被災地の復興・日本の活力再生を支える研究大学として

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被災地の復興・日本の活力再生を支える研究大学として

平成24年7月27日
東京大学総長 濱田 純一  京都大学総長 松本  紘

 東日本大震災の発生から二度目の夏を迎えようとしています。いまだに多数の方々が避難生活を余儀なくされており、被災地の本格的な復興まではまだ長い時間がかかることと予想されます。東京大学及び京都大学は、社会の多くの方々や各大学とともに手を携えながら、これまで行ってきた大震災に関連する科学的事象の究明や地域再生のための提言・取り組み、ボランティア活動などをさらに持続的に展開するとともに教育研究活動全体を通して、震災からの復興と日本の活力の再生に向けて力を尽くしていく所存です。

 厳しい国家財政の下での救援と復興にあっては、この未曽有の大震災に社会全体をあげてさまざまな財源を工夫していく必要があります。すでに臨時特例法により国家公務員について給与減額支給措置が行われていますが、国より運営費交付金を受けて運営されている国立大学法人である両大学においても、役職員の給与の臨時的な取扱いに向けた取り組みを行い、被災地のより速やかな復興のために貢献したいと考えています。

 もとより、被災地の復興や日本の活力の再生のために大学に対して何より期待されるのは、その持てる学術の力を教育と研究を通じて復興・再生のために発揮していくということであるはずです。それこそが、当面の復興支援にとどまらず、中長期的にももっとも力強い復興・再生への貢献となります。学術の力無くしては明日の日本の活力はあり得ないという責務を自覚し、大学はそれぞれの個性ある教育研究活動を最大限に展開し、地域への貢献や日本全体への貢献、国際的な水準を備えた学術のさらなる強化を図っていくべきであると考えています。東京大学及び京都大学もこのようなミッションを強く自覚しているところです。

 言うまでもなく、両大学は、人材獲得を含め学術分野における激しい国際競争の只中にあり、こうした厳しい環境下で、その教育力・研究力をさらに強化し、今日の閉塞感も漂いがちな国情を大きく変革させるエンジンとして社会に貢献していくことが求められています。そして、そのための重要な鍵の一つは、競争の中で優秀な教員等を確保し適切な処遇の下で教育研究に全力を発揮できる環境を整備していくことにあります。改めて国立大学法人化の原点に立ち戻り、大学の自主性と裁量を存分に発揮しながら、大学のミッションを十二分に実現するために、相応しい人事や給与の在り方について取り組みを進めていく所存です。

 政府はもちろん社会の多くの方々に、このような両大学の責務と覚悟をご理解いただき、今後ともご支援をお願い申し上げます。

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