語ります。

開発途上国への援助を考えるとき、援助側が主導権を握る従来のトップダウン型支援ではなく、地域社会の人々が自らの生活基盤を維持・向上しようとする動きを助ける参加型・ボトムアップ型の「ポスト開発」の必要性が指摘されています。そのとき、グルを中心としたインド社会を見つめてきた池亀先生の研究は、開発支援のやり方に適切な筋道を示す道しるべの役割を果たしているのです。

このプロジェクトが貢献するSDGs

パートナーシップで目標を達成しよう平和と公正をすべての人に人や国の不平等をなくそう働きがいも経済成長も

池亀 彩 准教授 | 東洋文化研究所

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