東京大学におけるカスタマーハラスメントに対する基本方針
東京大学におけるカスタマーハラスメントに対する基本方針
1. 基本的な考え方
本学は、「東京大学憲章」および「ハラスメント防止のための倫理と体制の綱領」に基づき、本学で働き、業務および教育・研究活動に従事するすべての人々が、かけがえのない個人として尊重され、互いの信頼のもとにその能力を十分に発揮し、自立的に活動できる環境を確保することを重要な使命としています。本学の教育研究の持続的な発展と次世代への継承は、 本学の教職員その他本学の業務に従事する者(以下「教職員等」という。)の安全と心身の健康が担保されて初めて実現するものです。
とりわけ、本学の利用者等(以下「利用者等」という。)からの著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメントは、対応する教職員等の尊厳を傷つけ、安全に働く環境および教育・研究環境(以下、「就業環境等」という。)を脅かすのみならず、本学が提供する業務および教育・研究活動や公共的サービス(以下「業務等」という。)の質を著しく低下させ、ひいては大学運営の継続自体に悪影響を及ぼす重大な障壁です。これは、高等教育と社会全体の公正性を揺るがす問題として、大学を挙げて毅然と対応しなければなりません。
一方で、本学に対する批判、苦情、意見、要望は、教育・研究の質向上や業務改善、ひいては社会への学問的還元につながる貴重な契機であることは言うまでもなく、正当な意思表示には、今後も誠実かつ真摯に対応します。また、本学の教職員等自身も社会においてはサービスや公共的資源の受益者となり得るものであり、「誰もがハラスメントを受ける側にも行う側にもなり得る」という双方向の視点を深く認識することが不可欠です。
本学は、利用者等と教職員等とが、相互に人格を尊重し合う関係を築くこと、そしてカスタマーハラスメントのない、公正かつ持続可能な就業環境等を創出することを目指し、本方針を定めます。
2. 「カスタマーハラスメント」の定義
本学における「カスタマーハラスメント」とは、次の要件をすべて満たすものとします。
- 業務等に関して行われる著しい迷惑行為であって、当該言動の内容又はその手段若しくは態様が、業務等の性質その他の事情に照らし、社会通念上許容される範囲を超えること(以下、「迷惑行為」という)
- 利用者等から教職員等に対して行われる迷惑行為であること
- 当該迷惑行為により、教職員等の人格権が侵害され、又は就業環境等が害されること
3. 対象となる利用者等の範囲
本方針の対象となる利用者等とは、業務等の対象となる者又はその可能性にある者その他業務等に関連して教職員等と関わりを持つ個人、団体又は法人をいいます。
4. カスタマーハラスメントに該当し得る迷惑行為の例
以下に示す言動等は例示であり、これらに限られるものではありません。なお、インターネット、SNSその他電子的な手段を通じて行われる場合も対象となります。
| 分類 | 具体的な行為例 |
| (1) 不当・過剰な要求 | ・業務範囲を著しく逸脱する個別の特別処遇の要求 ・実現困難または不可能な対応の強要 ・金銭補償、金品の要求、または合理的理由のない過度な謝罪(土下座等)の強要 ・期限・手続きルールを無視した不当な申請等、義務なき対応の強要 |
| (2) 不適切な手段・態様 | ・身体的な攻撃(暴行、傷害、物品の損壊) ・精神的な攻撃(暴言、威圧、威嚇、脅迫、人格否定、侮辱、名誉棄損) ・執拗な言動(同一内容での長時間の拘束やメール・電話等による執拗な問い合わせ、揚げ足取り、窓口への居座り等) ・教職員等個人への執拗な責任追及 ・個人宅への訪問等の私生活圏への干渉 ・職場や私生活圏での待ち伏せ・付きまとい |
| (3) その他の著しい迷惑行為 | ・教職員等の同意のない無断録音・録画・撮影 ・SNSやインターネット掲示板等での誹謗中傷、事実誤認に基づく批判、および教職員等の個人情報の拡散(晒し行為) ・執拗な情報公開請求など、本来の制度趣旨を逸脱した業務妨害行為 |
5.本学の対応方針
本学は、カスタマーハラスメントに該当し得る事案が発生した場合には、教職員等個人に対応を委ねることなく、関係部署間で連携の上、組織として対応します。また、本学はカスタマーハラスメントと判断した場合は、必要に応じて、対応の中止、施設利用の制限その他の必要な措置を講ずるとともに、警察、弁護士その他の外部専門機関と連携し、厳正に対処します。
6.学内体制の整備
本学は、本方針を実効性のあるものとするため、次の体制を整備・維持します。
- 事案の報告及び組織的対応のための体制整備
- 相談体制及び被害者支援体制の充実
- 教職員等に対するカスタマーハラスメント概念の周知、その防止及び適切な対応に関する研修の実施
- 事案の共有及び再発防止体制の整備
(2026年10月1日施行)

